解剖とは?

解剖には、3つの種類があり、おのおの目的が異なっています。

1番目は系統解剖です。我々解剖学教室が行っているのはこれです。学生教育のために自ら希望されてお体を提供いただいた方の解剖をさせていただきます。人体の正常な構造を明らかにし、学ぶことが目的です。医学部での専門教育の最初に行われます。医師としての体の見方を育てるための解剖です。系統解剖によって、医学生は医師としての人体の観察法を学びます。正しく人の体を見る方法を、ご遺体を解き明かす過程で知ります。医師と成るために必須の、個々人を対称とした人体観察の方法を身につけます。

2つ目の解剖は病理解剖です。これは病理学教室が担当します。病理解剖とは、疾病の構造と機能すなわち病変を臨床所見との関連において検討し、病気の本態と原因を探求し、疾病の診断、治療、予防など臨床医学に重要な指針を与えるものです。生前の症状と解剖によって得た病理学的所見とくらべることによって、病者が侵された病気の本質を見極めることができます。また、生前に行われた診断、治療が正しいものであったかを知ることができます。

3番目は、法医学解剖です。これは法医学教室にて行われます。異状死体等の死因等の究明のために、司法当局、警察からの依頼で行われる解剖です。事件性の有無、死亡原因などの特定を行います。法医学解剖は社会の福祉と、公衆衛生の向上のための施策の基礎となるものであります。