臨床麻酔に関して、専門医取得まえにできること、やりたいことができます。
麻酔標榜医の資格をとったあと、外病院で研修していて、日常定期的に行われる麻酔には慣れてきたころに思うこと。いわゆる“大変な症例”の経験を積みたいなと。
心臓外科の開心術、小児の先天性心疾患手術、小児外科の小手術から開腹手術、耳鼻科や口腔外科の気管切開を伴う長時間手術や顎間固定されて入室してくる症例、鎖骨下静脈CV穿刺や片肺換気を必要とする食道手術、救命センターから運ばれてくる切断肢、胸腹部外傷、頭部出血など。
先生方のお声 | ||
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出身:慶応大学 (5年目) | 出身:旭川医科大学 (9年目) | 出身:富山大学 (7年目) |
通常は大阪の市中病院で働かれています。毎週金曜日に心臓外科の麻酔を研修にこられています。 | 現在は常勤医としては働かれていませんが、毎週火曜日に心臓外科の麻酔を研修にこられていました。 | 毎週水曜日は救急部で当直。現在メインで麻酔科業務に従事されています。麻酔専門医の資格取得のために研修中です。 |
専門医前の私たちは様々な症例に立ち向かっていますが、安心して麻酔業務が行えているのは上級医の先生方の支えがあってこそです。 ときに理不尽な外科医の物言いに、涙を飲むこともありますが(立ち向かうものもいますが)、上級医の先生方はなんとか守ってくれようと戦ってくれます。 また、どんな手技にも失敗はつきものですが、それを防ぐすべや、おこってしまったアクシデントにどのように対処してくべきなのか、様々な工夫や知恵を与えてくれます。 いつかは自分で習得していかなければならないことかもしれませんが、今のうちだから、甘えて学ばせてもらうことも一考かもしれません。
近畿大学では市中病院で行われている一般的な手術に加えて、大学病院だからできる手術も行っています。
ASD,VSD手術に加えて、Rastelli, Fontan, PDA結紮など手術が行われています。
乳幼児のCV挿入など市中病院では経験しにくい症例も経験できます。
イメージがわきにくい先天性心疾患患児をみてみることは、将来、小児の心臓手術麻酔に携わることがないとしても経験として有意義なものになると思います。
当院の成人心臓手術には、弁膜症手術、CABG、大血管手術、ステント手術などがあります。
週に2回、一日3例平均で行われています。
一般的な手技としてのPAC, CVカテーテル挿入やTEEの研修をしています。
MICS手術特有の片肺換気やTEEを用いたカニュレーションの誘導も経験できます。
当院眼科では未熟児に対する網膜症手術を積極的に行っています。未熟児の眼科手術はめずらしく、低侵襲ではありますが未熟児ゆえに麻酔管理には細心の注意が必要です。
出張麻酔として、カテーテル室で小児のアブレーション治療の麻酔を行っています。週に1?2回の頻度です。無症状のWPW症候群から、先天性心疾患手術前の不整脈まで、治療は多岐にわたっています。合併症のほぼない小児から、チアノーゼ疾患、姑息手術後で血行動態が不安定な小児まで様々です。小児循環器医と協力して全身麻酔管理を行っています。
胸腔鏡補助下の胸部操作、HALSによる腹部操作、頚部操作とみなさんご存知の長時間手術です。当院では鎖骨下静脈からCVルートを確保しています。エコーガイドによる操作と指導を徹底しています。術後の鎮静、鎮痛をICUで行い、現在はプレセデックス、プロポフォール、フェンタニルで行っています。火曜・水曜・木曜日は食道手術の手術日となっています。
多発外傷、頭部外傷、熱傷など、想定されるものから、想定されないものまでやってきます。昼夜とわず、やってくるので、夜中に貴重な症例にめぐりあうことも数知れません(睡眠不足にはなりますが)。前例のない症例の麻酔にたちあうときには上級医の経験にもとづく適切な判断に驚かされます。
喉頭ガン、顔面におよぶガンの廓清、再建手術を合同で行っています。長時間の手術は麻酔科医にとってもストレスフルではありますが、力をあわせて、こなしています。気管切開した術後の鎮静、鎮痛も含めて麻酔調整を行っています。口腔外科からのローテーターの先生や、歯科医大からの先生も麻酔科側から研修を行っています。
ペインの先生が手術室で、手術麻酔としてのTAPブロックや大腿神経ブロックなども指導してくれています。
医師 A
医師 B
医師 C
特殊な症例を経験すること、よくわからない緊急手術を目の当たりにすることはこれからの麻酔科生活を送るうえで貴重な経験になると思います。
中規模の病院では専門医以降、自分ひとりが矢面になって、みたことのない症例に立ち向かっていかなければなりません。現在近畿大学では指導医レベルのオーベンとの当直体制になっています。専門医まえだからオーベンにくっついて一緒に経験できる麻酔があると思います。
移植手術は残念ながらありませんが、それを補う症例数があると思います。
一緒に研修してみたいと思う先生がいらっしゃったら、ぜひ一度近畿大学麻酔科の門をたたいてみてください。
もちろん、大学病院なので、専門医取得に必要な学会発表もたくさんできます。
2011年度ヨーロッパの集中治療関係学会はベルリンで行われました。演題をだせば、参加できます。教授がバックアップして英語の質疑応答を助けてくれます。学会おわりにはベルリンの街角でおいしいご飯をいただきました。
麻酔科は朝も早いし、夜も遅い。当直も引きが悪ければ寝れないし、手術がうまく行かないと定期の手術もなかなか終わらない。
空腹では戦えないと、上級医の先生がアイスクリームやたこ焼きを差し入れてくれたり、創作料理(上はパエリア)を作ってくれたり。
手術予定表とにらめっこして、行けそうなら難波や北新地までご飯を食べにいったり、なんとかリフレッシュをしています。
皆さんの病院でも同じでしょうが、麻酔科はいろいろなひとに支えられています。チーム医療の象徴ではないかと思います。手術する外科医がいないと手術が成立しないのはもちろんですが、当院ではperfusionistをはじめとする臨床工学技士さん、少ない人数で激務をこなしている看護師さん、麻酔業務に忙しい麻酔科医の臨床データ処理をお手伝いしてくれる秘書さんなど。その他、お掃除をしてくれたり、物品整理をしてくれている方々も時に私たちの癒しであったりします。
興味をもたれた方がいらっしゃれば
ぜひ一度近大に遊びにきてください。
近畿大学医学部 麻酔科学講座
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岩元 辰篤