EPP

骨髄性プロトポルフィリン症Erythopoietic protoporphyria, EPP)の診断と治療    近畿大学医学部皮膚科 川原 繁

 

 EPPは常染色体優性遺伝を示し,原因はプロトポルフィリンからヘムへの合成酵素であるフェロケラターゼ(ferrochelatase)の活性低下である。

(1)臨床症状

@ 皮膚症状

EPPの多くは、幼児期における光線過敏症状で発症する。初めは日光曝露後、顔や手背などの露光部に痒みやチクチクとした疼痛を伴った浮腫性の紅斑や時に水疱が生じることで気付かれることが多く、時には、周囲の子供よりも日焼けしやすいという程度のこともある。その後、日光曝露を繰り返すにしたがって、顔では褐色の色素沈着および浅い小瘢痕が多数生じ、手指背では色素沈着、苔癬化、多毛などがみられるようになる (図1,2)

 

 

 

 

 

 

 

 

  図1 顔の色素沈着と浅い瘢痕    図2 手指の色素沈着と多毛

 

A 肝症状

EPPの約20%において肝障害を伴うとされる。その重症度は、自覚症状を欠き、血清中肝酵素の軽度上昇がみられる程度の軽症の肝障害から重篤な肝硬変まで様々である。時に胆石症を伴うこともある。さらに、肝障害が無症状のまま経過し,突然大量の日光照射または薬剤などにより急性肝不全に進行し、急激に死の転帰をたどった症例も報告されている。

(2)診断

@ 赤血球蛍光の検出

スライドガラス上に患者血液の塗沫標本(スメアー)を作成し、蛍光顕微鏡で観察すると、患者赤血球に橙赤色の蛍光が観察される(図3)。

 

 

 

 

 

 

         図3 赤血球蛍光の所見

 

A 病理学的検査

露光部皮膚の生検組織像では、真皮上層の毛細血管周囲に淡い好酸性物質の沈着がみられ、PAS染色で明瞭に染色され、ジアスターゼでは消化されない(図4)。

 

 

 

 

 

 

       図4 EPPの皮膚生検所見:左手背(PAS染色、×200

 

B 赤血球中プロトポルフィリン定量

確定診断のために最も有用な検査は、赤血球中プロトポルフィリンの定量である。健常人では約100 μg/dl RBC以下であるが、EPP患者では高値を示す。

(3)治療

 EPPに対する最も重要な治療は徹底した遮光である。作用波長が長波長紫外線から可視光線領域にあるので、それらの光線を遮断するような日焼け止めなどを用いる。一方、EPPに有効な薬物療法はまだ確立されていない。比較的多く行われているのはβ―カロテンの内服であるが、その評価は一定していない。

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