EPPの遺伝子診断

EPPの遺伝子診断 竹谷 茂 京都工芸繊維大学

 

はじめに

EPPはヘム合成の終末酵素であるferrochelataseの欠損によって生じる常染色体優性の遺伝病である。症状としては光線過敏症を呈して、重篤な肝障害を起こして死に至る場合もある。ヒトのferrochelatase遺伝子の構造はすでに明らかになっており、遺伝子変異を調べることが可能である。この酵素は、全ての組織に存在し、特に肝臓や造血細胞に多い。細胞のミトコンドリアの中で2価鉄をプロトポルフィリンに挿入してヘムを産生する反応を触媒する。EPP患者では、光と反応してラジカルを産生するプロトポルフィリンが蓄積するために光線過敏症が引き起こされることが知られている。

 

遺伝子診断

現在までに、日本人のEPP8家族と3家族の白人のferroxhelatase遺伝子の変異の同定を経験した。同定した変異は、他の日本人や欧米のEPP家族でも同じ変異が報告されている。また、ferroxhelatase mRNAレベルの変動をRT-PCRで比較したり、抗体を用いた蛋白質レベルの解析を行った。一方、ferrochelatase活性は肝臓や骨髄組織を用いて測定するのが高い活性が得られて適切であるが、ヒトでは末梢のリンパ球を単離して活性測定を行ってEPP症の診断に用いている。EPP患者の活性は正常人の8−45%を示し、活性のばらつきが見られる。これらは、ferrochelatase蛋白質の変異の場所によって残存の活性や酵素の安定性の違いによると考えられてきた。しかし、近年、ferrochelataseの活性は人によって遺伝的に異なることが分って、このような違いが生じるのではないかと言われるようになった。

 

 

検査項目:ferrochelatase遺伝子解析、末梢リンパ球細胞のferrochelatase活性(ALA-D, PBG-D, URO-D. CPOX, PPOXの活性測定)

 

参考文献

1.  フェロケラターゼ欠損の性状と分子変異 竹谷 茂 (1993) 臨床検査  37, 1265-1266

2.  The Ferrochelatase Gene Structure and Molecular Defects Associated with Erythropoietic Protoporphyria S. Taketani & H. Fujita (1995) J. Bioenerg. Biomembr. 27, 231-238

3.  Ferrochelatase consisting of wild-type and mutated subunits from patients with a dominant-inherited disease, erythropoietic protoporphyria, is an active but unstable dimer. Y.Ohgari, M.Sawamoto, H. Kohno and S. Taketani (2005) Hum. Mol. Genet. 14, 327-334. 

 

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