研修希望者へ

Johns Hopkins University留学体験記

SEASON 42
不惑

アメリカは、この前の日曜からサマータイムに戻りました。夜7時を過ぎてもまだ明るいです。
さて、先日40歳になりましたので、向こう10年どう生きるか、目標を書いてみようと思います。

私の向こう10年の目標は、"physician-scientistになること"、です。一般論として、MDはクリニカルクエスチョンや臨床ニーズに即したところに興味があり、nonMDは、より本質的なメカニズムに興味を持つ傾向があるように思います。これは日本でもアメリカでも同じで、どちらも医学の進歩には等しく重要です。一方、毎週の腫瘍免疫部門の研究プログレスを聞いていて思うのが、MDはしばしば基礎的なメカニズムの考察なしに物事を述べることがあり、nonMDは臨床ニーズとずれた方向に議論を持って行ってしまっていることが多い、と言うことです。このギャップを上手に埋められるようになりたいのです。Hopkinsにも、臨床業務をしつつも研究を主導し、鋭い視点を持つ、これぞphysician-scientist、と言うPIがたくさんおられます。忙しそうではありますが、医学の進歩に寄与し、刺激的な仕事だと思います。

問題は、日本でこういう働き方が可能か、です。近大含め大多数の大学産婦人科では、マンパワー不足ゆえに、臨床>>研究という重みづけにならざるを得ず、アメリカのようなphysician-scientistという立ち位置を取ることは非常に困難なようにも思われます。じゃあ研究専門機関で研究に100%従事すれば、という意見もあるかも知れませんが、それは違うと思っていて、臨床ニーズに対する鋭い感覚は患者さんとの関わりの中で磨かれるものです(この2年で随分失った気がする)。

働き方改革も本格化しますし、難しいことが山積で、未来のことはどうなるのかわかりません。
しかし、研究留学に行かせてもらった以上は、目標に向かって前進あるのみです。
50歳になった時、自分はどうなっているのでしょう?