診療

婦人科悪性腫瘍婦人科良性腫瘍不妊内分泌周産期当科でおこなっている臨床試験診療実績

婦人科良性腫瘍

様々な状況に応じた最善の治療方針を

子宮筋腫、卵巣嚢腫、子宮内膜症などの婦人科疾患は多くの女性が遭遇する疾患と考えられています。これらの治療には、薬物治療、手術療法を中心に様々な治療法がありますが、経過観察可能な場合も多くあります。我々は患者様の病状、年齢、挙児希望の有無、社会的環境などをよく見極めた上で、個別に状況に応じた最善の治療方針を提案します。
手術療法を選択する場合には、まず患者様にとって低侵襲な内視鏡下手術(腹腔鏡下手術・子宮鏡下手術)を、可能な範囲で提供できるよう心掛けています。当科では子宮筋腫などの良性疾患に対する子宮全摘の約85%、子宮筋腫摘出(子宮を温存する手術)の約90%、明らかな卵巣癌を除いた卵巣嚢腫の約95%が腹腔鏡を用いて行われています。その他、不妊症の診断・治療目的の内視鏡下手術や、卵巣嚢腫茎捻転・子宮外妊娠などの救急疾患にも対応しております。

腹腔鏡下手術とは

炭酸ガスでお腹を膨らませて空間を作り、お臍からお腹の中を覗く直径5mm程度の内視鏡(カメラ)を挿入し、腹部に2〜3カ所(5mm〜2cm)の小さな穴を開けて行う手術です。
術後の痛みが少ない、傷が目立たない、入院期間が短いなど多くのメリットがあります。
近年腹腔鏡で手術ができる病気は大幅に増加しており、まさに「婦人科良性疾患はお腹を切らずに治す時代が来た。」と言っても過言ではありません。

子宮鏡下手術とは

子宮内に細い内視鏡(子宮鏡)を挿入し、子宮筋腫や子宮内膜ポリープなどの病変を子宮鏡の先端にある電気メスで切除する手術です。膣から直接子宮内へ子宮鏡を挿入しますので、傷は残らず体への負担がより少ない手術です。

また、当科では内視鏡下手術をより多くの患者様に安全に適応拡大するための研究や、新しい手術手技や器機の開発も行っています。
さらに今後は子宮がんや卵巣がんなどの悪性疾患への応用も視野に入れています。また、欧米や韓国を中心に普及しつつあるロボット支援手術も導入に向けて準備を進めています。

日本産科婦人科内視鏡学会による内視鏡技術認定医制度が存在しますが、当科では在職中または当科出身者を含めて、現在までに10名を超える技術認定医を輩出しております。4000例を超える内視鏡下手術の実績に基づき、技術認定医を中心としたチームが手術を担当させていただきます。
手術内容によっては手術の待機期間が長くなり、ご迷惑をおかけすることもございますが、近隣の関連施設とも連携し可能な限り早期に、かつ安全な手術を提供出来るように配慮させていただきます。

婦人科疾患を指摘されて治療を受けるかどうか迷っている、不妊治療を受けているがなかなか妊娠に至らない、他の施設で開腹手術が必要と言われたが可能ならば内視鏡下手術を受けたい、とお考えの際は是非一度お気軽にご相談ください。

腹腔鏡下仙骨腟固定術について

1.はじめに

当院では、患者さんへ最良の治療を提供するとともに、より良い治療を開発し、導入するための努力を行っています。今回ご提供する手術は、当院では主に良性疾患に対して積極的に行っている腹腔鏡手術を、子宮脱の患者さんに対しても施行するというものです。
腹腔鏡下仙骨腟固定術という手術ですが、まず子宮の上部を切断し、腟にメッシュを留置し、仙骨と固定する手術です。今回の手術の施行は、先進医療という形でしか行っていませんでしたので、「近畿大学医学部倫理委員会」で審査され承認を受けて行っておりましたが、平成26年4月より「腹腔鏡下膀胱脱手術」という名称で保険収載されましたので、現在は保険診療で行っております。

腹腔鏡下手術とは

2.子宮脱の治療について

子宮脱の治療法は、従来腟式手術の腟式子宮全摘術、前後腟壁形成術を行っていましたが、術後再発することがたびたびありました。
そこで2004年にフランスで開発された再発率の少ない腟式におけるメッシュを用いた手術に変わってきていました。メッシュ手術は、2010年に日本でも保険適用となり、急速に普及してきました。しかし、腟式のメッシュ手術は大量出血、術後の尿管閉塞・膀胱あるいは直腸へのメッシュの迷入等の重篤な合併症の報告も多くみられ、現在米国において、その安全性についての注意が喚起されているようになりました。
一方、1950年頃に開発された開腹手術の仙骨腟固定術という手術があり、お腹からメッシュを挿入し、背骨の部分に釣り上げる手術で、再発の少ない優れた手術でありました。その後腹腔鏡の発展とともに1994年に腹腔鏡による仙骨腟固定術が開発されました。開腹手術と腹腔鏡手術の仙骨腟固定術を比較し、両者の成績(再発率や合併症など)に差がなかった事から、より低侵襲な術式として腹腔鏡下仙骨腟固定術が普及しはじめました。また、腟式によるメッシュ手術の注意喚起がされて以降、仙骨腟固定術がますます注目されるようになりました。日本においては、国内で4施設のみが高度先進医療として行っていましたが、その後平成26年4月より保険診療で行っております。

腹腔鏡下手術とは

3.腹腔鏡下仙骨腟固定術について

腹腔鏡下仙骨腟固定術の術式の特徴は、まず子宮上部切断術を行い、腟管を剥離し、メッシュの尾側端を留置・固定し、頭側端のメッシュを岬角前面の前縦靭帯に吊り上げ固定する手術です。腹腔鏡手術では、おへそや下腹部に5mmから1cm程度の小さな傷が計4個ほどできるだけです。個々の傷が非常に小さいため、傷の痛みは少なく、早期の体力回復、早期の社会復帰が望めます。術後癒着や術後の腸閉塞(イレウス)も開腹術に比べて少なく、体の負担は軽微です。今回行う腹腔鏡下仙骨腟固定術はフランスやアメリカでは非常に多数の手術が行われています。

腹腔鏡下手術とは

4.期待される治療効果および予測される副作用

腹腔鏡手術により、術後の創部の痛みが少ない、退院・社会復帰が早くなる、腸管運動の回復が早い、術後腸閉塞が少ない、免疫力の低下が少ない、手術創が小さく目立たないなどの利点が期待されます。また再発率も従来の手術と比べ低くなると予想しています。デメリットとしては、手術時間が長くなる、他臓器損傷(膀胱、尿管、腸管など)、不測の出血、深部静脈血栓症および塞栓症、縫合不全、術後ヘルニアなどが起こることがあります。これらは、腹腔鏡手術に特徴的なものもありますが、開腹手術、腟式手術でも同様に起こりうることがあります。この腹腔鏡手術をお受けにならない場合、従来の腟式手術や開腹による手術を受けていただくことができます。

5.臨床研究責任医師の氏名、職名、連絡先

近畿大学医学部産科婦人科学教室
大阪府大阪狭山市大野東377−2
電話番号 072-366-0221
教授 松村 謙臣、 医学部講師 小谷 泰史