免 疫 学 実 習
二 重 免 疫 拡 散 法 (Ouchterlony法)

ouch1g.gif 原理:
 抗原と抗体の両者をほぼ等量で混合すると抗原抗体複合体が凝集して不溶物(沈降物)を作ることは、抗原抗体反応の最初に観察された現象の一つである。多くの蛋白質は寒天ゲルの中を自由に拡散できるので、ゲル内を移行中の抗体が抗原蛋白と遭遇すると等量濃度にあたるところで免疫沈降線を形成する(ゲル内沈降反応)。寒天ゲルに開けた別々の孔(well)に抗原と抗体を加えて両者を拡散させる二重免疫拡散法では、図1に示すように二つのwellの中間にその沈降線が出現する。

ouch2g.gif もし2種類の蛋白とそれらを区別して結合する2種類の抗体が抗原液と抗体液双方に含まれている場合には、相互に独立した抗原抗体凝集物が形成されるので、well間に2本の沈降線が形成される(図2)。

ouch3g.gif このように二重免疫拡散法により抗原-抗体反応の有無を決定することができる。また、形成される沈降線の形状パターンから、抗原間の相互関係(抗原決定基の同一性、非同一性)を判定するすることが可能である(図3)。

 準備:

1%寒天ゲル付きスライドグラス(予め作製済み)
保湿箱
ゲルパンチ
水流式アスピレータ(パスツールピペット付き)
マイクロピペット
リン酸緩衝生理食塩水(PBS)
抗原液1: 精製マウスIgA
抗原液2: 精製マウスIgM
抗原液3: 精製マウスIgG1
抗原液4: 精製マウスIgG2a
抗原液5: 精製ウシアルブミン
抗体液

ouch4g.gif 操作:

  1.  スライドグラス上に固まらせた寒天ゲル層に、ゲルパンチを用いて穴を開ける。栓状の寒天がwell内に残った場合には水流式アスピレータを用いて吸い取る。その際、wellを壊さないように注意すること。
  2.  マイクロピペットを用いて中央のwell(well 7)に抗体液を20μl入れる。次にチップを交換して、抗原液1(20μl)を指定されたwellに入れる(図4参照)。以下、同様にチップを交換しながら、他の抗原液とPBSを指定されたwellに20μlずつ添加する。
  3.  スライドグラスを保湿箱内に入れ、一晩反応させる(室温)。
  4.  翌日、形成された免疫沈降線をスライドグラス下から光を当てながら観察する。
  5.  得られた結果から、どの抗原に反応する抗体が抗体液中に含まれていたかを判定する。