センター紹介
教室理念|Philosophy
救急医療は、急病や外傷の救急患者に対し、その種類や重症度に応じた総合的判断に基づき、必要に応じて他科専門医と連携し、迅速かつ安全に急性期患者の診断と治療を進める医療と言えます。急病や外傷で、複数臓器が急激に機能不全におちいる状況の中で、初期治療から根本治療、そして集中治療へシームレスな橋渡しが必要であり、救急科専門医はチーム医療の中心的役割 (Coordination & Command)を担い、これを正確かつ迅速に実践します。この中心的役割を担って理論的根拠に基づいた救急医 療を展開できる人材を育成し、社会に輩出することを当教室は目指しています。救急医学の学術研究は多岐分野に渡りますが、急性疾病や多発外傷による侵襲免疫学、重症化の病態生理学、および中毒・薬理学を対象にします。本学の学是は「実学の推進」です。したがって当教室では、臨床現場への活用が望まれ(かつ見込まれる)対象にスポットをあてた研究を推進します。救急医療 への応用を念頭に置いた病態生理の解明を,当教室は救急医学研究の基本理念としています。
主任教授挨拶|Beginning
近畿大学病院救命救急センターでは、様々な病態と重症度の患者に対して、急性期に必要な病院前救急診療(ドクター・カー)から ERでの初期診療、そして集中治療まで、幅広くかつシームレスに診療しています。当救命センターは南河内医療圏における救急医療の要として、1982年に開設されました。2013年12月より、重症病棟30床(CCU・心臓血管センター6床を含む)、後方病床とし ての急性期病棟30床(脳卒中センター12床を含む)、オーバーナイト病床10床、の合計70床を有する救急災害棟がオープンしました。 救命救急科は年間約700例の重症救急患者を受け入れています。そのうち、重症頭部外傷を含む多発外傷が 約35%、病院外心停止(Out-Of-Hospital Cardiac Arrest: OHCA) が約20%、緊急手術を要する急性腹症や特殊感染症が約15%、熱傷、敗血症、中毒が全体の約15% を占めています。
救命救急の仕事は、大変やりがいがあります。当科の専門性はバライエティに富み、広い守備範囲をもって多くの患者を救うため、チームの一人ひとりが全力を尽くしています。一方で、女性医師の活躍と、古いしきたりにとらわれない柔軟な、シフト制による労務環境の整備を目指しています。
我が国の救急医学は長年にわたって、重症救急患者(3次救急医療)を中心に臨床展開してきました。しかしながら時代は変わりつつあり、当院において も救急災害センターの組織再編により、2017年度よりER部門も当教室の責任範囲に入りました。ERには年間1万人の患者が受診し、そのうち救急車の受け入れ台数は7,000台以上であり、この数は全国の大学病院の中で群を抜いています。そのため当院の初期研修医は北欧型のER、つまり、あらゆる重症度の救急診療にたずさわり研磨することができます。また、当センターはスタッフの労務環境をととのえつつ、あらゆる重症度の患者をシームレスに対応できる救急部門へ変革していきます。当教室では、診療・研究・教育のバランスを保ちつつ、救命救急という重要な仕事を継続して実践できる医師を、一人でも多く育成することが使命だと考えています。
また、地域に貢献できる救急医を育成する目的で、近畿大学奈良病院、医真会八尾病院、済生会野江病院、さくら会病院、城山病院、畷生会病院、永山病院、耳原総合病院、ベルランド総合病院、岸和田徳洲会病院、利尻島国保中央病院(以上順不同)の救急部門と連携して専門医プログラムを構築しています。未来は自分たちで創りあげるものです。救急医のあり方とは決して一つではないはずです。さぁ、僕たちと将来の救急医療を考えませんか?そして、一人でも多くの患者を笑顔にできる、そんな未来を一緒に創り上げましょう。
施設紹介|Overview
当センターは、365日 24時間体制の3次救命救急センターです。
- 院内の他科と連携を密にして、プライマリケアから3次までの救急患者に対応できるシステムをとっています。
- CCMC(ICU)24床、CCU6床の30床で構成されています。
- 大阪府南部を中心に和歌山県、奈良県からも患者を受け入れています。
- 大阪府南河内地域メディカルコントロール体制の基幹センターです。
- 年間700人の3次重症救急患者を治療しています。外傷患者の割合は35%。
- 院外心肺停止患者は年140例受け入れています。
- ドクターヘリ対応の災害拠点病院です。
- ドクターカー(トヨタ・ハイメディック)を所有し、救命率の向上を図っています。
当センターのERは大学病院としては珍しく、プライマリケアにも重点をおき、高い地域貢献と同時に、質の高い卒後臨床研修を可能としています。ERにおける受け入れ患者数、救急車搬入台数は全国の大学病院の中でトップクラスです。
治療内容|Remedy
- 3次救急疾患全般
-
- 重度外傷
- 特殊救急疾病
- 急性心筋梗塞
- 脳血管障害
- 急性肝不全
- 重症急性膵炎
- 重症消化管出血
- 急性中毒
- 広範囲熱傷
- 四肢指切断
- 急性大動脈疾患等
- 重症敗血症など
- 重度多発外傷に対する集中・集学的治療。
- 腹部実質臓器損傷や骨盤骨折に対するIVRを含めた最先端の医療。
- 中毒に対する血液浄化療法と各種中毒物質のGC-MSとLC-MSを用いた測定。
- 重症膵炎に対する動注療法。
- 重度熱傷ユニットに治療用バスとベッドを所有する。
- 臓器不全に対する血液浄化療法。
- 緊急消化管内視鏡検査と治療。
- 急性冠不全に対する治療(CCU)。
- 脳卒中に対するインターベンションを含めた治療。
- 切断指肢の再接着治療。
当センターの救命救急科医師は、3次救急疾患を全般的に治療対象としますが、特に緊急手術 の対応を担う、Acute Care Surgeryのスペシャルチームです。
スタッフ紹介|Staff
担当医師名 | 専門分野 | 専門医資格 |
---|---|---|
教授/センター長 篠崎 広一郎 |
救急科全般 | 日本救急医学会救急科専門医、日本集中治療医学会専門医、日本外科学会外科専門医、米国救急専門医 |
教授 重岡 宏典 |
消化器外科、一般外科 | 日本消化器外科学会消化器外科専門医、日本外科学会外科専門医 |
准教授 太田 育夫 |
救急科全般 | 日本救急医学会救急科専門医、日本消化管学会胃腸科専門医 |
講師、副センター長 植嶋 利文 |
頭部外傷、災害医療 | 日本救急医学会救急科専門医、日本脳神経外科学会脳神経外科専門医 |
医学部講師 松島 知秀 |
外傷、救急外科、熱傷 | 日本救急医学会救急科専門医 |
医学部講師 石部 琢也 |
救急外科 | 日本救急医学会救急科専門医 |
専攻医 岩本 博司 |
救急科全般 | ― |
専攻医 布谷 早樹子 |
救急科全般 | ― |
秘書
- 外戸口 知香
- 谷 由香