Division of Hematology, Department of Internal Medicine,

Kinki University School of Medicine  

近畿大学医学部 血液・膠原病内科【血液診療部門】  


 臨床面では造血器腫瘍・リンパ増殖性疾患・凝固異常などの最新の診療をしております。これらの疾患の治療には特殊な薬剤や無菌環境を必要とすることが多く、診療には血液専門の経験豊富な医師が研究部門と協力し、それぞれの症例を細胞生物学的・分子生物学的手法を用いて解析・診断が行われております。また、患者様には十分なインフォームドコンセントのもと最適な治療を提供しております。

 血液内科病棟は最上階の11階に位置し、常時35~40名の患者様が入院されており、比率としては①悪性リンパ腫 40%、②白血病 30%、③骨髄異形成症候群・再生不良性貧血15%、④多発性骨髄腫5%、⑤その他(凝固異常疾患等) 10%となっております。全ての症例の血液像・骨髄像の検鏡および症例検討は金丸教授を中心に医局員・医学部学生・臨床技師などを含め、頻回に行われております。また、関連病院・他大学との連携も密にしており、難解な診断や治療抵抗性の症例を集め、定期的に懇話会も開催し切磋琢磨しております。 

 
   白血病

 当科での白血病症例は、南大阪地域はもとより大阪府下・和歌山県をはじめとする近畿地方からの紹介が多く、18年度の入院症例数は、急性骨髄性白血病 54例、②急性リンパ性白血病 11例、③慢性骨髄性白血病 7例、④慢性リンパ性白血病 6例、⑤成人T細胞性白血病 8例でした。当科は日本成人白血病治療共同研究グループ(JALSG)に所属し、世界的にも登録症例数は多く寛解率も非常に高率で、これらの成果は現在まで数多くの国内・国際学会や血液専門雑誌に発表され高い評価を受けております。治療面でも最新の分子標的療法(Imatinib、Gemutuzumab-Ozogamicin:GO等)を積極的に導入しております。また、全国の骨髄バンク・臍帯血バンクとも連携し造血幹細胞移植も数多く施行しております。 




   骨髄異形成症候群

 骨髄異形成症候群は平成18年度で24例の入院症例があり、JALSG、厚生労働省をはじめ数々の研究グル-プに所属し、難解な骨髄異形成症候群の臨床・分子レベルでの解析をもとに最新の化学療法・免疫療法に加え造血幹細胞移植も施行しております。 



   悪性リンパ腫

 当科における悪性リンパ腫の入院症例は平成18年度で128例であり、単一施設としては国内有数となっております。診断に関しては全国レベルの悪性リンパ腫研究グループであるJapan Clinical Oncology Group(JCOG)や関西地域の悪性リンパ腫の診断・臨床的検討を目的とする大阪リンパ腫研究会(Osaka Lymphoma Study Group: OLSG)のメンバーとして活躍し最先端の治療を目指しております。特にOLSGへの登録数は西日本では最も多い施設となっております。治療面では初発時に病理組織や遺伝子診断をもとに正確な診断を確定し、危険因子を検討して提唱されたIPI(International Prognosis Index) に基付いて症例毎に長期計画を立て、十分なインフォームドコンセントのうえで最も適した治療法を選択しております。その内容として、B細胞リンパ腫に対しては近年頻用されている抗CD20抗体(Rituximab)に従来の化学療法プロトコールであるCHOP療法を組み合わせたR-CHOP療法を中心に、再発例には当科で考案したR-MECP療法やR-FND療法を中心に高い寛解率を得ております。T細胞リンパ腫や治療抵抗性リンパ腫に対してはCHOP療法やESHAP療法など既存のプロトコールに加え、新規の治療法や放射線療法にも対応しております。症例によっては積極的に自家末梢血幹細胞移植や同種幹細胞移植も施行しております。 



   多発性骨髄腫

 既存のMP療法、VAD療法などに加え、近年注目されているサリドマイドやプロテオゾーム阻害剤(Velcade)なども使用し可能な限り寛解を目指します。さらに適応例には自家末梢血幹細胞移植や同種幹細胞移植も施行しております。 


主要造血器疾患入院患者数(平成18年度)

急性骨髄性白血病 54
急性リンパ性白血病 11
慢性骨髄性白血病  
慢性リンパ性白血病
非ホジキンリンパ腫 117
ホジキンリンパ腫 11
成人T細胞白血病/リンパ腫
骨髄異形成症候群 23
再生不良性貧血
多発性骨髄腫 14
特発性血小板減少性紫斑病 11
造血幹細胞ドナー 11
その他 13
合 計 292






   造血幹細胞移植




 当科は南大阪地域で唯一の大学附属病院血液内科であるため、非常に多数の造血器腫瘍患者の治療を行っています。そのため、化学療法によって寛解に到達してもhighriskと考えられる症例や、化学療法に抵抗性で寛解に到達しない症例を対象として数多くの造血幹細胞移植を行っています。通常行われるHLA適合の同種骨髄移植、同種末梢血幹細胞移植、臍帯血移植に加えて、最近は家族ドナーによるHLA不適合の母児間免疫寛容理論に基づく移植も積極的に行っています。また、従来の骨髄破壊的前処置に加えて、年齢や臓器障害の有無に応じて骨髄非破壊的前処置によるいわゆるミニ移植も行っています。このように種々の工夫をすることによって、移植が必要なたくさんの患者に造血幹細胞移植を施行できるようになっています。 




   HIV感染症

 HIV感染症はわが国では依然増加しており、当院においても徐々に受診患者数が増加しています。当院は近畿ブロックエイズ診療拠点病院のひとつとして、月曜日から土曜日まで診療を行っており、全科対応が可能な機能的拠点病院であると思われます。HIV感染症の患者様に対し、心理面も重要視し、普段は医師が対応しますが、必要な時は大阪府のエイズ専門カウンセラーに依頼し、メンタルサポートも木目細かに行っています。近年、HIV感染症は抗ウイルス療法(HAART)の進歩により、完全なウイルスの撲滅こそ困難でありますが、コントロール可能な疾患として捉えられてきております。そのためには、服薬は非常に重要な因子であり、服薬指導も丁寧に行っております。また、身障者申請・自立支援医療の手続きも円滑にかつプライバシーを遵守し行うことができ、安心して治療を受けることができます。





   主な大規模臨床研究

1.厚生労働省調査研究班による他施設共同研究

  • 発作性夜間血色素尿症の日米比較と疫学的検討や再生不良性貧血に対する治療薬の組み合わせの検討、骨髄異形成症候群の分子生物学的病態解析

2.大阪リンパ腫研究会(OLSG)

  • 大阪府下の悪性リンパ腫のセントラル・レビューと全施設での統一プロトコールによる治療の試み

3.日本成人白血病治療共同研究グループ(JALSG)

  • 急性白血病(急性骨髄性白血病、急性前骨髄球性白血病、再発・難治性白血病)、慢性骨髄性白血病、 進行性骨 髄異形成症候群ならびに多発性骨髄腫に対する多剤併用療法の新規プロトコール開発とその治療効果検討

4.発熱性好中球減少症研究グループ

  • 化学療法後の好中球減少期における発熱に対する抗生物質や抗真菌剤投与の予防および治療効果の比較検討





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