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教室の沿革

写真1写真2
1.教室の沿革

近畿大学医学部眼科学教室は、大鳥利文教授(写真1)が昭和49年4月1日付をもって大阪大学医学部眼科学教室から近畿大学医学部に赴任した時から始まった。当時は、進学棟、専門棟、研究棟と図書館が完成していたが、病院棟は外装のみ出来上がり、内部は建築中であった。
 昭和49年中は、会議の連続で、眼科外来の設計、教室の整備、などが着手され、50年1月に北谷和章技術員が採用され、教室の物品購入、整備を大鳥教授と二人で行われた。4月からは大阪大学から法貴隆助教授、越智信行助手、須田秩史助手が赴任、安田(旧姓木下)富美子、塚本(旧姓大西)和子の視能訓練士、池田(旧姓桜井)診療秘書、秋田婦長、真砂看護婦の10名と眼鏡部の谷畑で5月1日から一般診療を開始した。


2.研究

開設時よりの研究は、臨床研究が主体であった。特に視野および超音波診断の分野では全国に先駆けて最新の機器を導入し、優れた研究成果を発表している。とりわけ、中心視野系Central Field ScreenerO-Ⅱ、自動視野計ATS-85、近大式中心フリッカー値測定装置や眼内潅流液(オベガード®)などの開発は大鳥教授の業績であり、臨床的評価が高い。顕微鏡下の白内障手術、特に超音波白内障手術を開院当初から採り入れ、昭和55年には第3回日本眼科手術学会を主催している。さらに、斜視手術においても優れた研究発表を行い、昭和60年に第25回日本視能訓練士協会研究会を主催している。
 昭和56年、国立循環器病センターから中尾雄三助教授(現・近畿大学堺病院眼科教授)が赴任し、神経眼科、特に画像診断学についての研究、昭和59年には大阪大学から西田輝夫講師(現・山口大学眼科教授)が赴任し て、角膜の基礎研究(創傷治癒)がテーマとなり、各々の分野で最新の研究成果を国内外の学会で多数発表するようになった。眼科専門医制度の開始と共に昭和58年から地域の開業医師に聞かれたClinical Conferenceとして南大阪眼科勉強会を年4回開催し、現在も続いている。
 昭和63年9月には第54回日本中部眼科学会を京都で主催した。平成3年4月にはアジア太平洋眼科学会のTechnical Exhibitionを担当した。さらに、平成5年1月に第17回角膜カンファランス(日本角膜学会総会)・第9回日本角膜移植学会を白浜にて主催し、12月には第9回国際眼研究者会議日本部会を大阪で開催した。
  平成11年3月に大鳥教授が退官され、4月に、大阪大学から下村嘉一教授(写真2)が赴任した。研究体制は角膜の基礎研究をベースにヘルペスウイルスを中心とした角膜感染症に発展し、その成果は平成16年日本臨床眼科学会の特別講演として報告された。
 現在の研究体制として、一研(国吉一樹講師がヘッド)は網膜の電気生理学研究を行い、糖尿病網膜症や黄斑症における網膜電図の検討に成果をあげている。二研(松本長太助教授がヘッド)は様々な眼疾患の視野、視覚生理に関する基礎ならびに臨床研究が進められている。検査機器、測定方法、コンピュータプログラム作成まですべて独自に開発するオリジナリティーの高い、そして臨床に直結した世界レベルの視野研究を目指している。また、世界で初めて変視症を定量可能としたM-CHARTSの開発、商品化に成功している。三研(福田昌彦講師がヘッド)の3本柱は角膜ヘルペス、人工角膜、角膜創傷治癒の基礎研究である。ヘルペスに関しては、特にウイルスの潜伏感染と再活性化、real time PCRやDNAマイクロアレイなどの眼科的応用、などを行っている。人工角膜の研究は、PMMAからなる光学部の周辺に母角膜との縫合可能なポリウレタンのスポンジ構成を持つ独自の人工角膜を開発し、良好な成績をおさめ、将来の臨床応用が期待できる。創傷治癒についてはin vitroでの創傷治癒判定モデルを確立し、フイブロネクチンや各種サイトカイン、トランスグルタミナーゼなどの効果解析を行っている。


3.教育

従来、医学部学生に対する臨床講義は4年生から始まり、大鳥教授、中尾助教授、西田講師が担当していた(1986年)。臨床実習(ポリクリ)の対象は5・6年生で助手や大学院生も実習や小講義を分担し参加していた。
 大学院生は、表1に示すように眼生理学の基礎を充分に理解し、眼診断学ならびに眼治療学の開発、進歩に役立つ論文が作成できるように指導し、将来眼科専門医あるいは研究者として活躍できる能力を養成できるよう院を構成した。
 卒後教育で特筆されるのが昭和53年から継続されている在阪5大学眼科学教室で構成される基礎眼科講習会である。1週間から2週間をかけて、卒業1年あるいは2年目研修医を対象に在阪5大学眼科の講師以上のスタッフが講義を担当する。
  関連の研修病院としては阪南中央病院、富田林病院、ベルランド病院、府中病院、阪和住吉総合病院、PL病院、咲花病院、若草第一病院、新金岡豊川総合病院、堺温心会病院、浅香山病院、山本内科病院、和泉診療所、小島眼科分院、大阪リハビリテーション病院、日野クリニックの16ヵ所があり、大学での研修終了後、関連病院で手術や診療のスキルアップを図っている。年1回、近大堺の中尾教授、近大奈良の三島助教授と共に、16病院の眼科部長と、近大狭山病院において関連病院部長会を開いて、効率の高い臨床教育、さらに健全な病病あるいは病診連携を構築している。


4.その他

平成13年2月にはりんくう国際会議場において第25回角膜カンファランス(日本角候学会総会)・第17回日本角膜移植学会を主催し、その際、月山純子院生が北野賞を受賞した。さらに、同年5月に基礎研究者の集まりである第16回ヘルペススウイルス研究会を南港で開催した。参加者全員同じホテルで宿泊し、夜を徹して議論できるホットな研究会であった。平成15年7月には第46回日本コンタクトレジズ学会・第40回日本眼感染症学会を大阪で開催した。特別企画として永年眼感染症の発展に功労のあった歴代の会長を表彰する式典を催し好評を博した。さらに、平成16年11月には第70回日本中部眼科学会を大阪で主催した。本学会はこの第70回で最後となり、70年記念式典を設け、第1回から第70回までの開催地、歴代の会長を紹介し、記念展示コーナーを設け、過去の学会プログラム、原著、学会印を展示した。


5.文献

① 日本眼科学会百周年記念誌編纂委員会編:日本眼科学会百周年記念誌第4巻(大学眼科の歴史). 1997
② 近畿大学眼科学教室編:大烏利文教授退任記念業績集. 2000
③ 近畿大学眼科同窓会編:近畿大学眼科同窓会誌第1号第4号. 2001 2004

近畿大学医学部、附属病院
三十周年記念誌、pp166-168より転載