• 私も教育研修講演を行わせていただいたが、その講演内容は、これから開業しようと思い、夢を抱いている若い勤務医を対象としたものであった。これから地域で開業しようと思えばOrthopaedic Medicineのスペシャリストとしての特別なカリキュラムが必要であり、これから整形外科関連学会はそれを提供するべきであろうと考えているので、その一助を目指したものである。内容は地域での代替医療の恐るべき現状と、なぜわかっていてそのようなところを訪れるのか、接骨院を訪れている患者さんのニーズを調査し語ったものである。まとめると接骨院の新患の10%は一旦整形外科で診察診断してもらってから接骨院を訪れていること、これは整形外科を訪れる新患の2%にあたることなどであった。患者さんが整形外科を離れる様々な理由が明らかになり、これらは実際に会場で聞いておられた、既に開業しておられる先生方にはかなりショッキングな聞こえ方をしたかも知れない。今のままでは危ないといっそう危機感を募らせた方も少なくないのではと考えている。
  • また私の講演に続くシンポジウムでは2名の柔道整復師を交え、接骨院受診患者さんの意識を代弁していただき、これから地域で是非とも必要な、しかも切望されている整形外科専門医による指導体制などを討議した。
  • またOrthopaedic Medicineの一つとして、整形外科専門医が行う手技治療の実演と講演も計画した。これには九州や関東等、近畿以外の方々もあり、予想以上の参加者をみた。4種類の手技治療の実演はビデオに撮影しているので希望者には実費2000円で頒布したい。即時的な鎮痛効果をうたう手技治療は、これまでは私は反発しか感じなかったが、整形外科医による導入と実践に触れるこで、適応を選べば患者さんに福音となる有効な治療手段であり、これからの地域開業医にとって有力な武器となりうるようである。
  • 私の講演に話をもどすが、現在開業しておられる整形外科医にはかなりショッキングな聞こえ方をしたかも知れないと上に述べた。しかし「浜西は地域社会で、JCOAは保存的治療で柔整に敗れ去っていると明言した」といううわさが流されているらしい。なさけない曲解である。そこまで被害者意識にとりつかれているのかと唖然とする。今のままでは開業医は徐々に危なくなるのは事実であろう。しかし若い医師、これからの地域開業医には夢があり、パワーと地域の運動器スペシャリストとしての指導的役割が期待されていると語り、鼓舞したつもりである。意図的な風評を聞いて開業医を侮辱したと激昂しておられる方々にはスライドをそのままお送りしたい。JCOAメーリングリストの中でいくら議論が沸騰していても私には応えようがないので、直接私に御意見を頂きたい。講演のテープお越し原稿もある。会場で聞いておられたJCOA理事長はじめJCOA幹部方にはすでにスライドをお送りしている。皆でじっくり検討され、正しい理解に達して頂きたいと願っている。
    第103回中部日本整形外科・災害外科学会 御案内

    1. 挨拶(1)2003.9.22 (2004.3.19改定)
    2. 挨拶(2)2003.10.6
    3. 挨拶(3)2003.10.15
    4. 新年の御挨拶 2004.1.13
    5. 公式ホームページ開設 2004.1.21
    6. 特別講演・教育研修講演のお知らせ 
    7. 演題募集始まる
    8. 演題応募終了
    9. プログラムを編成を終えて 2004.7.23
    10. 抄録集巻頭あいさつ

    松山の102回本学会が盛会のうちに終了しました。私は学会前日に内子町を訪ね、和蝋燭を買い求め、春の伊予路を満喫いたしました。山本教授始め、医局の皆様御苦労さまでした。

    さて103回の本学会まであと7ヵ月です。私自身、上記の日整会への提言に基づいて、具体的行動を模索することで頭が一杯です。それは運動器専門医・整形外科開業医がこれからも地域から求められていくためには何をすべきか、どのように地域で立てるかを探ることです。これまでのようにいくら借金しても、一旦開業すれば患者は殺到する時代から、運動器専門の開業医がいったい何を提供できるのかを地域にしっかりアピールしなければ患者は来てくれない時代になります。それに応じて若手の医師や勤務医が地域開業を考慮する時に、これからは、経営の収支計算ノウハウばかりではなく、それなりの準備と知識と、そして何よりも地域の運動器疾患を全て担うという自信を必要とされるでしょう。それは地域住民からだけではなく氾濫する代替医療からも医療があきらかに峻別され、慰安ではなく医療を求める国民から頼りにされるということです。そういう研修を提供する場として、あるいは社会の運動器専門医へのニーズを汲み上げる場を作り上げて行く、そのひとつの段階として第103回中部日本整形外科災害外科学会を捉えられたらと考えています。

    特別講演・教育研修講演としてお願いしているものをお知らせしましょう

    1. 基調講演として近畿大学整形外科初代教授の山室隆夫先生に『運動器と人間の尊厳』を語って頂きます。ヒトの意思を、人の尊厳を表出する外臓器としての運動器の重要さを知り、それをまもる職務を与えられている我々は誇りを持つべきであり、社会に訴えて行くべきであります。
    2. 日本福祉大学の二木 立先生に『医療保険改革』を語って頂きます。先生は第医療制度、医療行政ウオッチャーとしてこれまで介護保険や医療保険制度に関して日本のオピニオンリーダーとして活躍しておられます。実は102回の本学会でも講演され、私が座長をいたしましたが、運動器疾患やその治療のおかれた社会的状況を明らかにしたり、一番知りたかった我々が何をなすべきなのかという部分は時間の関係で語られませんでした。そのためその結論の部分もしっかりと聞かせていただきたいと願っています
    3. 弁護士の菅原哲朗先生には、整形外科医師をとりまく保険賠償のさまざまの問題を取りあげて語って頂きます。原告側とせっかく和解が成立しそうなのに、保険会社が和解額に難色を示したようなことはないでしょうか。病院を超えて医師への個人的な賠償請求の現況はどうでしょうか。アメリカのように整形外科医師と契約する保険会社がみつからないという状況に日本も将来ならないでしょうか。いったい医業類似行為者の施術過誤には保険賠償がなされているのでしょうか。こういった点を聞かせていただきたいと考えています。
    4. break throughシリーズとして2つお願いしています。マウスの皮下で耳介や手指関節を発生させて世界を驚かせtissue engineeringの先駆けとなった近畿大学形成外科助教授の磯貝典孝先生に、ヒトへの応用に向けて立ちはだかる壁と手段を語って頂きます。
    5. また成体の哺乳動物において、脊髄損傷の機能的修復を不可能としていた壁を、細胞を用いないで始めてbreak throughできた業績を関西電力病院の好井 覚先生に語って頂きます。
    6. 和歌山医科大学の吉田宗人先生には頚椎も含めて内視鏡視下脊椎後方手術の可能性を語って頂きます。加齢にともなう脊柱の変形や変性は、逆に生体が自己修復、自然治癒を図ってきた証でも有ります。その変形を脊柱を一旦ぐらぐらにしてから金属を用いて強引に矯正する空しさに対し、現在の症状の責任部位だけをピンポイントに除圧する内視鏡視下後方手術は患者さんにも優しいもっとも新しいコンセプトです。
    7. 帝京大学の高井信朗先生に、人工膝関節置換術の設置技術の最も新しい分野について語って頂きます。もっとも整形外科らしい分野であり、一方ナビゲーションやロボットや最小侵襲手術のターゲットになりつつある分野です。
    8. 日整会提言シリーズの一つとして大阪大手前整肢園の富 雅男先生に手技治療について語って頂きます。先生はドイツ留学中に手技治療師ヒエロテラピー)、の免許を取得されています。御承知のようにヨーロッパでは腰痛のスクリーニングは手技治療師が行い、腰痛5段階のうち軽症の2段階は彼等が治療を行います。そして重傷の3段階が医師に紹介されそこで医師の出番となります。また三重大学整形外科医局員で現在アメリカのパーマ−大学の最終学年で研修している松久正先生にはガンステッドカイロプラクティークの話をして頂きます日本でちまたにあふれているカイロプラクティークは何の資格もないものであり、欧米の医療として認められたカイロプラクティークとはにても似つかぬものであります。そのあたりの正しい知識を得て、患者を指導し、また手技として身につけることは運動器専門医の外来冶療の一つの技として必須ではないかと考えています。
      上の二つの御講演と組みで、池袋で御開業の住田憲是先生AKAのご講演をお願いしています。Arthro-Kinematic Approach(AKA)には、今だに私も含め、整形外科医から反発が強く有り、これまで整形外科関連一般学会でとりあげられたことはないのではと思います。しかし即効する症例もあり、医師が行える手技治療として沢山の整形外科医が外来診療にとりいれています。本学会では地域専門医の武器の一つになるかどうか、この成績や原理を語って頂き、正当に評価したいと考えています。手技治療は主題でもとり上げていますのでAKAや手技治療を行っている整形外科医師は多数応募してほしいと願っています。しかし民間医療的な有効例を羅列するだけの発表ではなく、できるだけ無効例の分析や適応を述べた科学的なものを期待しています。
    9. THA後の脱臼は、今、肺塞栓とならんで整形外科医の悩みの種であります。奥村秀雄先生に、そのご経験と設置手技上の留意点等御講演頂きます。
    10. また上肢骨折の徹底した保存療法を石黒隆先生に、
    11. 大腿骨近位部骨折など外傷後の深部静脈血栓症と肺血栓塞栓症について阿部靖之先生にお話し願います。
      このお二人には、実は昨年の第29回日本骨折治療学会にも講演をお願い致しました。そしていずれも非常に好評であり、是非、聞いていなかった方にはチャンスをもう一度差し上げて、できるだけ多くの方に聞いて頂くべきとの意見が多く、私もそうしたいと考えていました。
      整形外科医師による骨折の保存的治療は、勤務医、開業医を問わず、整形外科医師の生き残りをかけて今、学び直し、実践しなおすべき技術であり、本学会のメインテーマであります。
      また肺血栓塞栓症は今、整形外科医師をとりまくもっとも深刻な問題の一つであります。ギプスで保存療法中や、肩関節手術や上肢の手術でも肺血栓塞栓症が発生し、全身麻酔が導入された途端に静脈血栓はでき始める、いやそれどころか食道エコーで見るとターニケット除去時には全例肺血栓塞栓症が発生しているといった報告もあるくらいです。ですからfoot pumpは術後に病棟でおもむろに装着するのではなく、手術室で麻酔導入直後から装着するのが常識になりつつあります。昨年の学会から1年以上が経過し、その間、ガイドラインもでき、さらに状況は変わっています。怖い話ばかり聞かされるのはもううんざりです。整形外科医ができる予防や治療範囲はどこまでか、どこまでやっておけば許容されるのか。どこからは他科の専門医に渡すべきなのか。そういった点が聞かれると思います。御期待下さい。
    12. 私も教育研修講演を考えています。医業類似行為に関連したものになるでしょう。5月23日(日)神戸で開催される日本整形外科学会学術総会代替医療に関するパネルがありました。私は『整形外科医をとりまく代替医療とその対応について語りましたが、やはり語りつくすことは不可能でした。それで認められるかどうかわかりませんが日整会に教育研修単位を申請するつもりでおります。
    13. 代替医療とその対応についてはシンポジウムも考えています。医師以外の方々もシンポジストとして参加してもらえるようなものを考えています。最近の調査では接骨院を訪れている患者さんの一割近くは整形外科でまず診断をうけてから、接骨院を選んで行っているようです。そうなると、柔道整復師が制度的におかしいなどと言う前に、地域での整形外科のなすべきこと、認知、そして患者さんから求められているニーズが一体何であるのかを真剣に考えてみなければなりません。
  • 抄録集巻頭挨拶
  • 開催のご挨拶
    近畿大学はじめ多くの新設医科大学がそれぞれ開講30周年の節目を迎えています。この間、整形外科はその医師数や治療範囲において膨張を続け、数えきれない技術的進歩が導入されてきました。しかし今、それらの膨張にはブレーキがかかり、他科の運動器治療への参入、代替医療の激増、そして内科中心の卒後義務研修の開始とともに、整形外科への意識やニーズは国民や行政、地域において大きく変わりつつあります。何が奪われ、失われようとしているのか、決して放棄してはいけない部分はなにか。その変化と次世代への戦略を皆様とともに考える学会にできればと願っています。そのためになじみの少ない主題案も多数提示しました。そしてそれらにチャレンジして多数の応募をいただきました。
    3名の委員による査読の結果410題を採用し、プログラムを編成致しました。主題セッションを構成したもの109題、一般演題でポスター発表が113題、そして口演が188題となりました。 ポスターの発表時間は4分、討論3分、口演は主題、一般とも5分発表と3分討論で進めていただきたいと考えています。冗長を避けるため発表時間を削り、討論時間を確保しました。ポスターは稀少例の報告とともに主題セッションとして成り立つものをあえてポスターで並べて一覧とし、討論し易いようにと考えているセッションも幾つか有ります。ポスター発表者にはポスターと発表内容を吟味し、とにかく発表を印象的なものにするために発声練習と4分のリハーサルとを繰り返していただくよう御願いいたします。大会場におけるスライド口演よりもはるかに発表技術を要することをご理解下さい。
    また本学会では初めて口演スライドはウィンドーズPCからのみ映写いたします。マックのpower pointで作成したスライドは医局のウィンドーズPCで必ず互換性を確かめ、USBメモリーかCDRで早めに4階のPCオフィスに持ち込み、画像調整を行って下さい。私も両形式を使用していますが現在互換性のないソフトは殆どありません。またLANでオフィスと会場をつなぎますのでノート型PCの会場持ち込みは行いません。このような発表形式の変化は進歩といえるかもしれませんがPCのフリーズやLANのトラブルといった電子媒体リスクを常に感じます。スライドをケースに並べて大事に運んでいたころが懐かしくさえ思えます。
    主題応募の中では術後の腰背部痛や項部痛に対する後方軟部組織温存手術の応募が非常に多く、関心の高さをうかがわせました。脊椎は可動性を有し、慢性の痛みを覚えるのは腰背筋や項筋ですから、これまでのように骨の切り方と椎弓の開き方しか念頭になく、項靭帯や筋肉への配慮などなかった椎弓形成術や、金属材料を使用するために過大な筋肉侵襲を加えて萎縮瘢痕化させ、筋肉が働こうにも脊柱が固定されてしまっているようでは術後に頑固な痛みを発生するのがむしろ当然でした。今、ようやくそれが認識されるようになり、さまざまの工夫をこらした術式と術後リハ、そして成績が発表されます。これで術後に腰痛や項部痛に悩まされる患者さんは過去のものになるでしょう。新しい人工関節の応募はやはり多かったのですが、それについで深部静脈血栓症・肺血栓塞栓症の主題応募が多く、学会全体でこの問題への日常的な盛り上がりが感じられました。
    本学会では将来運動器保存療法専門医として地域開業を目指している整形外科医のために何か役に立つ学会にできればと願っていました。そのためこれからこのような学会では二度と取り上げられることがないと確信できるものをいくつか企画いたしました。その1つは整形外科医が行う手技治療です。そこで演題応募を求めたところ幸い主題セッションが成立しました。二日目には3人の整形外科医による手技治療の教育研修講演を計画していますが、初日午後には講演者自身による手技の実演セッションも考えています。AKA博田法、ガンステッドカイロプラクティーク、オステオパチー、ヒエロテラピーなどの実演が整形外科専門医によって行われる予定です。 AKA博田法はすでに200名を超える整形外科医が会員となり、もっと多数が外来で実践されているようです。手術を旨とする整形外科医にとってこれまで理解不可能で拒否感を抱くしかなかった手技治療ですが、少なくとも運動器専門医であろうとするなら、そして地域開業を目指すなら、今、偏見をとりあえず捨てていわゆる手技治療を正しく理解しようとする努力が求められているのではないでしょうか。
    また若い医師が地域で開業してみてびっくり仰天しないように運動器の代替医療の歴史や現状を私が講演させていただき、続いて代替医療に頼る国民の意識、国民の整形外科医へのニーズ、そして整形外科医の役割などを語りあうシンポジウムを一つだけ企画致しました。あとにも先にもとにかく今回限りのこれらの企画に是非ご参集下さい。
    教育研修講演は全部で18講演を企画致しました。基本的には提示主題一つずつに教育研修講演を準備しようとしたためこのように多数になりました。しかもtissue engineering、脊髄移植から医療経済、医事訴訟まで極めて多彩になりました。肺血栓塞栓症にいたっては切り口は異なりますが2講演あります。これら18講演には6つのヌーンタイムレクチャー(NTL)も含まれます。NTLは空腹でしょうが昼食抜きでまず講演に集中していただきます。そしてその後30分のランチタイムを設定致しました。昼食につられて集まり、食べながら聞くランチョンセミナーという形は改められるべきであろうと考えていますのでご理解下さい。
    中部日本整形外科災害外科学会は関連学会の分化・乱立の中で典型的な地方の一総花的学会であり、当然のごとく活気を失いつつありました。しかしながら前回の松山から続いての発表演題数400演題を越える学会となり、どうやら復調傾向が見られます。これはおそらく日本整形外科学会学術総会の一般演題を排除してゆく方針と、申請に筆頭著者論文を必要とする専門医資格によるものではないかと考えています。来年からおそらく学会参加単位も3単位加算されるようになりますのでこの流れが一層加速されてゆくのではないかと期待されます。しかし学会の果たすべき責任も当然ながら大きくなってゆきます。
    C会場では二日目のプログラム終了後、第11回日仏整形外科学会が開かれます。フランスの伝統的な、そして斬新なアイデアに満ちた整形外科にこの機会に触れてみられてはいかがでしょうか。
    それでは紅葉の六甲連山をポートアイランドから眺めつつ、潮風薫るさわやかな秋の神戸を存分にご満喫下さい。