第19回
17.CARCINOGENS-3 (一部,筆者改変)
[重要用語]
c. Radiation(放射線)and ultraviolet rays(紫外線)
・ UV radiation (UVB) produces pyrimidine
(thymine) dimmers in DNA
紫外線はDNA内にピリミジンダイマー(重合体)を形成
・ ionizing radiation (X-ray and γ-rays) cause breaks
in nucleic acids.
電離放射線(X線,ガンマー線)は核酸破壊を引き起こす
・ radon is associated with lung cancer in
nonsmokers.
ラドンは非喫煙者の肺癌に関連性がある.
[解説および参考資料]
発癌の発生機序は主に突然変異によるものと考えられている.
・放射線は物理的エネルギーでDNAを切断.その修復過程においてある一定の確率で修復ミスによる変異導入がおこる.放射線による内因性レトロウイルスの活性化や細胞の癌に対する感受性の上昇も知られている.
X線長期曝露(医師,x線技師,患者):皮膚癌,白血病
コバルト,ウラニウム,ラジウム(鉱山労働者など):肺癌
トロトラスト造影剤:トリウムによる発癌作用
・紫外線は,細胞傷害性があり,DNAに対して突然変異誘発作用がある.以下が知られている.ピリミジンダイマーは,thymine–thymine間,thymine-cytosine間,cytosin-cytosin間にみられ,その修復過程でAT ---> GCの塩基置換が起きる.
野外労働者,白人:皮膚癌(基底細胞癌,扁平上皮癌),悪性黒色腫
色素性乾皮症:皮膚癌(基底細胞癌,扁平上皮癌),悪性黒色腫
参考:病態病理学(17版)菊池浩吉他編,南山堂,2007年,p547
Rubin’s Pathology 5th ed.
2008, p167-168.
[参考画像]
a.
b.
a.72歳,男性.左手背皮膚.高分化扁平上皮癌.表皮に乳頭状肥厚部がみられ,著しい角質肥厚をともなっている.
b.扁平上皮に類似した異型細胞が胞巣状を呈して増殖,浸潤している.胞巣には角質真珠の形成が認められる.
*:成因としては日光(紫外線),ヒ素,タール,放射線が考えられる.熱傷や潰瘍も前駆症として注目される.
[演習問題]
以下のうちで発癌性が知られているのはどれか.
a.紫外線
b.X線
c.ラドン
d.コバルト
e.トロトラスト
正解:a.b.c.d.e