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[重要用語]

33.IMMUNOGLOBULINS 免疫グロブリン      

a.IgM

large moleculepentamer5量体)

secreted early in immune responseprimary response) 免疫反応の初期に出現

can not cross the placenta 胎盤通過性なし

can activate complement 補体を活性化

contains a J chain J鎖を含む

訳者註:IgM6量体の場合もあるとされますが,この場合はJ鎖は無いだろうといわれています(存在スペースがない) J鎖は実際には5量体のどの部位に結合しているかは判明していない(J鎖は形質細胞で同意に産生されます)そうです.また,10カ所の抗原結合部位のすべてに抗原が結合することは無いといわれています.理由は抗原のサイズが遥かに大きいから.

Bリンパ球の分化過程で最初に細胞表面に発現します.

 

b.IgG

most abundant immunoglobulin in serum 血清内で最も豊富な抗体

secreted during second antigen exposure

secondary or amnestic response

can cross the placenta 胎盤通過性のある免疫グロブリンはこれのみ.

can activate complement 補体を活性化

can function as opsonin オプソニンとして機能

訳者註:IgG1-G4までサブタイプがありますがIgG2は胎盤通過性がなく,また単球,好中球と結合できないといわれています. またIgG4は補体を活性化しません.抗原の種類によって産生されるサブタイプが異なります.したがって,感染症,免疫反応でサブタイプの動向が重要視されています.

 

c.IgE

allergies, asthma, parasitic infection アレルギー,喘息,寄生虫感染で分泌

found attached to the surface of basophils and mast cells 好塩基球,マスト細胞に結合

participates in type I hypersensitivity reactions I型アレルギー反応に関係

訳者註:細胞表面のIgE受容体Fcε受容体)と呼ばれる分子に結合することが知られており、Fcε受容体はマスト細胞、好塩基球、好酸球等の細胞に発現しています

d.IgA

usually a dimer with a J chain and a secretory component J鎖で結合し2量体形成

found along Gl tract and respiratory tract 消化管や呼吸器でみられる

secretory immunoglobulin 分泌型免疫グロブリン

can activate alternate complement pathway 補体の第二経路を活性化

訳者註:分泌型IgA初乳中に含有され、新生児の消化管を細菌・ウイルス感染から守る働きを有しています(母子免疫).

 

e.IgD

receptor for B cells Bリンパ球レセプターあり

found on the sufface of mature B cells 成熟Bリンパ球表面に発現

訳者註:日本語版Wikipediaは非常に参考になりますがIgDの項目は不完全であり,記述が誤っています(2011722日現在).英語版Wikipediaが参考になります.

 

[解説および参考資料]

血清値はIgG: 8001,600mg/dL,

            IgA: 130290mg/dL,

            IgM: 100180mg/dL

            IgD: 9mg/dL以下

            IgE: 250IU/mL以下(RIA法)

免疫グロブリンのサブクラスで分けるとIgG1,IgG2,IgG3,IgG4, IgM, IgA1,IgA2,IgD,IgEとになります.

抗体の基本構造は,それぞれ可変領域(V region)と定常領域(C region)とを有する大小2種類のポリペプチド鎖(H chain, L chain)のおのおの2本からなります.それぞれS-S結合で連結し多重鎖構造を呈しています.

V領域の超可変領域が抗原結合部位を構成し,抗原決定基(エピトープ)との結合親和性を決定します.抗原との結合は,1. 水素結合,2. 静電結合,3. van der Waals力,4. 疎水結合 などが働きます.


 

[参考画像]

   

図:免疫グロブリンの基本構造と名称

1:Fab領域,2:Fc領域,3:重鎖(N端から順に,VH, CH1, ヒンジ, CH2, CH3),4: 軽鎖(N端からVLCL5:抗原結合部位,6:ヒンジ部

参考となるサイト:http://ja.wikipedia.org/wiki/免疫グロブリン

 

演習問題]

免疫グロブリンのうち,胎盤通過性があるのはどれか.

a. IgG1

b. IgG2

c. IgG3

d. IgG4

e. IgM

f. IgA

g. IgD

f. IgE

                                                         解答:a.c.d