第41回
39.ANTINUTROPHIL CYTOPLASMIC ANTIBODIES (ANCAs)
(抗好中球細胞質抗体)
(一部筆者加筆)
[重要用語]
l.c‐ANCA(cytoplasnic)
・標的抗原proteinase 3 (PR3) →Wegener's granulomatosis or Churg-Strauss syndrome
抗原は好中球の顆粒に存在するproteinase 3であるとされています.
2.p‐ANCA(perinuclear)
・標的抗原;好中球顆粒内のmyeloperoxidase (MPO) →microscopic polyarteritis, ulcerative colitis, or idiopathic crescentic glomerulonephritis
[解説および参考資料]
1.炎症性サイトカインにより好中球が活性化される.
2.細胞質内ANCA関連蛋白質(PR3, MPO)が好中球の細胞表面に表出.
3.ANCAが好中球表面の標的抗原と結合.
4.脱顆粒が起こる.
5.ANCAにより活性化された好中球から活性酸素が産生.
6.内皮細胞や血管組織が傷害される.
この抗原(myeloperoxidase)は,好中球の細胞質中にあるとされています.
血管にフィブリノイド壊死が見られます.これは,悪性腎硬化症や膠原病でもみられます.
悪性高血圧症では,angionecrosisともいわれ,細い動脈,例えば腎臓では,輸入細動脈ぐらいの血管に見られ,平滑筋細胞の壊死とfibrinの析出が認められます,炎症所見は伴いません.
ANCAはもともと特発性半月体形成性糸球体腎炎の患者血清中で発見されました.蛍光抗体法の染色パターンで上記のように2種類が区別されます.検出されるサブセットからMPO−ANCA 関連腎炎とPR3−ANCA 関連腎炎に分けられますが、我が国では前者(MPO−ANCA 関連腎炎)が圧倒的に多く、しかも高齢者に発症しやすいそうです.
PR3とMPOはともに一次リソソーム中に含まれる酵素でMPOには,潜在的蛋白分解活性,抗蛋白分解活性の抑制,HOClの産生などの作用があります.PR3には,この上に好中球の分化,活性化能が有るといわれています.
c‐ANCAはWegener肉芽腫症の患者の90%以上に検出されます.
p‐ANCAは顕微鏡的PN,アレルギー肉芽腫性血管炎,特発性半月体形成性糸球体腎炎の50〜80%に検出されます.
[参考画像]
a.
b.
a.多発性動脈周囲炎,b.悪性高血圧(39歳,男性,腎臓)
[演習問題]
p-ANCA(perinuclear anti-neutrophil cytoplasmic antibody)関連疾患ではどれか.
a. ウェゲナー肉芽腫症Wegener's granulomatosis
b. 顕微鏡的多発性動脈炎microscopic polyarteritis
c. 潰瘍性大腸炎ulcerative
colitis
d. 半月体形成性糸球体腎炎idiopathic crescentic glomerulonephritis
e. 悪性高血圧症malignant
hypertension
正解:b,c,d