認知症を対象としたPET

認知症とPETについて

超高齢社会の我が国においては認知症が医学のみならず社会的に大きな問題になっています。認知症の大半はアルツハイマー病(AD)であり、まだADの根治薬は完成していませんが、2023年1月にレカネマブがADの病理(アミロイド・ベータ)に作用する治療薬として、米国食品医薬品局(FDA)により承認されました。わが国でも2023年9月に承認され、同年12月より保険適用が認められました。ADにおいては早い段階での治療・介入が重要視されています。ADでは症状が現れるずっと前に脳にアミロイド・ベータ沈着がはじまり、次にタウ沈着、代謝・血流低下、その後に脳萎縮が現れます。FDG-PET、アミロイドPET、タウPETでそれぞれ脳糖代謝低下、アミロイド沈着、タウ沈着の有無をみることができます。
近畿大学では大学病院として認知症を対象としたPET検査を研究も交えて施行しています。

  1. 保険診療によるアミロイドPET
    健康保険が適用されるのはアルツハイマー病による軽度認知障害又は軽度の認知症が疑われる患者等に対し、レカネマブの投与の要否を判断する目的でアミロイド・ベータ沈着を確認する場合です。
  2. BATON研究(血液バイオマーカーによる認知症の統合的層別化システムの開発)
    物忘れ診断外来またはメンタルヘルス科を受診された方の中から、多施設共同研究BATON研究に参加頂ける軽度認知障害(MCI)、ADを含む早期認知症患者の方を募っています。参加頂ける方にアミロイドPET,タウPET検査,脳FDG-PETを行っています。物忘れ診断外来、メンタルヘルス科受診時に詳細を説明いたします。
  3. AMED-MCI研究(多施設連携プラットフォームを基盤にした各種認知症性疾患に対する日本発の包括的な診断・層別化バイオマーカーシステムの確立)
    物忘れ診断外来を受診して軽度認知障害(MCI)が疑われた方に多施設共同研究AMED-MCI研究に参加いただける方を募っています。心理検査を行ってMCIと診断された方にアミロイドPET(およびオプションでタウPET)検査等を行います。物忘れ診断外来受診時に詳細を説明いたします。
  4. 物忘れ脳ドック(検診PET/CT脳ドック(物忘れ)コース)-PET
    脳MRI, 脳FDG-PET, 神経心理検査等を行って正常範囲内かMCI、早期認知症がないかを調べます。
    このドックを受けて頂いた方の中から上記1.の BATON研究に参加頂ける方を募っています。物忘れ脳ドック結果説明時に詳細を説明いたします。
  5. 自由診療による脳FDG-PET
    脳の糖代謝の低下部位をみてADに移行するMCI,早期ADや他の認知症の鑑別を行います。PET受付で詳細を説明いたします。
  6. 自由診療によるアミロイドPET
    自由診療によるアミロイドPETは「アミロイドPETイメージング剤の適正使用ガイドライン改訂第3版」に則り下記の適切な使用に該当する方のみ実施しています。
    現時点における適切な使用
    1. 臨床症状が非定型的であり、適切な治療のために確定診断を要する認知症症例(例えば、アルツハイマー病と前頭側頭葉変性症の鑑別を必要とする場合)
    2. 発症年齢が非定型的(65歳未満の発症)であるため、適切な治療のために確定診断を要する認知症症例
    3. 軽度認知障害(MCI)または軽度認知症があり、背景としてアルツハイマー病が疑われるが、疾患修飾薬治療のために確定診断を要する症例
    PET受付で詳細を説明いたします。「アミロイドPETイメージング剤の適正使用ガイドライン改訂第3版」では検診、ドックでのアミロイドPETは不適切使用とされていますので当院では検診、ドックでアミロイドPETは実施していません。
    当院でアミロイドPETを自由診療で行う場合は医療機関よりアミロイドPETの適切な使用(上記a., b.またはc.)と判断されて紹介された方に限りますのでご注意下さい。
  • 図1 アルツハイマー病のFDG-PET
    頭頂側頭葉の糖代謝が低下している(→)
    後部帯状回の糖代謝が低下している(◯)
  • 図2
    アミロイドPET
    左:アルツハイマー病
    大脳皮質にアミロイド沈着がある(赤矢印)
    右:正常
    アミロイド沈着はない

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