JPOS cohort study in さぬき

 2006年8月18日〜31日に福島県耶麻郡西会津町にて、JPOS cohort studyの追跡調査を行いました。

 西会津町は新潟県と福島県の県境に位置する自然が豊かな町です。心なしか大阪よりも空気が澄んでいるような感じがしました。そして西会津町は、平成5年4月に『健康の町』宣言をしたとのこと。テーマは『百歳への挑戦』、そしてキーワードは『すべてにやさしい健康のまち にしあいづ』。町民が健康であれば医療費が少なくてすむ、そうなれば行政が潤い自治体によるサービスも向上する・・・という‘いいことづくめ’を目指す町です。さあ、どんなお元気な対象者が来訪されるかなー?と、わくわく。

          
      調査会場前の駐車場から(山々がきれいー)            調査会場裏の風景(ひまわりが素朴な感じ)

 調査会場は西会津町林業研修センターです。西会津町の公民館といった感じの建物です。

          
           調査会場                              入り口

          
     廊下に設置したドリンクコーナー(?)脱水防止のため       栄養調査(入って左側)と問診(入って正面)

 建物を入って廊下を歩いて行くと受付があり、身長・体重・握力を測定。そして、空いている検査機器へと誘導します。測定内容は5月・7月に行った調査と同様です。

                   
      握力測定            pDXAによる橈骨・尺骨の骨密度測定   超音波による踵骨の骨密度測定

 JPOS cohort studyでは栄養調査といって食事内容の調査も行いますが、これがなかなか大変。調査地によって食材の呼び方が変わったり、その地域でしか見られない食材があったりします。今回の調査では、地元の栄養士さんがスタッフとして入ってくださったので、調査がスムーズに進みました。
 会場設営の際の栄養調査のブースでは、まず調査に用いるフードモデルの作成にかかります。調査用紙にある基準量をデジタルキッチンスケールと計量スプーンで量って、透明のプラ容器に入れます。この透明な容器にある量を1食分の基準量として「この量よりも多めに食べた?少なかった?」と聞いて確認します。牛乳などはその地域で売っているパックを入手して、「普段飲んでいる牛乳はどれですか?」と聞きます。なので設営時にはまず、地元のスーパーマーケットへ走ります。


                   
      栄養調査ブース               フードモデル          ゆで大豆のフードモデルを拡大
 

 誘導を担当している門脇にとって、調査会場で常に気にかかるのが「段差」です。公共の建物とはいえ古くに建てられたものもありバリアフリーが行き届いているわけではなく、そして対象者のなかにはお年寄りもいらっしゃるわけで、段差につまづいて転倒→骨折なんてなったら・・・。骨粗鬆症の検査を受けに来て骨折・・・、うーんそれは良くない(いや、骨粗鬆症の検査でなくても注意すべきことなんですけど)。「頚部エコー検査、待っている人多いかなー?」と見に廊下を歩くと、背後からパタ・パタ・パタ(QDRでの検査のために建物の外へ向かう対象者のスリッパの音)、すかさずダーッと引き返して対象者を確認、息を整えて笑顔で「検査の機械までご案内しますね。あー、ここの段差に気をつけてくださいねっ(思わず声に力がはいる)」と声をかけて誘導。対象者よりも半歩さきについて誘導します。

 西会津町の対象者の印象は、‘お年を召してられるのにたくましい方が多い’です。前述のテーマ『百歳への挑戦』の効果か?それと、長年農作業に従事しておられるから?80歳を超えてられても杖なしでスタスタと歩かれる方もいて、「アッハッハ」と笑う声にも力強さが感じられます。

 今ふりかえると、宮古島市・さぬき市の調査でも高齢にもかかわらず元気な方がいらっしゃいました。そんな方を見るたびに、「あー、こんなふうに若々しく年をとりたい。間食しないようにしよう。少しでも運動するようにしよう。遅くまでインターネットしないで早く寝よう」と、調査のたびに自らの生活について反省します(そして、調査が終わるころには忘れている・・・)。
 3地域の調査を終え、スタッフ一同ホッと一息。しかし、これから調査報告書の作成・データの解析・学会への発表・論文の執筆・・・と、まだまだ仕事はエンドレス。しかし、近大スタッフと現地スタッフが調査にかけた労力・お忙しいなか来てくださった対象者の意思・長期間家を空けたことについての家族の理解を思うと、ちゃんとしないといけませんね。公衆衛生に限らず研究というものはおしなべてそんなもので、データを得るまでの過程が大変それをまとめるのもまた大変・・・(というのをJPOS調査で再確認!)。

 これからも本教室での調査は随時報告していきます。これを読んでいらっしゃる方は、ときどき思い出して「近畿大学医学部公衆衛生学教室」のホームページにアクセスしていただけましたら幸いです。ではまた。

(文責:門脇