漢方・大阪/近畿大学東洋医学研究所
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アトピー性皮膚炎と漢方
★News★
第2・4木曜に皮膚科及び漢方専門医の両方の資格を持つ医師による漢方皮膚科専門治療を開始しました!
1.はじめに
日本皮膚科学会のアトピー性皮膚炎診療ガイドラインによればアトピー性皮膚炎は「増悪・寛解を繰り返す、瘙痒のある湿疹を主病変とする疾患であり、患者の多くはアトピー素因を持つ」と定義され、アトピー素因とは①家族歴・既往歴(気管支喘息、アレルギー性鼻炎・結膜炎、アトピー性皮膚炎のうちいずれか、あるいは複数の疾患)、または②IgE抗体を産生し易い素因と説明されています(古江ら,アトピー性皮膚炎ガイドライン,日皮会誌,119,1515-1534,2009)。現代医学における治療方法としては炎症を抑えるためのステロイド剤・タクロリムス軟膏の外用、かゆみを抑えるための抗アレルギー剤・抗ヒスタミン剤などの内服、スキンケア(保湿剤などの外用を含む)などが行われています。
当外来にはステロイド剤の減量や離脱、アトピー体質の改善を求めて多くのアトピー性皮膚炎の患者の方々が受診されています。治療方法としてはアトピー性皮膚炎とストレスの間に密接な関係があることがわかってきたことから、漢方薬治療にストレス測定・心理検査を組み合わせ、また、必要があると診断された場合は鍼灸治療を加えて独自の治療を進めています。また、アトピー性皮膚炎に喘息・アレルギー性鼻炎など他のアレルギー疾患や他の疾病を併発している場合でも、漢方は総合的に対応することが可能です。
煎じ薬は苦くて飲みにくく小児の服用は困難であると思われがちですが、実際には多くの小児のアトピー患者の方が服用されています。平日に受診が難しい方の為に土曜日の診察も実施していますが、土曜日に限り完全予約制をとっておりますので受診をご希望の場合は当外来受付にお電話でご予約くださいますようお願い申し上げます。
2.診察の流れ
医師による問診 (外来に入室される前に漢方医学的な問診票に必要事項を記入していただきます) ↓ 皮膚及び体全体の状態を診察 (必要な場合は皮膚の状態の写真撮影を行い、治療効果を確認します)) ↓ 脈診・舌診・腹診などによる漢方医学的診断 (患者さんの体質をチェックします) ↓ 心理検査・氣スコアによるストレス測定 (アトピー性皮膚炎とストレスは密接な関係がありますので、必要のある場合に実施します) ↓ アトピー性皮膚炎に適した食事・運動・スキンケアなどの日常生活指導 ↓ 血液検査依頼 (必要のある場合、実施します) ↓ 鍼灸師による鍼灸治療 (重症のアトピーの場合に対して必要な場合に行います。 「電気温鍼器」という器械を使い、”隠れた冷え症”(潜症(せんしょう)とも言います)もチェックします) ↓ 漢方薬を処方 ↓ 専門の薬剤師が漢方薬の煎じ方、違いなどについて詳しく説明します *以上は東洋医学研究所附属診療所における診察の流れです。 |
3.アトピー性皮膚炎に使用される漢方薬
当院では、基本的に煎じ薬を使用しています。煎じ薬の良いところは、患者様の病状に合わせて“さじ加減”ができるという点にあります。例えば、「加減一陰煎(カゲンイチインセン)」という処方はアトピー性皮膚炎によく用いられますが、炎症がひどい時は「石膏・知母・乾地黄」などの生薬の量を増やします。皮膚に潤いを増すためには「亀板膠・地骨皮・麦門冬・熟地黄」などの生薬を追加で入れることが有効です。どの生薬を選ぶかは患者さんの状態によって様々です。また、2回目以降の診察時に病状が変化していれば、それに合わせてお薬の内容を調整していきます。つまり、患者さんの状態はその方その方によって様々であり病状も変化していきますが、漢方薬の煎じ薬を用いると、その時々に応じてぴったりと体にあった“オーダーメイド”のお薬を作ることが可能になるのです。
当外来でアトピー性皮膚炎に最もよく用いられるのは以下のような漢方処方です。
| 顔面紅潮がひどい時 | 白虎加人参湯・黄連解毒湯 |
| ジュクジュクがひどい時 | 消風散 |
| ボコボコする時 | 薏苡仁などを追加します |
| 鼻の炎症症状が合併する時 | 荊芥や連翹などを追加します |
| 夜眠れない時 | 山梔子、酸棗仁、柴胡などを追加します |
基本処方に以上のような工夫を施して処方しています。追加で生薬を加える場合、患者さんの状態によって用いる生薬を選択しています。
また、状態によっては全く異なる基本処方を用いる場合もあります。
最近、難治性のアトピー性皮膚炎が増えていますが、漢方医学的には”隠れ冷え症(上述)”が併存した方が多く、乾姜(かんきょう)や附子(ぶし)の入った方剤で身体の芯から暖める治療も併用すると治りが良くなることも判明してきました。
*保険診療部門である漢方診療科においてはエキス剤による治療を行っております。何卒ご了承ください。

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