再燃前立腺癌に対する新たな癌ワクチン療法をはじめました

現在施行しているワクチン療法は前立腺癌(2プログラム)と膀胱癌(1プログラム)です。
腎臓癌に対するワクチン療法は現在準備中です

再燃前立腺がんに対するペプチドワクチン・デキサメサゾン併用療法の早期第U相ランダム化比較臨床試験
 前立腺がんの治療法について
 ペプチドワクチン療法とは
 ペプチドワクチン・デキサメサゾン併用療法の比較臨床試験について
 対象疾患及び参加条件
 ペプチドワクチン療法の実際
 期待される効果と予期される副作用
 ペプチドワクチン療法にかかる費用
 ※注 本研究のペプチドワクチンに関する費用について
 お問い合わせ
 1 前立腺がんの治療法について
   進行性前立腺がんの治療法には、内分泌療法、化学療法、放射線療法、免疫療法があります。内分泌療法により多くの場合、がんが抑えられる(小さくなる)のですが、その後、内分泌療法が効かなくなり、がんが進行する(大きくなる)ことがよく見られます(再燃前立腺がん)。一般的には再燃前立腺がんに対して、放射線療法や化学療法、また内分泌化学療法などの治療が行われますが、その効果は必ずしも強くありません。
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 2 ペプチドワクチン療法とは
免疫機能について
通常、健康な人には体外からの感染や、体内にできた異物を取り除く防御機能(免疫機能)があります。がん患者さまの体にも、がんに対する免疫機能があります。しかし、がんは自分の体の細胞から発生したものですから、免疫細胞が「がん」を異物として判断しづらく、また進行してくると「がん」の増殖のほうが強く、免疫機能は抑えられた状態となってしまいます。このように免疫が抑えられた状態であっても、手術でがんをとりのぞくと、ほとんどのがん細胞が取り除かれ、免疫機能も回復するので、体内に残った少数のがん細胞は免疫細胞(キラーT細胞やナチュラルキラー細胞)や抗体によって排除され、再発せずに長期生存が可能となります。


しかし、がん細胞が身体の中に多数残されるような進行がんの患者さまや免疫機能が弱い患者さまは、がん細胞を排除することができませんので、手術後や抗がん剤、放射線治療後に再発します。このような場合には、肝臓、肺、骨などへの転移や周りの臓器へ侵入することが頻繁に起こります。このような状態では患者さまが元々持っている免疫機能だけで、がんの増殖を抑えることはできないと考えられます。

ペプチドワクチン療法
人の身体の中で、免疫の中心を担当するのはリンパ球です。このリンパ球のうちの、キラーT細胞(細胞傷害性Tリンパ球、CTLとも呼ばれます)などが中心になって「がん」に抵抗します。このしくみについては既に科学的に解明されています。
キラーT細胞ががん細胞の表面の小さな蛋白質のかけらを見つけ、その蛋白質を目印としてがん細胞を攻撃し、その結果、がん細胞を死へと追いやります。この目印となる小さな蛋白質を「抗原」といい、キラーT細胞はこの抗原の中のごく小さな断片を見つけ出します。このごく小さな断片を「ペプチド」と呼びます。この小さなペプチドは人工的に合成することが可能で、体内に投与すると、ペプチドによって刺激を受けたキラーT細胞が活性化し、さらに増殖してがん細胞を攻撃するようになります。この性質を使って「がん」を排除(退縮)させようとする治療法を「がんワクチン療法」といい、「ペプチド」を薬剤として使用する治療法を「がんペプチドワクチン療法」と呼びます。

本臨床試験では、多数のペプチド候補からその後の研究結果より有効性が高いと考えられる24種類に対して予め試験管内で検査した結果に基づいて反応性の見られたがんペプチドワクチンのうち、反応性の高いものから最大4種類のペプチドを用いて治療します。この科学的根拠に基づいたペプチドワクチン療法は、患者さまの血液中に存在するリンパ球もしくは抗体が効率よく反応できる幾つかのがんペプチドワクチンを用いて、”がん”に特異的な抵抗力(免疫機能)を増大させることで”がん”細胞を特異的に
攻撃し、殺傷することで”がん”の増殖を抑制しようとするものです。個々の患者さまにより受けられるペプチドが異なりますので、テーラーメイド型の治療法に属します。

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 3 ペプチドワクチン・デキサメサゾン併用療法の比較臨床試験について
 本臨床試験では、いまだ有効な治療法が確立されていない内分泌療法の効果が低くなった「初期内分泌療法不応の再燃前立腺癌」に対するペプチドワクチンと副腎皮質ホルモンを併用する新しい免疫療法の有効性と安全性を検討することを目的としています。
本試験は近畿大学泌尿器科と慈恵医大泌尿器科が各施設内倫理委員会の承認を得て共同で行う臨床試験です。

デキサメサゾンについて
長時間型(長く効果が持続する)の副腎皮質ホルモンで、抗アレルギーや抗炎症反応などの目的で多くの領域で使用されています。前立腺癌ではとくに再燃癌に広く使われているホルモン剤で、デキサメサゾン単独療法もすでに確立された治療法です。

ペプチドワクチンとデキサメサゾン併用療法について
これまでの研究でペプチドワクチン療法は単独で行った際の安全性が確認され、また、骨転移巣の縮小やPSA値の低下といったある程度の抗腫瘍効果もあることが分かりました。しかし、ワクチンが無効な患者さまも少なからず存在し、単独療法では十分な効果を得るには至っていません。本臨床試験はペプチドワクチンとデキサメサゾン併用の有用性を探るべく、デキサメサゾン単独投与の群と比較検討をします。
本臨床試験は、ペプチドワクチン・デキサメサゾン併用療法群かデキサメサゾン単独療法のいずれかに割り付けられるランダム化比較試験です。初期治療は無作為にどちらかの治療に振り分けられますので、患者さまの意思で選択することは出来ません。しかし、いずれの治療に当たっても治療後に悪化すれば当初受けなかった治療に変更されます。
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 4 対象疾患および参加条件
 内分泌療法不応の再燃前立腺癌で、以下の条件を有するもの。

・ 血清PSA値が 10 ng/ml 以下であること。

・ 白血球の血液型HLAがA2,A24,またはA3であること。日本人の約90%がこの型を有します。
  またHLAはご来院時に検査いたします。

・ 対象の疾患以外に重篤な疾患(心臓病、アレルギー疾患その他)や他の癌を有していないこと。

・ 前立腺癌に対するデキサメサゾンなどの副腎皮質ホルモンによる治療経験がないこと。

・ 全身化学療法(ドセタキセル、シスプラチン、エストラサイトなど)、前立腺原発巣以外に対する
 放射線療法の既往がないこと。

・ 全身状態がよいこと(原則として外来通院でワクチン治療を受けることが可能であること)。

・ 年齢20歳以上80歳未満で、試験の説明に対して十分に理解でき、自分の意志で参加を決定することができること。

臨床試験への参加に際して、上記以外にも適応基準および除外基準といった種々の条件を設定しています。上記疾患の患者様であっても、必ず臨床試験にご参加いただけるということではありません。

提示しました参加条件は、あくまで参考とお考えください。臨床試験にご参加いただけるかどうかは各々の担当医が最終的に判断いたします。

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 5 ペプチドワクチン療法の実際
 患者さまの免疫反応性をあらかじめ測定します(採血します)。そして各々の患者さまにとって反応性のよい反応性のよいペプチドを最高4種類まで選択して投与します。
ワクチンは原則として2週間に1回、皮下注射で行います。注射する場所は、主に太ももです。
注射する量は1種類のペプチドことに1.0〜1.5mlです。4種類のペプチドが選択された場合は4本のペプチドワクチンを、4か所に注射することになります。
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 6 期待される効果と予期される副作用
 期待される効果
”がん”が身体全体に広範囲に広がり、患者さまの全身状態が著明に減弱した状態では本治療の効果は期待できません。また、抗がん剤や放射線治療のような顕著な腫瘍縮小効果は期待しがたいと思われます。しかし、これまでの第T相臨床試験にて、PSA値の低下や骨転移の消失が認められた症例もありました。これらよりペプチドワクチン療法は他の治療法と異なり、副作用が少なく、がんを小さくしないまでも質の高い余命を提供できる可能性があると考えられます。

予期される副作用
ワクチンを注射した場所の腫れ、発赤、かゆみがおもな副作用です。免疫力が高まるとワクチンを注射した場所でも免疫反応が強くなり、このような副作用が出ます。ワクチン療法を長期間継続し、何回も注射を続けている方では注射した場所に硬いしこりができることも多いようです。他に、発熱や風邪様症状、だるさ、炎症症状(喘息の憎悪など)が起こることがあります。これらも免疫反応が強くなった結果起こる全身症状と考えられます。また、下痢、がんの周囲で起こる炎症、それに伴う痛みや出血、その他、自己免疫疾患が誘発される可能性なども
否定できません。また、どのような薬であっても、投与された薬に対するアレルギー反応やショックが起こる可能性は常にあります。
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 7 ペプチドワクチン療法にかかる費用
 通常の診察として必要な検査や治療などは普段と同様に医療保険と一部自己負担が必要です。しかし、使用するワクチン、免疫反応検査に関する経費は患者さまに負担していただくことは
ありません。
 ※注 本研究のペプチドワクチンに関する費用について
 他の施設ではペプチドワクチンおよびワクチン効果を検討するための免疫学的検査費用が必要な場合もありますが、本研究のワクチンおよびワクチンに関する免疫検査費用はすべて研究費でまかなわれております。
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 8 お問い合わせ
 当比較試験に参加を希望される患者さまは、まず一度お電話またはFAXにてお問い合わせ下さい。詳しい内容についてご説明いたします。
月・火・木・金曜日 9:00〜17:00 (FAX随時受付)

研究代表者  近畿大学医学部泌尿器科学講座 教授 植村 天受

研究分担医師  近畿大学医学部泌尿器科学講座 講師 野澤 昌弘
           近畿大学医学部泌尿器科学講座 助教 南 高文

担当医師   植村 天受

リサーチナース  永江幸子  西垣こずえ  持田有香





上記の時間帯以外のお問い合わせは、専門医以外のスタッフがお答えいたします。

近畿大学泌尿器科 TEL 072−366−0221

直接受診される場合は、医療連携室を通して外来診察の予約をお願いいたします。主治医にご相談の上、必ず紹介状をお持ちください。

近畿大学医学部泌尿器科では、上記のプロトコール以外に再燃前立腺癌と難治性腎癌に対する癌ワクチン療法を行っています。
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