当教室では、神経難病の病態研究から新規診断法および治療法開発まで、幅広い研究活動を行っております。
免疫性ニューロパチーのギラン・バレー症候群(GBS)、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)、多巣性運動ニューロパチー(MMN)、IgMパラプロテイン血症を伴うニューロパチー(IgM-PNP)では末梢神経構成成分に対する自己抗体が検出されます。GBSは急速進行性の四肢筋力低下や感覚障害をきたす疾患であり、約60%の患者においてガングリオシドを中心とする糖脂質に対する自己抗体がみられます。一方、慢性ニューロパチーのMMNにおいてもガングリオシドのGM1に対するIgM抗体が約半数でみられ、IgM-PNPでは糖蛋白のMAGや糖脂質のSGPGに対するIgM抗体が検出されます。これらの自己抗体の測定は診断に有用であり、当教室では免疫性ニューロパチーの病態解明に向けて、自己抗体を同定して臨床的特徴との関連性を明らかにすることで臨床に役立つ研究をすすめています。
重症筋無力症(MG)は神経筋接合部のシナプス後膜に局在するアセチルコリン受容体(AChR)や筋特異的受容体型チロシンキナーゼ(MuSK)に対する自己抗体によって伝達障害が生じる免疫性神経疾患であり、易疲労性を伴う眼瞼下垂や複視、四肢筋力低下などをきたします。MGの治療方針は発症年齢や症状によって異なってきます。当院は治療戦略の構築を目的とした多施設共同研究Japan MG Registry Studyなどの臨床研究を行なっています。
多発性硬化症(MS)は自己免疫的な機序が病態に関与する中枢神経系の炎症性脱髄疾患であり、時間的・空間的に病変が多発するのが特徴です。一方、視神経脊髄炎(NMO)は、視神経炎と脊髄炎を特徴としたアストロサイトの障害を主体とする炎症性中枢神経疾患で、抗アクアポリン4抗体が検出されます。近年、MSおよびNMOにおいて新規治療薬が次々と本邦で承認されており、当院ではこれらの最新の治療を行なっています。
~代表的な研究業績~
研究内容 神経免疫部門
2022/03/29 11:39