研究課題「免疫介在性神経疾患における病態ならびに活動性を反映するバイオマーカーの探索」に関する情報公開
1.研究の対象
1)当院神経内科で入院歴があり文書にて同意を頂き、検体・試料を提供頂いた方 もしくは 関連施設より診療や研究のため文書にて同意を頂き検体・試料を提供頂いた方 で下記対象疾患に該当する方
(対象疾患)
① CIDP、抗MAG抗体陽性ニューロパチーおよびその他免疫介在性神経疾患(多発性硬化症、重症筋無力症など)の患者
② 神経免疫疾患以外の神経筋疾患(筋萎縮性側索硬化症など)および機能性疾患(頭痛、めまい)などで受診した患者(対象群)
2)下記先行研究において、検体及び臨床情報の使用及び取得したデータを二次利用することについて文書により同意が得られている検体
許可番号:16-019
課題名:神経疾患における自己抗体の検討
許可期間:2005年4月20日より2025年12月31日
本研究に使用する試料・情報の取得期間:2005年4月20日より2025年12月31日
研究の対象者となることを希望されない方又は研究対象者のご家族等の代理人の方は、事務局までご連絡ください。
2.研究目的・方法・研究期間
<目的>
「免疫介在性神経疾患」とは、本来なら体内に侵入した病原菌やウイルスから自分の体を守るシステムである免疫系が、何らかの影響により正常に機能しなくなり、自分の組織である神経や筋肉などを攻撃してしまう疾患の総称です。
その中でも慢性炎症性脱髄性多発神経炎(chronic inflammatory demyelinating polyneuropathy:CIDP)は、緩徐進行性もしくは再発性に四肢筋力低下や感覚障害をきたす末梢神経疾患です。CIDPの原因は未だ不明ですが、末梢神経の構成成分に対する自己免疫異常により神経障害(脱髄)をきたすことで上記の症状が起こると考えられています。CIDPと類似した疾患には抗MAG抗体陽性ニューロパチーや自己免疫性ノドパチーなどがあります。治療にはステロイド療法、血漿浄化療法、免疫グロブリン静注療法などの免疫療法が中心ですが、根治治療は未だありません。また脳や脊髄、視神経など中枢神経に障害を来す多発性硬化症および視神経脊髄炎、神経筋接合部が障害される重症筋無力症なども免疫細胞や自己抗体が関与する神経免疫疾患ですが、CIDPと同様に根治治療はありません。
これまで名古屋大学では、病気のメカニズムや治療について研究を進めてきました。今後さらなる治療研究をすすめるにあたり、症状の変化や治療効果をより正確に、かつ精度よく判定するための指標(バイオマーカー)を見つけ出すことが重要です。また病態を反映するバイオマーカーとして補体活性も重要と考えられます。この研究の目的は、血液検査で簡便に神経免疫疾患の神経障害を推測でき,疾患活動性や治療反応性を反映したバイオマーカーや新規自己抗体を探索することです。
<方法>
診療の際に採取・保存された血液試料および脳脊髄液試料・生検試料を解析します。また対象者のカルテ情報を使用します。
3.研究に用いる試料・情報の種類
・試料:保存血液・脳脊髄液・組織生検試料。
・カルテ情報およびご参加いただいた研究から得られた情報:ID、検体番号、イニシャル、生年月日、年齢、症状、病歴、発症からの期間、嗜好歴、合併症、既往歴、家族歴、服用薬剤名、身長・体重、理学所見(徒手筋力テスト・握力など)、神経所見、ADLスコア 等。
・血液検査 {血液一般検査:白血球数、赤血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリット、血小板数 血液生化学検査:総蛋白、アルブミン、AST、ALT、γ-GTP、ALP、LDH、総ビリルビン、LDLコレステロール、HDLコレステロール、BUN、クレアチニン、クレアチン、尿酸、Na、K、Cl、HbA1c、CK、NfL 等}、脳脊髄液検査、組織生検試料を含むこれまでの診療から得られたすべての情報。
4.外部への試料・情報の提供
本邦での代理店である株式会社スクラムを介してQuanterix社(米国)でNfLなど一部の項目を測定依頼します。糖鎖解析は北海道大学、名古屋大学糖鎖生命コア研究所に測定依頼します。生体試料を採取した上で匿名化を行い、サンプルIDとともに送られます。データセンターへのデータの提供は、特定の関係者以外がアクセスできない状態で行います。対応表は、本学の研究責任者が保管・管理します。
研究結果の公表
研究の成果については提供者本人やその家族の氏名などが明らかにならないようにした上で学会や学術雑誌などで公に発表されることがあります。また、学術雑誌への公表に伴って、研究データが公的データベースに登録されることがあります。
5.研究組織
<名古屋大学での研究組織>
(研究責任者)
名古屋大学大学院医学系研究科神経内科学・教授・勝野 雅央
(研究分担者)
名古屋大学医学系研究科 神経内科学・大学院生・八木 覚
名古屋大学医学系研究科 神経内科学・大学院生・古川 宗磨
名古屋大学医学部附属病院 脳神経内科・医員・深見 祐樹
<共同研究機関>
名古屋大学 糖鎖生命コア研究所 学術研究員・横田育子
名古屋大学 糖鎖生命コア研究所 特任講師・花松久寿
名古屋大学 糖鎖生命コア研究所 特任准教授・古川潤一
名古屋大学 糖鎖生命コア研究所 教授・佐藤ちひろ
名古屋大学大学院生命農学研究科 助教・羽根正弥
名古屋大学 糖鎖生命コア研究所 教授・北島健
名古屋大学 糖鎖生命コア研究所 助教・呉滴
九州大学病院脳神経内科 教授・磯部 紀子
九州大学病院脳神経内科 助教・緒方 英紀
近畿大学病院脳神経内科 教授・永井 義隆
近畿大学病院脳神経内科 講師・桑原 基
既存試料・情報の提供のみを行う機関
(別添参照)
6.お問い合わせ先
本研究に関するご質問等がありましたら下記の連絡先までお問い合わせ下さい。ご希望があれば、他の研究対象者の個人情報及び知的財産の保護に支障がない範囲内で、研究計画書及び関連資料を閲覧することが出来ますのでお申出下さい。
また、試料・情報が当該研究に用いられることについて患者さんもしくは患者さんの代理人の方にご了承いただけない場合には研究対象としませんので、下記の連絡先までお申出ください。その場合でも患者さんに不利益が生じることはありません。
照会先および研究への利用を拒否する場合の連絡先:
〒589-8511 大阪府大阪狭山市大野東377-2
近畿大学 医学部 脳神経内科
桑原 基
電話 072-366-0221
本学における研究責任者:
近畿大学 医学部 脳神経内科
研究責任者名 永井 義隆
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以前行っていた下記の研究は終了しました
・抗MAG抗体関連ニューロパチーの病態解明に向けた研究
・多発性硬化症の研究「Sema4A(セマフォリン4A)および関連分子による多発性硬化症の病態解明」
・IgG4自己抗体陽性慢性炎症性脱髄性多発神経炎に対する抗ニューロファシン155抗体測定用ELISAキット及び抗コンタクチン1抗体測定用 ELISAキットの有用性評価のための多施設共同臨床性能試験
OPTOUT
2022/09/07 14:41