①抗MAG抗体関連ニューロパチーの病態解明に向けた研究に関する説明
1.研究の対象
近畿大学脳神経内科の「神経疾患における自己抗体の検討」の研究(近畿大学医学部倫理員会承認番号 16-019)において、保存および将来の使用について同意を得ている抗MAG抗体関連ニューロパチーの患者さん
2.研究目的・方法
研究目的は、山口大学脳神経内科で樹立したヒトBNB in vitroモデルに抗MAG抗体関連ニューロパチー患者血清を作用させ、抗MAG抗体関連ニューロパチー患者がBNBを破綻させるメカニズムを分子レベルで解析することです。
方法は近畿大学脳神経内科の「神経疾患における自己抗体の検討」の研究(近畿大学医学部倫理員会承認番号 16-019)において、保存および将来の使用について包括同意を得ている抗MAG抗体関連ニューロパチー患者さんを対象として、保存血清および検体情報を山口大学脳神経内科 神田 隆教授に匿名化した上で送付します。山口大学脳神経内科において、ヒトBNB in vitroモデルに抗MAG抗体関連ニューロパチー患者血清を作用させ、抗MAG抗体関連ニューロパチー患者がBNBを破綻させるメカニズムを分子レベルで解析します。
研究期間は2023年3月31日までとします。
3.研究に用いる試料・情報の種類
近畿大学脳神経内科の「神経疾患における自己抗体の検討」の研究(近畿大学医学部倫理員会承認番号 16-019)において、保存および将来の使用について包括同意を得ている抗MAG抗体関連ニューロパチー患者の保存血清と検体情報(年齢・性別・血液や脳脊髄液検査の結果・電気生理検査の結果・臨床症状)。検体情報は情報提供書(「16-019」において取得)および診療録から取得する。
本研究の試料・情報は将来新たに計画・実施される医学研究にも使用させていただく可能性があります。その研究を行う場合には、改めてその研究計画を倫理審査委員会において審査し、承認された後に行います。
4.外部への試料・情報の提供
山口大学脳神経内科への保存血清と検体情報の提供は追跡可能な形で外部業者により送付を行います。
5.研究組織
研究代表機関:山口大学医学部附属病院 脳神経内科(研究代表者:神田 隆)
共同研究機関:近畿大学病院 脳神経内科(研究責任者:桑原 基)
6.お問い合わせ先
本研究に関するご質問等がありましたら下記の連絡先までお問い合わせ下さい。
ご希望があれば、他の研究対象者の個人情報及び知的財産の保護に支障がない範囲内で、研究計画書及び関連資料を閲覧することが出来ますのでお申出下さい。
また、試料・情報が当該研究に用いられることについて患者さんもしくは患者さんの代理人の方で本研究への利用を拒否される場合には研究対象としませんので、下記の連絡先までお申出ください。その場合でも患者さんに不利益が生じることはありません。
照会先および研究への利用を拒否する場合の連絡先:
近畿大学病院 脳神経内科 担当者:講師 桑原 基
連絡先:〔住所〕〒589-8511 大阪府大阪狭山市大野東377-2
〔TEL〕 072-366-0221
研究責任者:近畿大学病院 脳神経内科 桑原 基
研究代表者:山口大学医学部附属病院 脳神経内科 神田 隆
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②多発性硬化症の研究「Sema4A(セマフォリン4A)および関連分子による多発性硬化症の病態解明」に関する説明
多発性硬化症(MS)の患者さんにとって早期診断と適切な治療は重要です。再発予防治療法としてインターフェロンベータ自己注射が広く行われており、安全性が高く、ある程度の効果は得られていますが、効果の乏しい患者さんもおられます。私たちのこれまでの研究で、MS患者さんの一部でセマフォリン4A(Sema4A)という物質が血中で増加し、著明に増加している患者さんはインターフェロンベータ療法が有効でない傾向があることを発見しました。
つまりSema4Aが高い患者さんには早めに別の治療法を選択することも視野にいれる必要があると考えています。今後より多くの患者さんのデータを集め、高次機能検査(認知機能)、生活の質評価を含めた情報を解析することで、治療法選択の基準として広く利用していただけるようにしたいと思います。
MSの亜型と考えられていた視神経脊髄炎(NMOSD)は、近年MSと病態が異なることがわかってきましたが、未解明の部分が多く治療法が確立していません。NMOSD患者さんでも、Sema4Aに関する研究を進めることにより新たな病態の解明や治療法に繋がる可能性が期待されます。本研究は大阪大学、富山大学、北海道医療センター、札幌神経内科クリニックとの共同研究として行い、Sema4A測定は大阪大学および富山大学神経内科にて行います。
血清中のSema4Aを測定する際に、関連が予想される物質の研究も同時に施行し、さらなる病態解明や新たな診断治療法の開発につなげたいと考えています。
研究対象者
平成16年に本学倫理委員会で承認された「神経疾患における自己抗体の検討」研究(研究責任者 楠 進)にご協力いただき血清または髄液をご提供された方。
この研究にご協力いただいたことにより予想される利益と不利益
予想される利益
Sema4A測定により、適切な治療方法の選択に役立つ可能性があります。またこの研究により、新たな診断治療の指標が得られる可能性があります。
予想される不利益
予想される不利益はありません。血清(血液)は通常診療で採血された際の残りの血液を用います。
プライバシーの保護
試料(血液)を保存する際には氏名ではなく代わりに新しく符号(番号)をつけて保存し、個人名がわからないようにします。皆様の名前とこの符号の対応表は近畿大学医学部脳神経内科においてのみ保存し、外部へ情報が出ることはありません。医学の学会や論文等で検査結果に基づいた研究成果を発表することがありますが、その際にも患者さんを特定できないように致します。
研究結果について
研究期間は2023年3月末日までを予定しています。皆様の血液を用いて得られた研究結果についてお知りになりたい場合はお申し出ください。ただし研究期間を過ぎてからのお申し出には、ご希望に添えない場合があります。
研究から生じる知的財産権の帰属
本研究の結果として特許権などが生じる可能性がありますが、その権利は、国、研究機関、共同研究機関、および研究遂行者等に属し、皆様には属しません。
研究に同意されない場合
Sema4A測定に関する費用はすべて研究費で行いますので、皆さんの経済的負担はありません。また研究に同意されなくても治療を受けるに当たっての不利益は一切ありませんし、いつでも撤回することができます。
本研究に対する個別の同意を取得していませんので、情報公開用文書をもって通知いたします。
研究に同意されない場合は以下の連絡先に御連絡下さい。宜しくお願い致します。
連絡先:近畿大学病院 脳神経内科 大阪狭山市大野東377−2 電話 072ー366ー0221
担当者: 脳神経内科 桑原 基
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③IgG4自己抗体陽性慢性炎症性脱髄性多発神経炎に対する抗ニューロファシン155抗体測定用ELISAキット及び抗コンタクチン1抗体測定用 ELISAキットの有用性評価のための多施設共同臨床性能試験
1.観察研究について
近畿大学医学部では、最適な治療を患者さんに提供するために、病気の特性を研究し、診断法、治療法の改善に努めています。患者さんの生活習慣や検査結果、疾病への治療の効果などの情報を集め、これを詳しく調べて医療の改善につながる新たな知見を発見する研究を「観察研究」といいます。その一つとして、近畿大学医学部脳神経内科では、現在慢性炎症性脱髄性多発神経炎の患者さんを対象として、IgG4自己抗体陽性慢性炎症性脱髄性多発神経炎に関する「観察研究」を行っています。
今回の研究の実施にあたっては、九州大学医系地区部局観察研究倫理審査委員会の審査を経て、研究機関の長より許可を受けています。この研究が許可されている期間は、医学部長許可日から2024年3月31日までです。
2.研究の目的や意義について
この研究は、脱髄性(だつずいせい)末梢(まっしょう)神経(しんけい)障害(しょうがい)の方を対象とします。神経細胞の突起(軸索(じくさく))の周囲は髄(ずい)鞘(しょう)と呼ばれる物質で覆われており、髄鞘が絶縁体として働くことで、神経は電気信号(神経伝導)を効率よく伝えることができます。末梢神経の髄鞘がはがれた状態を脱髄性末梢神経障害といい、様々な病気が原因でおこり、手足のしびれや筋力低下をきたします。多くは髄鞘成分に対するアレルギー反応(自己免疫反応)によって病気が起こると推測されていますが、不明な点が多いのが現状です。
後天性の炎症性脱髄性末梢神経障害の代表的疾患である慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)は、2ヵ月以上かけて進行する四肢筋力低下と感覚障害を呈する希少難治性疾患です。症状が進行した場合、歩行や起立等の日常生活動作が困難となり、生活の質が損なわれることも少なくありません。最近の研究により、CIDPの患者さんの一部に、髄鞘と髄鞘の間のランビエ絞(こう)輪(りん)と呼ばれるくびれ部分の細胞接着分子であるニューロファシン155 (NF155) やコンタクチン1 (CNTN1) という膜たんぱく質に対する自己抗体が存在することがわかってきました。これらの自己抗体があると、軸索と髄鞘の結合がうまくいかなくなり、脱髄がおこると考えられています(下図)。
CIDPに対する治療には副腎皮質ステロイド療法、免疫グロブリン療法、血漿浄化療法があり、一般的にこれらの治療法の効果に優劣はなく、患者さん毎に治療の反応性を見ながら治療方針を決定してきました。しかし、NF155やCNTN1に対する自己抗体が陽性となるCIDPの場合、免疫グロブリン療法の効果が乏しく、副腎皮質ステロイドもしくは血漿浄化療法を選択する必要があることがわかってきています。
このようにCIDP治療の際にはNF155やCNTN1に対する自己抗体が存在するかを検査する必要がありますが、現在、これらの抗体を測定する診断精度が保障された体外診断用医薬品は世界的にも存在していません。そこで私たちは、九州大学とヤマサ醤油株式会社との共同研究により開発された、抗NF155抗体測定用キット及び抗CNTN1抗体測定用キットが、体外診断用医薬品として診断的価値があるかどうかを明らかにすることを目的として、本研究を計画しました。本研究によりこれらのキットの有用性が示され、体外診断用医薬品として日常診療で使用することができるようになれば、CIDPの診断・治療に大きく貢献します。
3.研究の対象者について
この研究ではできるだけ多くの患者さんで解析を行うために、下記の先行研究に参加した60名の方の血液と診療情報も、利用させていただく予定です。
許可番号:16-019
課題名:神経疾患における自己抗体の検討
許可期間:2005年4月より2025年12月
本研究に使用する試料・情報の取得期間:2005年4月より2025年12月
研究の対象者となることを希望されない方又は研究対象者のご家族等の代理人の方は、事務局までご連絡ください。
4.研究の方法について
この研究を行う際は、カルテより以下の情報を取得します。
〔取得する情報〕
- すべての患者さん
生年月、性別、発症年月、調査票記載年月日、検体採取日、検体採取までに行われた(免疫)治療、検体・臨床情報の二次利用可否、調査票記載者名、神経伝導検査結果、髄液検査結果
それぞれの患者さんから①に加え、下記の情報
- CIDPの患者さん
診断カテゴリー、病型、自己抗体に関する情報
- ギラン・バレー症候群の患者さん
病型、自己抗体に関する情報
- POEMS症候群の患者さん
M蛋白の有無、M蛋白の詳細、VEGF値、VEGF値を測定した検体の種類、小基準の状況
- MAG抗体陽性の IgM単クローン血症を伴うニューロパチーの患者さん
M蛋白の有無、M蛋白の詳細、抗MAG抗体に関する情報
- シャルコー・マリー・トゥース病の患者さん
診断カテゴリー、家族歴の有無、CMT関連遺伝子検査結果
- 多巣性運動ニューロパチーの患者さん
診断カテゴリー、自己抗体に関する情報
保管している血液を用いて、抗NF155抗体測定用キット及び抗CNTN1抗体測定用キット法で抗NF155抗体及び抗CNTN1抗体を測定します。ヤマサ醤油株式会社へあなたの血液から分離した血清を郵送し、両キットで抗体濃度を測定する予定です。また、血清の一部は九州大学にて、cell(セル)-based(ベースド) assay(アッセイ) (CBA)という方法で抗NF155抗体及び抗CNTN1抗体濃度を測定する予定です。
キットおよびCBAの抗体濃度測定結果と取得した情報を解析し、自己抗体陽性CIDPに関する両キットの体外診断用医薬品としての臨床的有用性を明らかにします。
他機関への試料・情報の送付を希望されない場合は、送付を停止いたしますので、ご連絡ください。
5.個人情報の取扱いについて
あなたの血液、測定結果、カルテの情報をこの研究に使用する際には、あなたのお名前の代わりに研究用の番号を付けて取り扱います。あなたと研究用の番号を結びつける対応表は紙で作成し、施錠できる場所にて厳重に保管されます。電子データは作成しません。また、この研究の成果を発表したり、それを元に特許等の申請をしたりする場合にも、あなたが特定できる情報を使用することはありません。またこの研究から得られた結果は、ヤマサ醬油株式会社が厚生労働省に提出し、抗NF155抗体測定用キットおよび抗CNTN1抗体測定用キットの体外診断用医薬品の承認申請に使用する予定です。その場合も、あなたの個人情報は一切わからない状態としますので、あなたの個人情報が外部に漏れることはありません。
この研究によって取得した情報は、近畿大学医学部 脳神経内科 主任教授 永井 義隆の責任の下、厳重な管理を行います。
ご本人等からの求めに応じて、保有する個人情報を開示します。情報の開示を希望される方は、ご連絡ください。
あなたの血液から分離した血清カルテの情報をヤマサ醬油株式会社へ郵送する際には、近畿大学にて上記のような処理をした後に行いますので、あなたを特定できる情報が外部に送られることはありません。
6.試料や情報の保管等について
〔試料について〕
この研究において得られたあなたの血液や血清は原則としてこの研究のために使用し、研究終了後は、近畿大学医学部 脳神経内科において同科主任教授 永井 義隆の責任の下、5年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。
〔情報について〕
この研究において得られたあなたのカルテの情報等は原則としてこの研究のために使用し、研究終了後は、近畿大学医学部 脳神経内科において同科主任教授 永井 義隆の責任の下、10年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。
また、この研究で得られたあなたの血液や情報は、将来計画・実施される別の医学研究にとっても大変貴重なものとなる可能性があります。そこで、あなたの同意がいただけるならば、前述の期間を超えて保管し、将来新たに計画・実施される医学研究にも使用させていただきたいと考えております。その研究を行う場合には、改めてその研究計画を倫理審査委員会において審査し、承認された後に行います。
7.利益相反について
九州大学では、よりよい医療を社会に提供するために積極的に臨床研究を推進しています。そのための資金は公的資金以外に、企業や財団からの寄付や契約でまかなわれることもあります。医学研究の発展のために企業等との連携は必要不可欠なものとなっており、国や大学も健全な産学連携を推奨しています。
一方で、産学連携を進めた場合、患者さんの利益と研究者や企業等の利益が相反(利益相反)しているのではないかという疑問が生じる事があります。そのような問題に対して近畿大学では「近畿大学利益相反マネジメント実施要項」及び「人を対象とする生命科学・医学系研究の実施に係る標準業務手順書」を定めています。本研究はこれらの要項に基づいて実施されます。
本研究はヤマサ醬油株式会社から受託研究費を受けて実施されるため利益相反状態が存在しますが、観察研究実施計画は上記要項に基づき調査され、利益相反状態が存在することによって研究対象者に不利益が及ぶおそれはないと判断されました。
利益相反についてもっと詳しくお知りになりたい方は、下記の窓口へお問い合わせください。
近畿大学医学部利益相反マネジメント委員会
(窓口:近畿大学医学部・病院運営本部研究グループ学術支援課 電話:072-366-0221)
8.研究に関する情報の開示について
この研究に参加してくださった方々の個人情報の保護や、この研究の独創性の確保に支障がない範囲で、この研究の計画書や研究の方法に関する資料をご覧いただくことができます。資料の閲覧を希望される方は、どうぞお申し出ください。
また、この研究では、学会等への発表や論文の投稿により、研究成果の公表を行う予定です。
9.研究の実施体制について
この研究は以下の体制で実施します。
研究実施場所
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九州大学大学院医学研究院 神経内科学分野
九州大学病院 脳神経内科
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研究責任者
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九州大学大学院医学研究院 神経内科学分野 教授 磯部 紀子
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研究分担者
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九州大学病院 脳神経内科 助教 緒方 英紀
九州大学大学院医学研究院 神経内科学分野 准教授 山﨑 亮
九州大学病院ARO次世代医療センター 助教 小早川 優子
九州大学病院 脳神経内科 助教 渡邉 充
九州大学大学院医学研究院 神経内科学分野 助教 藤井 敬之
九州大学大学院医学系学府神経内科学分野 大学院生 田代 匠
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共同研究機関等
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機関名 / 研究責任者の職・氏名
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役割
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① 名古屋大学/脳神経内科 教授・勝野 雅央
② 千葉大学/脳神経内科 教授・桑原 聡
③ 近畿大学/脳神経内科 教授・永井 義隆
④ ヤマサ醬油株式会社/診断薬事業部長・松山 健二
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検体の採取・情報の収集
検体の採取・情報の収集
検体の採取・情報の収集
測定・解析
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10.相談窓口について
この研究に関してご質問や相談等ある場合は、下記担当者までご連絡ください。
事務局
(相談窓口)
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担当者: 近畿大学医学部 脳神経内科 桑原 基
連絡先:〔TEL〕072-366-0221(内線:3552 )
〔FAX〕072-368-4846
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OPTOUT
2022/09/07 14:41