第11回

Edema（浮腫）

EXUDATES（滲出液）

1. Composition（組成）

・increased protein　タンパク質増加

　　・increased cells　細胞成分の増加

　　・specific gravity greater than 1.020　比重は1.020以上

2. Cause（原因）

　　・inflammation　炎症

・ increased blood vessel permeability　血管透過性の亢進

3.Examples（例）

・inflammatory edema of lung（肺の炎症性浮腫）---＞bacterial pneumonia（細菌性肺炎）

　　・inflammatory edema of pleural cavity（胸腔の炎症性浮腫）---＞empyema（膿胸）

TRANSUDATES（漏出液）

1. Composition（組成）

　　・no increased protein　タンパク質増加はみられない．

　　・no increased cells　細胞成分の増加はみられない．

　　・specific gravity less than 1.012　比重は1.012以下

2. Cause （原因）-----> abnormality of Starling forses

a. increased hydrostatic (venous) pressure　静水圧（静脈圧）の増加

・congestive heart failure　うっ血性心不全

・portal hypertension　門脈圧亢進

b. decreased oncotic pressure （コロイド浸透圧増加）---> due to decreased albumin（アルブミン低下による）

　　・liver disease（肝臓疾患）

　　・renal disease (nephrotic syndrome)（ネフローゼ症候群）

c. lymphatic obstruction（リンパ管閉鎖）

　　・tumors or surgery（腫瘍性あるいは外科的）

・ filaria（フラリア症）

[解説および参考資料]

　水腫，浮腫：

　　組織液やリンパ液が，組織間隙や体腔内に異常にたまった状態

　　原因：リンパ管の狭窄，閉塞（乳癌手術，フィラリア症---象皮病）

　　　　　血管透過性亢進（炎症）

　　　　　毛細血管内圧上昇（心不全）

　　　　　血漿膠質浸透圧の低下（ネフローゼ症候群）

　　　　　ナトリウムと水分の貯留

滲出液と漏出液

	滲出液	漏出液
原因	炎症	循環障害など
タンパク質量	多い	少ない
リバルタ反応	陽性	陰性
線維素	多い	少ない
凝固性	強い	弱い
比重	高い（1.018以上）	低い（1.015以下）

＊リバルタ反応：

　　水200mlをメスシリンダーにとり氷酢酸を3〜4滴落としてよく混和。

　　これに穿刺液1滴落とす。

　　黒色の背景で白濁が発生し器底に達するまでに消失するものが陰性。

[リバルタ反応]　　　　　　　　　　　調べたい液体を滴下する．

a. b. c.

a: 水200mlに氷酢酸3〜4滴落として良く混和する。b:白濁し底に達すると陽性．c:　白濁が底にまでに消失してしまうものは陰性と判定する．

[参考画像]

a. b.

a. 肺水腫（45歳，男性，肺）．肺の割面から大量の漏出液が認められた．

b. 肺胞腔に大量の漏出液がみられ，含気はほとんど認められない．

[演習問題]

うっ血性肺水腫に関し正しいのはどれか．

a. 細菌性肺炎でみられる．

b. 心不全が原因である．

c. 肺胞内に大量の漏出液がみられる．

d. 肺胞腔内に心不全細胞が出現する．

e. 脳浮腫と関連性が高い．

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　正解：b.c.d.