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Chromosomes and cancer------癌遺伝子の活性化機構に関して

その分類と例:                     (註:Pre Test原文を筆者一部改変)

a. POINT MUTATIONS (点突然変異)

  ・C-RAS  --->  腺癌 adenocarcinoma

b. TRANSLOCATIONS (転座)

  ・C-ABL on chromosome 9 -->慢性骨髄性白血病 CML -->t(9;22)(フィラデルフィア染色体)

  ・C-MYC on chromosome 8 --> バーキットリンパ腫 Burkitt's lymphoma ---> t(8;14)

  ・bcl-2 on chromosone 18 --> 濾胞リンパ腫follicular non-Hodgkin lymphoma ---> t(14;18)

  ・bcl-1-PRAD1, cyclinD1 on chromosome 11-->マントルリンパ腫mantle cell lymphoma ---> t(11;14)

  ・RAR(retinotic acid receptor) -->急性前骨髄性白血病acute promyelocytic leukemia (M3, AML) --> t(15;17)

  ・EWS gene on chromosome 22 -->ユーイング肉腫Ewing sarcoma --> t(11:22) forms fusion gene EWS-FLI1

c. GENE AMPLIFICATION (遺伝子増幅)

  ・N-MYC ---> 神経芽腫neuroblastoma

  ・ERBB2 ---> 乳癌breast carcer

ERBB2はHER2とも呼ばれ,細胞膜表面にある受容体型チロシンキナーゼ.

 

癌遺伝子の活性化の機序についての例です.癌遺伝子は本来正常な遺伝子です.活性化が起きた場合に癌化とかかわります.その機序は大きく以下の2つに分けられます.

1)      癌遺伝子の構造の変化によるもの: 遺伝子の突然変異による.

2)      癌遺伝子の発現の増加によるもの: 

1] 染色体転座によるもの. 2]遺伝子増幅によるもの.

点突然変異:癌遺伝子の特定の部位に突然変異が生じると,その産物の構造が変化し恒常的に活性化し続けるような変異体が生じる.

染色体転座:染色体の相互転座により,遺伝子の再構成がおこり,癌遺伝子の発現増加や活性化が生じる.

遺伝子増幅:染色体の変化により,遺伝子のコピー数増加を招く変化.遺伝子発現の増加を伴う.

 

 

 

 

 

[参考画像]

慢性骨髄性白血病における転座(フィラデルフィア染色体)

Ph

 

a.

a. 慢性骨髄性白血病(ミクロ像(HE強拡大):骨髄は著しい過形成骨髄で特に顆粒球、巨核球の増加が目立つ。)日本病理学会HP(病理コア画像より)http://jsp.umin.ac.jp/corepictures2010/01/c06/images/01.jpg

 

[演習問題]

慢性骨髄性白血病で最も多い遺伝子異常は何か.

a. 転座,t(8;14)

b. 転座,t(14;18)

c. 転座,t(9;22)

d. 点突然変異,c-ras

e. 遺伝子増幅, erbB-2

                                             正解:c