第18回
17.CARCINOGENS-2
[重要用語]
b.Viruses (ウイルス)
1.RNA VIRUSES
・acute transforming viruses急性形質転換
・slow transforming viruses遅発性形質転換
・HTLV-1 ---> adult T
cell leukemia / lymphoma(成人T細胞性白血病/リンパ腫
2.DNA VIRUSES
a.
HPV (see koilocytosis for histology,コイロサイトーシス)
・cervical neoplasia(子宮頚部腫瘍)(types 16 and 18)
・condyloma(コンジローマ)(types
6 and 11)
・verruca vulgaris(尋常性疣贅)(especially types 2
and 4)
・plantar warts(足底疣贅)(type1)
・bowenoid papulosis(ボーエン様丘疹症)(type 16 and 18)
b. EBV
・African Burkitt lymphoma(アフリカバーキットリンパ腫)
・nasopharyngeal carcinoma(鼻咽頭癌)
・some types of Hodgkin lymphoma(ホジキン病の内のいくつか)
・post-transplant lymphoma(移植後リンパ腫)
c. hepatitis B
and hepatitis C
・liver cancer(肝細胞癌)
d.HHV(human herpes virus)
・HHV-8--->Kaposi sarcoma(カポジ肉腫)
・HHV-6--->roseola infantum
(小児バラ疹)(exanthema subitum,突発疹)
[解説および参考資料]
ウイルスは核酸とそれを含む蛋白のみを持ち細胞に侵入しない限り増殖できません.しかし,生体に感染しますと宿主細胞内で増殖致します.
そして宿主細胞の遺伝子変異をもたらし,癌化を引き起こすことがあります.
RNAウイルスはすべてが逆転写酵素reverse
transcriptaseをもちレトロウイルスretrovirusと呼ばれています.レトロウイルスは基本的に3つの遺伝子を持ちます.
・群特異的蛋白を作る遺伝子 gag
・逆転写酵素をつくる遺伝子 pol
・ウイルス粒子外被膜糖蛋白を作る遺伝子 env
HTLV-1はgag,pol,env以外にpX領域にtax, rexなどという遺伝子を持ち,そのうちtax遺伝子はインターロイキン-2(IL-2)およびIL-2レセプターの産生,発現を活性化させ,T細胞の増殖を促進すると言われています.
DNAウイルスはトランスフォーミング遺伝子をもちます.ヒトの腫瘍との関係が知られている代表は,上記のhuman papilloma virus(HPV) 16型や18型です.子宮頚癌の原因として注目されていることはご存じのとおりです.このHPVは単独では癌化は起こらず,他の因子が加わることが必要とされています.HPVの特定の遺伝子(E6, E7)がつくる蛋白質が癌抑制遺伝子Rbやp53の蛋白と結合し癌化に結びつくと考えられています.
herpes
virusはご存じの通りです.
EB
virusは日本人のほぼ100%が感染しているとの報告もあり,このことからEBV単独では癌化しないと考えられています.上記にあるとおり鼻咽頭癌の原因と考えられており,中国南部,東南アジアに多く見られます.
[参考画像]
a. b.
c. d.
e.
a.b.尖圭コンジローマ(29歳,女性,会陰部皮膚);表皮の乳頭状増生がみられる.有棘細胞層では核周囲にhaloの形成がみられる.
c.皮膚悪性リンパ腫(44歳,女性.下腿皮膚)(T cell type), d.CD3(+),
e.RBER1(+)(EB virus-encoded small RNA, in situ
hybridization)
[演習問題]
症例:74歳,女性.HBウイルス感染.肝臓に腫瘤が見つかり手術的に摘出された.図はそのHE染色標本である.正しいのはどれか.
a.発癌物質はDNAウイルスである.
b.高分化肝細胞癌である.
c.脂肪肝である.
d.Mallory小体の形成がみられる.
e.高度のうっ血がみられる.
正解:a.b.d