第38回
36. DISEASES ASSOCIATED
WITH HLA TYPES (HLA型関連疾患)
[重要用語]
・ankilosing spondylitis(強直性脊椎炎)→ HLA-B27
・primary hemochromatosis(原発性ヘモクロマトーシス)→ HLA-A3
・21一hydroxylase deficiency(21ヒドロキシラーゼ欠損症)→ HLA-BW47
・rheumatoid arthritis(RA,リウマチ性関節炎) → HLA-DR4
・insulin-dependent (type I)diabetes mellitus (1型糖尿病)→ HLA-DR3/DR4
・systemic lupus erythematosus(全身性エリテマトーデス)
→ HLA-DR2/DR3
[解説および参考資料]
*慢性関節リウマチの最新情報のつまみ:
・疾患遺伝子は,マイクロサテライトマーカーを指標にした全染色体レベルでの遺伝子解析の結果,第1染色体D1S214,第8染色体D8S556,X染色体DXS1232の合計三つの遺伝子座位にあるといわれている.1)
参考)マイクロサテライトマーカー:染色体には塩基配列が2,3ないし4個の単位で繰り返される部位がある.これをいう.RAの場合,CA(シトシン,アデニン)の2塩基リピートが有名.
・従来,RAの発症伸展機構におけるT細胞の重要性の説明:2)
1. RA滑膜にはT細胞(特にclass II,CD4+)浸潤が著明である.しかもその殆どがメモリー型.
2. HLAハプロタイプ(HLA-DRB1*0405)と強い相関がある.
3. 抗CD4抗体などでT細胞を抑制することで局所の病変を抑えられる.
4. 関節軟骨抗原であるII型コラーゲンの免疫でRAモデルが作製でき,CD4+T細胞移入によって他の動物に発症させうる.
・早期RA滑膜病変の解説:3)
1. 早期では,滑膜は浮腫状で,血管周囲に紡錘形の胞体を有し,IL-1を強く発現するHLA/DR陽性の細胞(dendritic cell,
interstitial cell)が出現.
2. 遅れて,この細胞の周囲にT細胞が浸潤する.
3. さらに遅れて,B細胞の集簇が起こり,濾胞原基が形成される. 文責:筑後
参考文献.図書:
1)塩沢俊一 慢性関節リウマチの遺伝子同定への試み 病理と臨床 1999, 17,692-698.
2)鴨川淳二他 慢性関節リウマチ滑膜での免疫反応と関節病理 病理と臨床 1999, 17, 699-705.
3)澤井高志他 慢性関節リウマチ滑膜初期病変の免疫組織化学的検討.リウマチ 1990, 30 (4):
247-254.
[参考画像]
a.
b.
a.ループス腎炎(HE染色),b.ループス腎炎(PAS染色)
[演習問題]
図は慢性関節リウマチの関節周囲にみられたリウマチ結節の組織である.正しいのはどれか.
a.類上皮細胞からなる肉芽腫である.
b.類上皮細胞の柵状配列がみられる.
c.中心部にフィブリノイド壊死がみられる.
d.中心部に乾酪壊死がみられる.
e. HLA-DR4と関連性がある.
正解:a.b.c.e.