医師インタビュー

助教・渡邉諭美

女性医師のやりがいと
ライフワークバランス

近畿大学医学部内科学教室腫瘍内科部門
助教 渡邉諭美

研修先で感じた疑問

もともと文科系で、国語や英語が好きな高校生でした。進路を考えるにあたって、高校生の限られた想像力ですけど、生命にかかわる医師という仕事が一番やりがいの見いだせるところかなと思い、医学部に進学することにしました。

大学時代は外科医にあこがれていましたが、卒業後、研修を始めてみると外科治療だけでは患者さんを救うことはできず、分子病態の理解にもとづいて開発された新しい薬剤を含め、がん薬物療法をしっかり学ぶ必要があると痛感しました。

研修先の病院では、術前・術後・転移再発の薬物療法や緩和ケアに触れ、医療の進歩を実感する得がたい機会をいただいたと思っています。
その一方で、自分の将来像として、外科治療をしながら日々進歩する治療を適切に行える知識を身につけていくのは困難だと感じたのも事実です。

こうしたことから、当時指導していただいていた乳腺外科の先生に「がんの薬物療法や緩和ケアをもっとしっかりできるようになりたい」と相談したところ、「近畿大学の腫瘍内科で勉強したらいいんじゃないか」と勧められました。

その後、呼吸器内科を回ったときも、上級医の先生から「最近のがん薬物療法の目覚ましい進歩を目の当たりにすると、もしいま自分が研修医の立場なら近畿大学の腫瘍内科で勉強したい」と背中を押していただきました。

子育ても研究も妥協しない

当科に見学させていただいたとき、医局の雰囲気が自分に合っているなと感じ、入局させていただくことにしました。
実際に入局してみると、当科では患者さんの治療方針について、とても細かいところまで気を配り、妥協せずに取り組む姿勢がすべての先生方にみられるなと思いました。

もう1つ、当科では研究の体制が整っており、そこが他施設と大きく違う魅力だと感じています。研究面での自由度が高く、自分のやりたいことをのびのびと自由にさせてもらえる雰囲気があります。

大学院生のころは分子標的治療薬をメインに研究し、現在は幸い科学研究助成費(科研費)を獲得することができ、希少がんに対し、分子病態を解析して分子標的治療薬の有用性を検討する研究をしています。

入局後、結婚して2017年8月に出産しました。この医局では初めてのケースでしたので、先生方には「産休や育児休暇はどうすればよいかわからないから、あなたのしたいようにしていいよ」といわれ、すべて私のほうで決めさせていただきました。

私の希望は、産休後も常勤医師として職場に復帰し、子育ても研究も妥協なく進めていきたいということでした。結局、子どもが生後8か月になった時点で医局に戻ることにし、午後5時終業、当直は免除というかたちで勤務させていただいています。

実際、子育てをしながら臨床、研究すべてを出産前と同じ量だけこなしていくのは不可能です。私がいま、子育てをしつつ臨床に加えて研究までできているのは、当科の先生方が手厚くサポートしてくださり、臨床での負担を軽くしていただいているおかげだととても感謝しています。

他施設では、主治医が担当の患者さんに何かあったとき、休日・夜間でもオンコールで駆けつけるのが当たり前というところも多いと思います。当科では、休日・夜間の診療は完全当直制であるため、在勤の先生方が責任をもって患者さんを診てくれる安心感、信頼感があります。

私は常勤で定時までという働き方を選択しましたが、もっと子育てに時間を使いたいと希望される先生であれば、早めに退勤したりパート勤務にしたりという選択肢もあります。
個別に相談して、自分自身が望むライフワークバランスに沿った働き方を選ぶことができるのが、当科の魅力の1つだと思います。

患者さんを最期まで診るということ

当科が緩和ケアに力を入れいてることも、入局してよかったと思ったことの1つです。
緩和ケアは、がんの診療を担う立場として切っても切れないものであり、がんと診断した時点から開始しなければいけないものです。

当院には緩和ケアセンターのほか、系列のホスピスが2つあり、主治医が初診からターミナルステージまで一貫して患者さんを診られる体制が整っています。
私も、産休前まではこのホスピスに週1回往診していました。患者さんやご家族からは、「今まで病棟や外来で診てくれた先生が、ホスピスに週1回でも来てくださると安心できる」とおっしゃっていただきました。

1人の患者さんを初診から最期まで診るということは、患者さんが治療をしたことにより、たとえばお子さんの結婚式に出席できた、孫が産まれるのを見届けられた、行きたかったところに旅行ができたといった喜びを共有することだと思っています。

信頼関係ができた患者さんが亡くなられるのはとても辛いですが、患者さんが思うような人生を送られるのをサポートできた、最期まで悔いなく治療できたという自信があれば乗り超えられるし、医師として、研究者として生きていく糧になると信じています。

腫瘍内科医として、臨床も研究も子育ても妥協したくないと考えておられるなら、性別、年齢、専門を問わず、当科で一緒に頑張りましょう。

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