研究オプトアウト情報

2020年04月28日 掲載

可溶性免疫チェックポイント分子と免疫チェックポイント阻害薬の治療効果の関連を検討する観察研究

研究の背景

近年、肺癌などいくつかのがん治療において免疫治療が目覚ましい進歩を遂げました。癌細胞には白血球など免疫からの攻撃を免れる防御能力が備わっており、この防御能力の一つとしてがん細胞にはPD-L1やCTLA-4などの特別なタンパク質が発現しています。近年開発が進んでいる免疫治療(免疫チェックポイント阻害剤)はこれらのタンパク質の機能を阻害することで癌細胞の増殖を抑えることが出来る治療として期待されています。実際に、多数の臨床試験の結果から免疫療法の有効性が証明されており、実臨床において欠かせない治療薬となっています。このたび京都大学と株式会社シムメックスの共同で、可溶性免疫チェックポイント分子(可溶性(s)PD-1、sPD-L1、sCTLA-4)の全自動測定法が開発されました。この測定法を用いて京都大学、近畿大学と共同で行った50名の非小細胞肺癌患者さんを対象とした臨床研究では、可溶性マーカーの数値によって免疫チェックポイント阻害薬(ニボルマブ)の有効性を予測できる可能性が示されました。そこで、本当にこの測定法が免疫チェックポイント阻害薬の有効性の予測を行うのに有用であるかを検討するために、この度、本研究を計画しました。今後、固形癌患者様の治療方法を決定する上で有用な新しい知見が得られることが期待できます。

研究の概要

対象: 固形癌と診断され、免疫チェックポイント阻害薬による治療や化学療法を受けている患者様、かつ、本研究のための資料(通常診療で得られ診療録内に記録された臨床情報)ならびに検体(過去の診療で得られた腫瘍組織、血液検体の提供が可能である方を対象とします。

施設: 近畿大学医学部内科学腫瘍内科部門および京都大学大学院医学研究科免疫ゲノム医学教室でデータ収集を行い、京都大学大学院医学研究科免疫ゲノム医学教室、近畿大学医学部内科学腫瘍内科部門、近畿大学医学部ゲノム生物学教室、シスメックス株式会社にて解析します。また、検体を用いた免疫組織染色を必要時には株式会社パソロジー研究所、株式会社N Lab(エヌ ラボ)に、メタボロミクス解析について必要時に株式会社島津製作所、遺伝子発現変異解析について必要時にcell innovator 株式会社および株式会社マクロジェンジャパンに外部委託します。

目的: 可溶性免疫チェックポイント分子が固形癌患者における免疫チェックポイント阻害薬治療効果における予測因子となりうるかを検討・解析することにより、同患者集団における治療戦略の最適化につながることを期待します。

方法: 通常診療で得られた臨床情報・腫瘍検体を入手・収集し、統計学的手法により各項目の関連性を解析します。その血液検体、腫瘍組織を用いて可溶性免疫チェックポイント分子により有効性が測定できるかを、既存の腫瘍由来の免疫関連マーカーの測定や免疫応答に関する遺伝子の発現や変異などの結果と併せて関連性を検討します。

解析資料および試料

本研究は京都大学大学院医学研究科免疫ゲノム医学教室、近畿大学医学部内科学腫瘍内科部門を代表とする多施設共同研究です。
本研究では、過去の通常診療で得られた臨床情報(性別・年齢・生年月・病理所見・臨床的分類・病変の部位・喫煙歴・既往歴・家族歴・身体所見・遺伝子異常の有無とその内容・血液検査項目・治療内容・治療効果・治療経過)を診療録より入手・収集し、各項目の関連性を統計学的手法により解析します。過去の研究や診療で得られて保管されている血液検体を用いて可溶性免疫チェックポイント分子を測定し、有効性との関係を調べます。また、過去の通常診療で得られた保管されている腫瘍組織を用いて免疫組織染色・遺伝子発現・変異解析・ゲノム解析を行い、上記の情報との関連性を検討することがございます。これらの遺伝子変異は、がん免疫に関わるものであり、患者様やそのご家族の遺伝に関係するものではありません。検査の一部に遺伝子解析をすることがございますので、結果について質問等ございましたら担当医にご相談ください。ご希望の際は遺伝カウンセリング外来にもご紹介させていただくことは可能です。当該施設に遺伝カウンセリング外来が無い際は適切な遺伝カウンセリング外来をご紹介させていただきます。
尚、過去に採取したがん組織が小さい場合、本研究での使用によって残存検体の消耗や稀に滅失の可能性があり、その後の追加検査に支障が生じたり追加検査が出来なくなったりすることが稀にあります(そのようなことが無いように細心の注意を払います)。
この掲示をご覧頂き、「ご自身の臨床情報に関するデータならびに血液検体、腫瘍組織の利用を希望しない」とのお申し出がない場合には、ご同意頂いたものとして、検討させて頂きたいと存じます。もし、データ及び腫瘍組織の利用をご希望されない場合には、下記連絡先までご連絡くださいますようお願い申し上げます。なお、今回の研究課題につきましては、すでに当施設の倫理委員会にて承認されております。

個人情報保護に関する配慮

個人情報の取り扱いにつきましては、本研究に関係する全ての研究者は、個人情報保護法に基づいて、研究対象者の個人情報を厳重に管理します。本研究は固形癌と診断された患者様の診療録に基づいた臨床情報を用いて行います。個人情報に関しては、本研究のみに使用します。個人識別情報管理者を置き、対象患者様に対して独自のIDをつけ、個人情報は全て匿名化されますので、いかなる個人情報も委託機関以外の施設への試料・情報提供はなく、院外に出ることはありません。ご自身の診療情報が利用されているかも知れないと思われる個々の研究について詳細を知りたい時は、いつでも情報を提供致します。患者様の個人情報の管理は十分慎重に行い、漏洩することがないように致します。

ご質問や研究に対する拒否の自由

その他に本研究に関してお聞きになりたいことがありましたら、遠慮なくいつでも担当医または下記のお問い合わせ先まで御相談下さい。患者様からのご希望があれば、その方の臨床データは研究に利用しないように致します。そのご要望を頂いたとしても、患者様の不利益となることはありません。

研究責任者及びお問い合わせ先

研究代表者/ 本庶 佑   京都大学大学院医学研究科免疫ゲノム医学教室 特任教授
中川 和彦  近畿大学医学部内科学腫瘍内科部門 教授

研究事務局/ 林 秀敏   近畿大学医学部内科学腫瘍内科部門 講師
黒崎 隆  近畿大学医学部内科学腫瘍内科部門 専攻医
近畿大学病院腫瘍内科
〒589-8511 大阪府大阪狭山市大野東377-2
TEL:072-366-0221(Ex.3542) / FAX:072-367-5000

研究事務局/ 茶本 健司  京都大学大学院医学研究科免疫ゲノム医学教室 准教授
京都大学大学院医学研究科免疫ゲノム医学教室
〒606-8501 京都市左京区吉田近衛町京都大学医学部A棟1階
T Tel: 075-753-4371 / Fax: 075-753-4388

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