研究オプトアウト情報

2021年03月15日 掲載

乳房外パジェット病における生物学的特性とその臨床経過の関連について検討する 後向き観察研究

【研究の背景】

近年、乳がん、胃がん、肺がんなどさまざまながん種において分子標的治療薬が目覚ましい進歩を遂げました。近年開発が進んでいる分子標的治療薬はがん細胞に特異的に発現する分子をターゲットにしすることで既存の抗がん剤(殺細胞性抗がん剤)と比較してより高い効果が期待できる薬剤です。
これまでさまざまながん種においてそのがんに特徴的な分子があきらかにされ、それを元にした分子標的治療薬の治療開発が行われてきましたが、乳房外パジェット病においてはがん細胞にどのような特徴がありどのような薬剤が効果をもたらすのかということはまだよくわかっていません。しかしこれまでの研究によって、乳房外パジェット病の一部は乳がんで発現が見られるHER2(ハーツー)というたんぱく質が比較的効率で認められることが確認されています。この研究では当院で診療をうけた乳房外パジェット病の患者様の過去の診療録から得られた診療情報ならびに過去の診療において既に採取済みの腫瘍組織を解析し、乳がん患者様の腫瘍組織でのさまざまな遺伝子発現と乳房外パジェット病の発現の関連につき調べ、また生物学的特性と臨床的特徴や予後の関連性を調べることで、同様の治療をうける方によって有用な新しい知見が得られるのではないかと考えています。 

 

【研究の目的・意義】

この研究の目的は、当院で診療を受けたことがある乳房外パジェット病の患者様において、生物学的特性と臨床的特徴や予後との関連性はいかなるものかを明らかにすることです。この研究はあなたと同様に乳房外パジェット病と診断された方の治療をより適切に行うための足がかりとなることが期待されます。

 

【対象】

乳房外パジェット病として当院において診療を受けられたことのある20歳以上の方
乳がんとして当院において診療を受けられたことのある20歳以上の方

 

【解析資料および試料】

本研究では、乳房外パジェット病の患者様において過去の通常診療で得られた臨床情報・診療情報(性別・年齢・生年月・病理所見・臨床的分類・病変の部位・喫煙歴・既往歴・家族歴・身体所見・遺伝子異常の有無とその内容・腫瘍マーカー・治療内容・治療効果・治療経過)を診療録より入手・収集し、各項目の関連性を統計学的手法により解析します。また、過去の通常診療で 得られた腫瘍組織を用いて免疫関連マーカー(免疫組織学的染色、蛍光in situハイブリダイゼーション法,遺伝子発現)の測定を行い、上記の情報との関連性を検討します。通常診療で胸水・腹水の排液を予定される場合にはその余剰検体を用いてがん細胞に対する薬剤の感受性を調べます。
また乳がん患者において過去の通常診療で 得られた腫瘍組織を用いて遺伝子発現の測定を行い、上記の情報との関連性を検討します。これらの遺伝子やタンパク質は、通常はがん細胞のみに関わるものであり、患者様やそのご家族の遺伝に関係するものではありません。また過去の通常診療または過去の研究で採取された組織検体を利用させて頂くため、本試験に伴って新たに生じる身体への危険はありません。ただし過去に採取したがん組織が小さい場合、本研究での使用によって残存検体の消耗や稀に滅失の可能性があり、その後の追加検査に支障が生じたり追加検査が出来なくなったりすることが稀にあります(そのようなことが無いように細心の注意を払います)。 
 この掲示をご覧頂き、「ご自身の臨床情報・診療情報に関するデータならびに腫瘍組織の利用を希望しない」とのお申し出がない場合には、ご同意頂いたものとして、検討させて頂きたいと存じます。もし、データ及び腫瘍組織の利用をご希望されない場合には、下記連絡先までご連絡くださいますようお願い申し上げます。なお、今回の研究課題につきましては、すでに当施設の倫理委員会にて承認されております。 

 

【個人情報の取り扱いについて】

お名前・生年月日・住所などの個人情報に関わるデータはすべて匿名化されいかなる個人情報も院外には漏出されないよう管理致します。 
この研究は近畿大学医学部の倫理委員会の審査・承認を得ております。 

【ご質問や研究に対する拒否の自由】

本研究に関しましてお聞きになりたいことがありましたらいつでも担当医もしくは下記問い合わせ先までご連絡ください。また本研究に資料を提供したくない場合はお申し出ください。お申し出いただいても今後の診療等に影響はありません。ただしすでに論文発表や学会発表にて公表されたデータとなっている場合には撤回はできません。 

 

【研究責任者およびお問い合わせ先】

研究代表者/ 
中川 和彦 近畿大学医学部内科学腫瘍内科部門 教授 
研究責任者/ 
岩朝 勤   近畿大学医学部内科学腫瘍内科部門 医学部講師 
研究事務局/ 
渡邉 諭美 近畿大学医学部内科学腫瘍内科部門 助教 
 
〒589-8511  大阪府大阪狭山市大野東377-2 
TEL: 072-366-0221 / Fax: 072-360-5000 

【解析機関】

近畿大学医学部内科学講座腫瘍内科部門(データ解析)
株式会社エスアールエル(腫瘍組織を用いたHER2 FISHの実施)
株式会社パソロジー研究所(腫瘍組織を用いた免疫組織学的染色)

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