脳血管障害
首の側方には、指で押さえるとその脈を触れることができる頚動脈が左右に存在します。頚動脈は、頭蓋内へ入っていき、左右の大脳半球を栄養する非常に重要な血管です。頚動脈狭窄症とは、動脈硬化により血管壁にプラークが形成され、頚動脈の血管内腔が細くなった病態のことを言います(図1)。頚動脈狭窄症は、脳への血流低下や、狭窄部でできた血栓の脳への飛散により、一過性脳虚血発作(脳梗塞の前駆症状)や脳梗塞を引き起こします(図2)。狭窄率が軽度であれば、血液をサラサラにするお薬の内服や生活習慣病の改善など内科的治療で経過を見ますが、狭窄率が高度になれば、手術加療が必要になります。頚動脈狭窄症の手術には、頚動脈内膜剥離術(CEA)と頚動脈ステント留置術(CAS)があります。当院は、どちらの治療法にも精通しており、プラークの性状や患者さんの全身状態などに応じて、より安全な治療法を選択、提供しております。
頚動脈内膜剥離術は、全身麻酔下に手術室で行います。頚部に約15cmの皮膚切開を加え、頚動脈を露出します。頚動脈の血流を一時的に遮断し、動脈切開を加えます。長時間の遮断は、脳血流低下による脳梗塞を起こす危険性がありますので、動脈切開後、心臓則から頭側へシャントチューブを挿入し、脳血流を維持するようにします。動脈壁に沈着したプラークを慎重に剥離し、摘出します。動脈壁に残存プラークがないことを確認した後、動脈切開部を縫合し、手術を終了します。
頚動脈ステント留置術は、局所麻酔下に血管撮影室で行います。鼠径部からカテーテルを挿入し、頚動脈に留置します。次に、頚動脈が脳へ入っていく手前あたりに塞栓防止用フィルターを留置します。これは、手術中に破綻したプラークが脳へ飛散するのを防ぐためです。塞栓防止用フィルター下に、狭窄部をバルーンで拡張させ、ステントを留置します。ステント留置後、ステント内を再度バルーンで拡張します。血管内超音波でステント内が問題ないことを確認した後、塞栓防止用フィルターを回収し、手術を終了します。
専門の担当医師
講師 辻 潔
脳神経外科における手術の実績は関西だけでなく国内でもトップクラス
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