機能的脳神経外科疾患
人は物をつかむ時に、筋肉を動かしますが、この際には力が入る筋肉と力を緩める筋肉と相反する力の入れ方が、程よくコントロールされて、物をつかむことが可能となります。しかし、ジストニアは、筋肉の力の入り方がコントロールできない状態となり、結果として物はつかめなくなります。しかも、筋肉の異常な力(緊張)により、手が反り返ったり、首が絶えず傾いたり、からだが曲がったりという状態になります。(図),これは自分の意思ではどうすることもできません。
ジストニアの原因としては、脳炎や脳卒中の後遺症として出現するのや、遺伝性もあり代表的なものに瀬川病というのが小児期に出現しています。
原因のはっきりしない例もあり、決まった動作だけ症状がでる、例えば楽器操作や書字、髪をカットするはさみ操作時に出現するものもあります。
病気がおこるメカニズムとして、脳内の変化が推測されており、筋肉の緊張をコントロールしている大脳基底核の働きの異常が指摘されています。
診断は、異常な筋肉の動きの観察や症状の経過から判断します。
画像検査としては、大脳基底核の働きをMRIやCTでは見ることができず、形としての異常は指摘されません。遺伝性が考えられる場合には遺伝子検査をすること場合もあります。
抗コリン薬、レボドパ、などの薬を使用します。
ボツリヌス菌が作り出す毒素は、筋肉を麻痺させます。この作用を利用し、ごく微量にした毒素を直接、過緊張の筋肉に注射します。この方法により筋肉を軽く麻痺させます。
効果は、3.4か月のみですので、再度、注射を行う必要があります。
頭に定位脳フレームという特殊な手術機器を装着し、CT室で撮影をします。全身麻酔を行い、そのCTと手術前に撮影したMRIにて、医療用のナビゲーションを用いて電極を入れる部位を決定します。
頭蓋骨に穴をあけ、電極を挿入します。場合により、電極から電気活動を測定したり、局所麻酔にして、手術時に症状を見ながら電極刺激をおこなうこともあります(定位脳手術)(毛髪を剃ることはありません)
効果の最も高い部位に電極を留置し、その後、前胸部(あるいは腹部)に電池を埋め込み、脳に挿入した電極を接続し、電気刺激システムを完成します。
手術後、退院までの期間で刺激の調節を行います。この治療法は、症状変化に応じて、刺激条件を変えることができる利点があります。
③の脳深部刺激術とかわらない方法(定位脳手術)をもちいて、最終的には電極をいれるのではなく、脳の一部、数ミリを凝固するものです。
ITB療法とは、バクロフェン(商品名:ギャバロン髄注)というお薬を、作用部位である脊髄の周囲へお腹の皮下に埋め込んだポンプからカテーテルを通じて直接投与することにより、痙縮をやわらげる治療です。この治療では、患者さんの状態に応じてお薬の量を増減することにより、痙縮をコントロールすることができます。
☆ジストニアの出現の原因究明は現時点では困難で今後の医学の進歩に委ねられますが、当科では、今のベストな治療法をもって、各患者さんの日常生活動作を良好に図れるような治療法を呈示します。
専門の担当医師
講師 内山 卓也
脳神経外科における手術の実績は関西だけでなく国内でもトップクラス
南大阪で最先端医療を受けるなら近畿大学医学部脳神経外科へ
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