EDUCATION教育 / カリキュラム

カリキュラムの特徴

医学教育では、まず基本的な医学知識と医学技術を身につけなければならないが、最新の知識・技術もマスターしなければならない。そのとき大事なことは学ぶべき情報量は余りにも多すぎるので、ただ知識を詰め込むというのではなく、骨格(コア)となる基本部分をマスターし、それに基づいて、ものの見方、考え方、理論的な展開法などの実践を通して学び、未知の問題に対処する方法を身につけることである。
呼吸器・アレルギー内科として最も重要と考える点は臨床実習の充実である。すなわち、種々の基本的な臨床技術の習得、医師としての態度の養成、そして人とのコミュニケーションの形成等が重要な教育課題であることより、BSL、OSCE、クリニカルクラークシップ、学外病院実習等、臨床実習が重要である。
臨床実習前の医学知識の習得のための講義は、呼吸器病学およびアレルギー学全般について、その他の講座との合同でプリントとスライドを用いた講義形式で行い、学習目標として以下の点が重要である。

  1. 肺の解剖と換気・拡散・肺循環、呼吸調節系の機序、また、ヘモグロビンの生理作用と酸素解離曲線について理解する。
  2. 肺循環系の障害として肺血栓・塞栓症および肺高血圧症の病態、および検査および治療について述べることができる。また、慢性呼吸器疾患に合併する肺性心や特殊な病態の肺動静脈廔について述べることができる。
  3. 慢性呼吸不全の定義・メカニズム・臨床症状・治療について述べることができる。
  4. 換気障害として過換気症候群の病態生理を理解し、臨床症状を述べることができる。また、肺胞低換気症候群、睡眠時無呼吸症候群の発症機序、成因、および診断と治療について理解する。
  5. 先天性・遺伝性・嚢胞性肺疾患の画像的特徴および診断・治療について理解する。
  6. びまん性肺疾患について間質性肺炎ではIPF, NSIP,AIP, COPの特徴と鑑別を知り、診断、治療、予後について理解する。また、過敏性肺疾患では原因物質と免疫学的発症機序について学習し、診断と治療について述べることができる。
  7. 肺疾患を呈する全身性疾患としてアミロイド―シス、サルコイドーシス・ランゲルハンス細胞組織球症・多発血管炎性肉芽腫症・Goodpsdture症候群の特徴、診断、治療について述べることができる。
  8. 呼吸器感染症として肺抗酸菌症の病態と診断について説明できる。また、肺結核の感染防止予防について説明できるようにする。さらに非細菌性肺炎の病原体を挙げ、診断と治療について述べることができる。
  9. 気管支喘息の病態生理を理解し、急性期及び長期管理について述べることができる。また、慢性閉塞性肺疾患における慢性気管支炎、肺気腫の位置づけを知り、成因、病態生理を踏まえた診断と治療を理解する。
  10. 胸膜・横隔膜・縦隔疾患では、胸膜炎の病態と胸水の性状について学習し、臨床症状および検査/治療について述べることができる。また、気胸・縦隔気腫・横隔膜異常について発症機序、診断、治療を述べることができる。
  11. 特殊な肺疾患として、肺胞蛋白症、肺胞微石症について病因を理解し、特徴的な画像と診断の述べることができる。また、肺胞蛋白症に治療禁忌とリポイド肺炎の概念を理解する。
  12. 好酸球性肺疾患として、急性および慢性好酸球性肺炎、ABPAについて病態、診断、治療について理解する。
  13. 好酸球増多症候群の病態、診断、治療について理解する。

また、講義終了後の臨床実習の場においても、気管支鏡や喀痰染色などの実習や各疾患についてのレクチャーを行い、実践に即した学習を提供する。