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4. 骨髄由来造血幹細胞を用いた研究

  骨髄には、造血系幹細胞、間葉系幹細胞などの様々な再生医療において重要な組織幹細胞が存在します。例えば、骨髄細胞には、Hoechst 33342で染色し、UVで励起させた時、G0/G1よりもさらに暗い領域に非常に特異的なパターンを持つHoechst陰性の細胞集団(side population cells; SP細胞)が認められます。このSP細胞には、造血幹細胞が豊富に含まれ、このSP細胞の投与で致死的放射線照射マウスの全血液系の再構築が誘導され、造血幹細胞に近似した細胞と考えられます

 

  また、骨髄内の造血幹細胞は、造血至適微細環境(ニッチ)により保持されます。この細胞保持には、支持細胞として骨芽細胞が骨髄血管内皮の近傍に存在し、細胞表面のintegrin、N-cadherin、angiopoietin-1/Tie2系などの分子が細胞接着に働くことにより重要な役割を果たすとされています。造血幹細胞は、特異的な分化誘導因子により未分化性を失う過程でニッチから離脱し、前駆細胞として増殖し、造血系細胞となるために移動します。この離脱と細胞移動には蛋白分解酵素であるマトリックスメタロプロテアーゼ(MMPs)や線溶系の酵素であるplasminが働くと考えられます

 

  そこで私共は、現在、SP細胞を用いて線溶系因子と骨髄の幹細胞分化・増殖の関連について検討し、骨再生や肝再生などの再生医療に応用できる知見を得ることを目標に研究を進めています。




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