1型および2型糖尿病患者では、骨折のリスクが健常者に比べて高いことが報告されており、糖代謝異常が骨粗鬆症の大きな原因となることが示唆されています。そして現在、我が国における糖尿病患者数は、予備軍も含めて1650万人にもおよぶと言われており、今後、糖尿病性の骨粗鬆症患者のさらなる増加が予想されます。
さらに、近年の研究において、骨芽細胞から分泌される骨基質蛋白質のオステオカルシンが膵臓におけるインスリン分泌やインスリン感受性臓器における糖の取り込みやエネルギー代謝に関わっていることが報告され、骨代謝異常そのものが肥満や糖尿病の病態進展に関与しているという新しい概念が注目されています。
このように糖尿病と骨粗鬆症のそれぞれの病態の発症・進展機序における相互関連機構が解明されつつありますが、まだまだ不明な点が多く、さらなる分子機構の解明が求められているとともに、これらの疾患の新たな診断・治療法の確立が急務となっています。
そこで、私共の研究室では、糖代謝異常と骨代謝異常を相互につなぐ分子機序の解明を目的として、肥満・糖尿病病態において脂肪細胞からの分泌が増加するアディポサイトカインや糖尿病病態で発現変動する骨形成促進因子あるいは抑制因子に注目し、マウス生体内および培養細胞レベルで、これら因子の病態における役割の解析を進めています。
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