ABOUT US教室について

教室理念

麻酔科には、手術麻酔管理を中心に、集中治療学(Intensive Care Unit)と疼痛管理(ペインクリニック)のサブスペシャリティーがあります。その基本コンセプトは、全身管理と疼痛管理であり、日本麻酔科学会の理念は、「患者の命を守る」ということです。
麻酔科学とは、人間が生存し続けるために必要な呼吸器・循環器等の諸条件を整え、生体の侵襲行為である手術が可能なように管理する生体管理医学です。麻酔科専門医は,国民が安心して手術を受けられるように,手術中の麻酔管理のみならず,術前・術中・術後の患者の全身状態を良好に維持・管理するために細心の注意を払って診療を行う、患者の安全の最後の砦となる全身管理のスペシャリストです.同時に,関連分野である集中治療や緩和医療,ペインクリニック,救急医療の分野でも,生体管理学の知識と患者の全身管理の技能を生かし,国民のニーズに応じた高度医療を安全に提供する役割を担っています。

教授メッセージ

近畿大学麻酔科学講座は医学部の開設に伴って昭和50年に開講され、京都大学から初代教授とし末包慶太教授が就任、平成6年には2代目教授として東北大学から古賀義久教授が就任し、近畿大学麻酔科学講座の基礎を築かれました。平成22年4月1日には、関西医科大学から中尾慎一教授が3代目の教授として就任され、臨床・教育・研究すべての面でのさらなる発展を遂げたおかげで、医局員が大幅に増員しました。令和4年4月1日に私が教授として着任しました。
麻酔科には手術麻酔管理を中心に、集中治療(Intensive Care Unit)と疼痛管理(ペインクリニック)のサブスペシャリティーがあります。その基本コンセプトは、全身管理と疼痛管理であり、日本麻酔科学会の理念は、「患者の命を守る」ということです。麻酔科学の大きな魅力は、一つの臓器に偏ることなく、各臓器や組織を全身という観点からとらえて学ぶことができる点です。中枢神経系、循環器系、呼吸器系、肝・腎や疼痛治療といった幅広い分野の生理やその病態を深く学ぶことができます。逆に、患者さんの命を守るためには、これらすべてに通暁することが必要であると思っています。また、手術中にはさまざまな不測の事態(心肺停止、アナフィラキシーショックや喘息発作)が起きますし、ICUでも重症患者が危機的状況に陥ることもあり、これらに適切に対処することのできる危機管理医でもあります。
手術麻酔の重要な点は、まず患者さんの安全を守るということですが、手術からの回復を早め合併症を少なくするために、手術中のバイタルサインを安定させるなど質の高い麻酔を心掛けています。特に、手術後の鎮痛には力を入れていて、いわゆるmultimodal analgesiaを積極的に活用し、副作用を最小に質の高い鎮痛を取り入れています。ICUはチーム医療の最前線であり、専従医(多くはICU専門医である麻酔科医)が中心になり、主治医、各科の医師、看護師、臨床工学士、薬剤師や作業療法士が協力し合い、その病院の最高の知識と最高の技術を提供し、院内重症患者の急性期を乗り切るというのが本来の目的です。すなわち、重症患者の最後の砦といえます。ペインクリニックは、慢性痛治療を中心に、他科では手に負えない疼痛患者の最新最良の治療に当たっています。
近畿大学麻酔科学講座では、すべての部門で専門医資格(専門医機構専門医、集中治療専門医そしてペインクリニック専門医)を持った一流の麻酔科医が多数いて、臨床のみならず学生・研修医指導に当たっています。また、学問的にも、循環、脳虚血や脳高次機能障害、敗血症や疼痛管理についての研究を行い、数々の国際学会で発表を行ない、麻酔科領域のみならずそれ以外の国際雑誌にも論文が掲載されています。 現在、麻酔科医自体は増えていますが、未だに非常な売り手市場です。日本麻酔科学会の特徴として、女性医師が多いことです。その大きな理由は、全身管理ができるだけでなく、オン・オフのはっきりした生活を送ることができることにもあります。将来性と魅力に満ちた医療分野が麻酔科学であり麻酔科です。

中嶋 康文
NAKAJIMA Yasufumi
主任教授