EDUCATION教育 / カリキュラム

講座紹介

救急医学は臨床医学の教室であり、救命センターではさまざまな病態と重症度の患者に対応しています。ドクターカーでの病院前救急診療から 、ERでの初期診療、そしてCritical Care Medical Center における重症治療まで、幅広い医療を展開しています。 救命救急科では、年間約700例の重症救急患者を受け 入れ治療しています。そのうち、重症頭部外傷を含む多発外傷が 約35%、病院外心停止(Out-Of-Hospital Cardiac Arrest: OHCA) が約20%、緊急手術を要する急性腹症や特殊感染症が約15%、熱 傷、敗血症、中毒が全体の約15% を占めています。

また、循環器内科・心臓外科とのシームレスな協働体制により、 突然の心肺停止で来院する患者に対して、迅速なECPR(Extracorporeal Cardiopulmonary Resuscitation)の 導入が可能です。院外心停止(OHCA)の蘇生後治療の病態生理はいまだに解明されておらず、ミトコンドリア機能異常や酸素代謝の障害が主体である可能性が示唆されており、これは近畿大学の救急医学教室が研究する分野でもあります。その他に、急性腹症や特殊感染症(Acute Care Surgery)、多発外傷、集中治療、熱傷、中毒など、救急医学の研究対象となる分野は幅広く存在します。

ERの受診患者数は年間約1万人で、救急車で搬送される患者は約6割を占めます。日本のER 医療は変革の時代に あります。医師の働き方や患者から求められるサービスとしての医療、あらゆるものが流動的で変化しています。こうした日本型 ER を専門とするemergency physician が、救急専門医の新しいサブス ペシャルティとして国内では注目されています。近畿大学の救急医学教室は、米国の研究施設やER(ニューヨーク、ボストン、フィラデルフィア、シカゴなど)に研究・臨床の双方の側面から深いつながりをもち、国際競争力の高い研究者や臨床医を育成することが可能です。

変革の時代で一つの在り方にとらわれてはいけません。流動 性の向上は、自由競争の社会を促進します。それは、個人として、 医師の真価が問われる時代に突入することを意味します。われ われは人材派遣から人材育成へ医局(講座)の形を変え、競争社会で闘 える人材の育成を目指します。当医局では診療・研究・教育のバランスを保ちます。そして、救命救急という重要な仕事を継続して実践できる臨床医、研究・臨床をこなすphysician-scientist、救急医学を後進に伝える教育者、この様な新時代を闘い抜く力強い医師を、一人でも多く 育成します。