EDUCATION教育 / カリキュラム

カリキュラムの特徴

当科では腎疾患および高血圧疾患の教育・診療・研究を行っています。医学部では3学年の循環器・腎臓・尿路コース、4学年の症候・病態コースにおいて講義を担当し、症例をベースに疾患の理解を促すチュートリアルも担当しています。4学年以降のクリニカルクラークシップにおいては、入院患者を担当し症例に関するディスカッションおよびレポート作成を課しています。その中で活発な討議を行うことにより、学生や前期・後期研修医の教育、ひいては医療の質の向上に努めています。
特に下記のものについて、患者の診療を通して学生および研修医の教育を行うように努めています。

腎疾患

当科は悪性腫瘍を除くあらゆる成人腎疾患に対応しています。この中で「腎臓を悪くする病気」と「腎臓が悪くなって生じる病態」について腎臓生理を含めて理解できることを目指した教育を行っています。 「腎臓を悪くする病気」には蛋白尿・血尿を主要症候とするIgA腎症をはじめとした慢性糸球体腎炎、大量の尿蛋白排泄が生じるネフローゼ症候群、急速進行性糸球体腎炎、あるいは全身性疾患に伴い発症する糖尿病性腎症、ループス腎炎などがあります。さらに、遺伝性疾患として多発性嚢胞腎、バーター症候群なども挙げられます。
慢性糸球体腎炎、ネフローゼ症候群あるいは急速進行性糸球体腎炎に対しては、積極的に腎生検を施行することで病理学的な病態解明にも努めており、腎組織標本を用いた教育も行っています。
「腎臓が悪くなって生じる病態」には急性腎障害、慢性腎臓病が含まれる。さらに、電解質(ナトリウム、カリウム、カルシウムなど)異常や酸塩基平衡異常(代謝性アシドーシスおよび代謝性アルカローシス)も担当しています。
急性腎障害は死亡率も高く、慢性腎臓病への移行も生じることから、早期診断および治療介入が必要な病態です。特に初期の診断は腎臓専門医ではなく各科の主治医に求められることから、その重要性を強調した教育を行っています。
近年、慢性腎臓病が心血管疾患の独立した危険因子であることが明らかとされています。したがって、その診療においては心血管疾患の発症予防を含めた集学的な治療および管理が必要であると認識されています。当科では、糖尿病性腎症をはじめとする慢性腎臓病患者に対する治療介入も積極的に行っています。さらに、末期腎不全患者に対する透析導入も行っていますが、血液透析に限らず、腹膜透析や腎移植といった腎代替療法についての情報提供に努めており、腹膜透析や腎移植を希望される患者も増加傾向にあります。血液浄化療法としては、ギラン・バレー症候群や重症筋無力症、劇症肝炎あるいは術後肝不全に対する血漿交換療法、潰瘍性大腸炎に対する白血球除去療法や、重症高コレステロール血症に対するLDL吸着などの血液浄化療法にも対応しています。

高血圧疾患

治療抵抗性高血圧、妊娠高血圧、二次性高血圧および合併症を伴う高血圧の専門検査と治療を行っています。内分泌性高血圧では、原発性アルドステロン症、クッシング症候群あるいは褐色細胞腫など主に副腎疾患により生じる高血圧に対応しており、このような症例では入院精査の上で的確な診断・治療を行っています。特に原発性アルドステロン症に関しては、近隣の医療機関からアルドステロン・レニン比高値の症例が紹介されてきており、カプトプリル負荷試験、あるいはACTH負荷試験をはじめとする内分泌負荷試験を施行しています。これらの検査の結果、本症と診断されたものについては副腎静脈サンプリングを行い、アルドステロン産生腫瘍の局在診断も行っています。また、副腎偶発腫についても同様に各種内分泌負荷試験を施行し、手術を含めた治療方針を決定しています。