ABOUT US教室について

教室理念

脳神経内科は、脳や脊髄、神経、筋肉の疾患を診療する内科で、取り扱う疾患は、アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患、脳血管障害、多発性硬化症などの脱髄性疾患、免疫性・代謝性・遺伝性ニューロパチーなどの末梢神経障害、重症筋無力症、筋ジストロフィーや多発筋炎などの筋疾患、先天性代謝異常症などの代謝性疾患、髄膜炎、脳炎などの感染性疾患、てんかんや頭痛などの機能性疾患、脳腫瘍、頭部外傷など多岐にわたります。神経・筋疾患の診療にあたっては、特に患者さんの問診、神経学的診察が重要であるため、専門的な医学的知識に加えて、患者さんとのコミュニケーション能力が必要とされます。
近畿大学医学部脳神経内科教室は、1988年に初代の高橋光雄教授を迎えて、関西地区ではいち早く独立した神経内科教室として開設された歴史のある教室です。2003年には第2代目として楠 進教授が着任され、従来からの脳神経内科の診療・教育に加えて、免疫性ニューロパチーの研究が大きな進展を遂げ、今では国内外の中核的研究室となっています。そして、2021年から第3代目として永井義隆教授を迎え、これまで積み重ねてきた実績に加えて、神経変性疾患・認知症の基礎的研究から治療薬開発を展開する、国内唯一の基礎と臨床が融合した教室へと発展しています。
脳神経内科教室では、上記の臨床、研究のみならず、医学生・若手医師の自立性を重視した教育にも力を入れており、医療・社会に貢献する脳神経内科医を育成しています。各々の医局員がやりがいを感じ、お互いに信頼して協力しあえるアットホームな教室づくりを目指しています。

教授メッセージ

2021年1月より内科学教室(脳神経内科部門)の主任教授として着任いたしました永井義隆でございます。初代の高橋光雄教授が開拓され、第2代目の楠進教授が育て上げて来られた教室を、さらに発展させるように精一杯努めてまいりますので、どうぞよろしくお願い致します。
私が大学医学部を卒業した1990年頃には、医学の使命は癌、心筋梗塞、感染症など致死的な病気からの延命であり、発癌メカニズムや心臓移植の研究が盛んな時代でした。検診によるがんの早期発見・手術、抗癌剤・抗生剤の開発などのおかげで、我が国の平均寿命は飛躍的に延び、世界有数の長寿国となったことは皆さん周知のことと思います。一方で、単なる生命の長さだけではなく、生命の質(クオリティー・オブ・ライフ:QOL)という概念が台頭し、健康寿命が重視されるようになりました。
神経変性疾患や免疫性神経疾患、脳血管障害などの神経疾患は、QOLが障害される疾患の代表であり、人口高齢化社会を迎えて患者数がますます増加しています。特にアルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、脊髄小脳変性症などの神経変性疾患は、いずれも有効な治療法に乏しい難病で、大きな社会問題となっています。このような神経疾患の診療や研究に携わる脳神経内科医の需要はますます高まっています。
神経変性疾患については、近年の分子遺伝学・生物学の進展により原因・発症メカニズムが明らかになってきており、当教室は医学的な視点のみならず、理学・薬学など多彩な視点から病態解明、治療薬開発を目指した包括的な研究を展開する、国内唯一の基礎と臨床とが融合した脳神経内科教室です。また、従来から実績を積み重ねてきた免疫性神経疾患や、需要が高まっている脳血管障害の診療・研究も精力的に行っています。
これらの神経・筋疾患の診療、研究、教育を通じて、優れた脳神経内科医を育てて、南大阪の地域医療に貢献し、年老いてもQOLの高い健康的な生活が送れる未来を目指して努力を続けて行きます。私たちと一緒に脳神経内科の診療、研究、教育を学びたい若い先生方の入局を期待しています。

永井 義隆
NAGAI Yoshitaka
主任教授