教室について
教室理念
薬理学は、「薬と生体の相互作用」を統合的に理解する学問であり、教育においては、基礎医学と臨床における薬物療法をつなぐ橋渡しの役割を担います。当教室では、薬理学の教育を通じて、高度な専門知識を基盤に、科学的思考力、課題解決力、医学への広い視野を備えた医師の育成に貢献することを目指します。研究においては、既存の薬物の作用とそれに対する生体応答を探究し、より安全で効果的な治療へとつなげることに加えて、新たな治療標的を見出し、病態に介入する新しい方法を創出する「創薬」も重要な使命です。当教室では、分子・細胞・組織・個体の各生物学的階層をつなぐ視点を重視し、病態の本質に迫る研究を通じて、新たな治療・診断法の可能性を拓くことを目指します。
教授メッセージ
令和8年4月より、当教室の主任教授を拝命しました大垣隆一と申します。私はこれまで、生体膜を介して栄養素やイオンなどの物質輸送を担う膜輸送体(トランスポーター)の研究に携わってきました。私たちの体の中には数百種類ものトランスポーターが存在し、それぞれの発現や機能が適切に制御されることで、生体内における物質分布の恒常性とダイナミズムが維持されています。しかし、その多様性と機能的重要性にもかかわらず、創薬リソースとしてのトランスポーターには、なお多くの未開拓領域が残されています。私は、トランスポーターの薬理学研究を通じて病態の理解を深化させ、より優れた薬物療法の実現や、新たな治療・診断法の提唱へとつなげたいと考えています。
研究の出発点は、目の前の現象に対して自ら問いを立てることにあります。自分自身の中からふと湧き起こった疑問、他者と議論する中で生まれる疑問、他の誰もが目を向けない疑問、常識を疑うことで生まれる疑問、どんな問いにも大きな可能性があります。その問いに挑むことは、たとえ小さな一歩のように見えたとしても、人類が長年積み重ねてきた研究という知的活動において、新しい「知」を蓄積し未来への発展につながる崇高な営みです。教育においても、体系化された知識を単に伝えるのではなく、学生の皆さんが自ら疑問を持ち、考え、学び続ける力を育むことを大切にしたいと考えています。当教室が、自由な発想と活発な議論を通じて新しい価値を創造し、未来の医療を切り拓く場となるよう、研究と教育に力を尽くしてまいります。
- 大垣 隆一
- OHGAKI Ryuichi
- 主任教授