RESEARCH研究

研究内容

全ての病気は炎症性疾患であるという観点から、炎症の原因となるメディエーターを特定し、病態生理への関与を多様な方法で他の研究施設と共同研究を行っています。私たちのグループは多大な研究予算を獲得し、多くの人員と研究機器を用意して、これまでも新規的なメディエーターを標的とした創薬研究を行ってきました。その成果として、実際にヒトモノクローナル抗体やリコンビナント体を作成し、国内外の特許を複数獲得しています。未だに目的は達成されたわけではなく、低分子化合物による安全・有効な薬を作成することが必要と考えています。

これまでの研究の成果から、多くの疾患・病態は生体が恒常性を保つための機構、ホメオスタシスの破綻にあるとわかりました。この破綻は生体の防御システムを損なうだけでなく、本来保持する自己再生・修復の機能を損なうことになると考えました。また、ホメオスタシスの機能低下は自己再生・修復能の低下を伴う老化にもつながり、ホメオスタシスの活性化を促進するような薬を開発すれば、波及効果が大きいと考えました。ヒトにおいて、適度な運動は老化や疾病発病の予防となることはよく知られていますが、我々は運動が実際に内在性組織幹細胞による再生機序を促進することを見出し、その機序に関与するメディエーターを特定することができました。さらに、メディエーターの探索によるシーズ開発を続けています。同時に、特定したメディエーターが創薬研究の標的因子となるかを評価しています。

現在、私たちが取り組んでいるテーマは以下の通りです。1. 高血圧症・心不全の新しい治療薬の開発、2.脳卒中発症後後遺症の新しい治療薬の開発、3.認知症の新しい治療薬の開発、4.糖尿病合併症の新しい治療薬の開発、5.悪性リンパ腫の新しい治療薬の開発、6.ウイルス性慢性肝炎の新しい治療薬の開発、7.臓器移植後機能障害の新しい治療薬の開発、8. 好中球・マクロファージの炎症反応への関与の解析、9.内在性組織幹細胞による再生機序促進法の開発、10.がん幹細胞の制御法の検討 等です。これらの研究の途中経過としての成果を英文論文として発表してきました。また、我々は日本薬学会、日本免疫学会、日本アレルギー学会、日本外科学会などに参加していますが、なかでも日本薬理学会を中心として活動していて、成果を総会や地方会で発表してきました。