ABOUT US教室について

教室理念

生体は、分子細胞レベルからそれを組み合わせた複雑なシステムででき上がっています。
身体のなかの臓器は、それぞれが独立に機能しているのではありません。複数の臓器や異なる器官系どうしが密接に連携し、生体の健康を維持しています。こうした人体のはたらきを真に理解するためには、個々の分子化学的現象を覚えるだけではなく、巨視的な視点からも、さまざまな器官のあいだの機能連関を考察することが必要となります。これを生体のシステム的理解といいます。生体は、そのシステムの中で動的に変化し、一方でホメオスタシスを維持しますが、ときとしてそのメカニズムが破綻して疾患につながります。こうした正常なメカニズムと病的なメカニズムは全く別々ではなく、つながっているものとして理解しなければなりません。我々は生理学を教育し研究する教室として、こうした生体機能の関連性や統合性を重視しつつ、複雑なシステムを制御するメカニズムをとおして、疾患の病態を理解できる医師づくりを目指して、教育を行なっています。

教授メッセージ

特に当教室の主たる研究テーマは、神経科学です。脳神経のシステムも、もちろん分子や細胞レベルから始まり、脳の部位にごとに異なる機能を持ちながら、それぞれが密接に連携した複雑なシステムを形成しています。情報の保持や計算だけでなく、その情報から行動や身体の臓器も制御し変化させています。また、環境や身体から得られた情報によって、脳が変化することもあります。このようなメカニズムを持ったシステムは、ときにAIと比較もされますが、似てはいるけれどもとても違ったものです。AIは身体を持ちません。ロボットは持っているではないかというかもしれませんが、ロボットの身体は変化しません。脳は予測する臓器だという人もいます。AIも予測をしますが、それは統計的計算処理の結果です。我々の脳が行う予測は複雑な思考の産物で、AIのそれとは違う次元だと思われます。まだまだ脳の根本的な原理はわかっていないのです。我々人間のもつ特別に発達した脳の世界は、とても魅力的でまだまだわからないことのたくさんあるワクワクした世界です。是非この世界に興味をもってとびこんできてほしいと思います。

村田 哲
MURATA Akira
教授