RESEARCH研究

研究内容

1. 内分泌、骨代謝の研究

(1) 筋・骨ネットワーク

骨粗鬆症とサルコペニアの両者には共通した病態が推定されています。私共は、約10年前より、筋と骨のネットワーク、すなわち、筋と骨が体液性因子(内分泌因子)を介して相互作用する機構や局所的に相互作用する機構を研究してきました。これらの筋と骨のネットワークは新しい研究分野として、国際的に注目されています。また、宇宙医学に関連した研究として、重力変化やメカニカルストレスの筋・骨連携への影響を遺伝子の切り口から研究を進めています。これらの研究は、サルコペニアや骨粗鬆症の診断に有用なマーカーや治療薬の開発につながっていくことが期待できます。

(2) 糖尿病や内分泌異常と骨粗鬆症の相互関連における分子機構の解明

糖尿病、肥満、糖質コルチコイド過剰などの病態モデルマウスを用いて、脂肪組織・肝臓・骨格筋・骨のネットワークという視点から、その病態の詳細なメカニズムを研究しています。

2. 骨・軟骨再生の研究

(1) 幹細胞の骨・軟骨分化機構

再生に用いられる幹細胞の中には、iPS細胞やES細胞の他にも間葉系幹細胞や造血幹細胞のように多能性を有する組織幹細胞は、これまでも臨床応用され、今後の研究でも重要な細胞です。私共は、これまで間葉系幹細胞が骨芽細胞、軟骨細胞、脂肪細胞、筋細胞に分化する過程について、骨形成シグナルや因子の同定を目指す過程の中で研究してきました。今後の研究では、幹細胞を用いて、細胞に転写因子を導入することにより、骨や軟骨を作るのに重要な因子を明らかにし、間葉系幹細胞や脂肪幹細胞を、いろいろな病態マウスの治療に使用できる可能性を検討しています。

(2) 骨・軟骨再生への内分泌因子および組織線溶系の関与

遺伝子改変マウスを用いて、細胞外基質のリモデリングに重要な役割をはたしている組織線溶系に注目し、骨・軟骨再生過程において組織線溶系が細胞周囲の微小環境や細胞動員におよぼす役割を研究しています。さらに骨・軟骨再生への内分泌代謝異常(糖尿病、糖質コルチコイド過剰、ビタミンD欠乏など)の影響とそのメカニズムについての研究にも取り組んでいます。