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分子脳科学研究部門(基礎研究部門)

我々の研究室では、脳と神経の病気の発症機構について基礎研究を行っています。

トピックス

スタッフ

客員教授 遠山 正彌 医学博士(大阪大学)
教授 宮田 信吾 博士(医学)(大阪大学)
助教 清水 尚子 博士(医学)(大阪大学)
助教 石野 雄吾 博士(理学)総合研究大学院大学
秘書、実験補助 兼板 美代子  
秘書、実験補助 山本 由利子  

研究内容

近畿大学 東洋医学研究所 分子脳科学研究部門(基礎研究部門)では、神経科学領域の基礎研究を行っております。最先端の様々な手法を用いて、以下の研究課題の解明を目標として精力的に日々研究に取り組んでいます。

  1. 1) うつ病や統合失調症発症などの精神疾患発症の分子機序の解明と創薬研究
  2. 2) オリゴデンドロサイトを中心としたグリア細胞機能に関する研究
  3. 3) 環境ストレスによる脳機能変化の分子機序の解明と漢方薬の作用機序
  4. 4) 機能的な神経回路形成機構や脳の発生に関する研究
  5. 5) 細胞内ストレス応答の分子機序の解明

研究課題 1
~抑肝散成分、加味逍遙散成分などの神経保護効果・抗ストレス効果の検証~

抑肝散は、これまで主に小児の夜泣きや疳の虫に処方されていました。2005年以降に、高齢者に対する、特に認知症の周辺症状(BPSD)への新たな治療薬として抑肝散の有効性が国際誌に報告されたのを契機として、高齢者認知症をはじめとする精神神経領域での臨床的及び基礎的な研究が活発に行われるようになりました。

抑肝散をはじめとする漢方薬の作用機序の解明は、EBM (Evidence-based medicine) による漢方治療の発展にもちろん必要不可欠であります。さらに、抑肝散によるBPSDの改善効果は患者の生活の質の向上につながるだけでなく、周囲の家族や関係者の負担軽減にもつながっており、科学的根拠に基づいた漢方薬の的確な処方は高齢者医療における重要な課題のひとつであると考えられております。

そこで我々は、認知症や統合失調症に有効である成分を含む可能性が示唆されております抑肝散および抑肝散成分の効能・効果について、さらには加味逍遙散成分の抗ストレス効果の解析を中心に科学的立証を目指しております。

【関連するこれまでの主な成果】

学術雑誌(国際誌)

[ストレス応答と抑肝散]

  • The Kampo medicine Yokukansan decreases microRNA-18 expression and recovers glucocorticoid receptors protein expression in the hypothalamus of stressed mice.
    Shimizu S, Miyata S*, et al.
    Biomed Res.Int. 2015;2015:797280.

  • Yokukansan normalizes glucocorticoid receptor protein expression in oligodendrocytes of the corpus callosum by regulating microRNA-124a expression after stress exposure.
    Shimizu S, Miyata S*, et al.
    Brain Res. Bull. 2015 May;114:49-55.

[神経細胞死と抑肝散]

  • Yokukansan inhibits neuronal death during ER stress by regulating the unfolded protein response.
    Hiratsuka T, Miyata S, Tohyama M, et al.
    PLoS One. 2010 Oct 12;5(10):e13280.
学術雑誌(和文総説)

[抑肝散の基礎研究]

  • 漢方薬の薬理作用-抑肝散-
    宮田信吾、遠山正彌
    脳21、2015, 18(4) : 297-304.

  • 新たな医療モデルの構築と漢方の科学的実証の推進
    遠山正彌
    Science of Kampo Medicine 漢方医学 2013, vol.37, No.1, 4-7

[ストレス応答と抑肝散]

  • 抑肝散の抗ストレス作用
    清水尚子、遠山正彌、宮田信吾
    The Autonomic Nervous System 自律神経, 54:21−25, 2017.

  • ストレス応答に対する抑肝散の効果
    宮田信吾、遠山正彌
    脳21、15(4), 519-524. 2012.
新聞発表
  • 2009年3月3日 読売新聞 夕刊 「脳に効く!漢方薬」

抑肝散の構成生薬

研究課題 2
~うつ病発症の分子機序を解明し、新規治療薬・診断薬の開発の基盤を築く~

10年前の我が国での調査ではうつ病の生涯発症率は6.5%程度であったにも関わらず、近年ではWHOの推定によると、男女を合計したうつ病の生涯発症率は17%(男性 約10%、女性 約25%)にもなると報告されており、現代社会においては、うつ病は誰でもかかる可能性のある一般的な病気であると言えます。さらに、その治療期間の長さや再発率の高さ、自殺者数の上昇といった社会的・経済的観点からも現代社会の克服すべき大きな課題のひとつであるといえます。

うつ病の発症には、遺伝的要因よりも環境的要因(養育環境や心理的ストレスなど)が深く関与することが知られています。特に、慢性的なストレスはうつ病発症の最大の原因といわれております。ヒトの身体には、ストレスに対応するメカニズムが存在します。このストレス応答機構の一つが視床下部−下垂体−副腎軸 (HPA axis)と呼ばれるものです。慢性的にストレスを受けることによりHPA axisが継続的に過剰刺激状態になり、うつ病を引き起こすのではないかと考えられていますが、脳をはじめとする身体の各器官にどのような分子レベルでの変化をもたらすことでうつ病発症に至るのかについては、今までの所ほとんど明らかにされておりません。

そこで、我々はこのHPA axisの制御異常を引き起こすマウスを用いて、うつ状態のマウスでは、これまでほとんど注目されてこなかった脳の神経細胞以外の細胞である稀突起膠細胞(オリゴデンドロサイト)に構造的な異常が現れることを見出しました。

現在は、我々が見出したこの構造異常がオリゴデンドロサイトのどのような機能異常につながり、神経細胞にどのような影響を及ぼすのかについて解析を進めております。さらに、HPA axisの制御異常は全身の器官に影響を与える可能性が大きいことから、うつ病を全身的疾患と捉え、様々な器官での異常応答の検討も並行して進めております。

【関連するこれまでの主な成果】

学術雑誌(国際誌)
  • Association between chronic stress-induced structural abnormalities in Ranvier nodes and reduced oligodendrocyte activity in major depression.
    Miyata S*, Tohyama M, et al.
    Sci Rep. 2016; 6: 23084.

  • Sgk1 regulates desmoglein 1 expression levels in oligodendrocytes in the mouse corpus callosum after chronic stress exposure.
    Miyata S*, Tohyama M, et al.
    Biochem Biophys Res Commun. 2015 Aug 14;464(1):76-82.

  • Disturbance of oligodendrocyte function plays a key role in the pathogenesis of schizophrenia and major depressive disorder.
    Miyata S*, Hattori T, Shimizu S, Ito A, Tohyama M.
    Biomed Res Int. 2015;2015:492367.

  • Molecular basis of major psychiatric diseases such as schizophrenia and depression.
    Tohyama M, Miyata S, Hattori T, Shimizu S, Matsuzaki S.
    Anat Sci Int. 2015 Jun;90(3):137-43.

  • Plasma corticosterone activates SGK1 and induces morphological changes in oligodendrocytes in corpus callosum.
    Miyata S, Tohyama M, et al.
    PLoS One. 2011;6(5):e19859.
新聞発表
  • 2011年6月1日 読売新聞 朝刊 「ストレス早期解放→うつ改善」

電子顕微鏡による脳梁の微細構造の検討

研究課題 3
~オリゴデンドロサイトの発生・成熟化機構の解明~

出生前後の髄鞘形成時には、軸索とオリゴデンドロサイトの間に密な情報交換が行われることで髄鞘形成が誘導され、最終的に跳躍伝導が生じることが知られています。

しかし、いったん髄鞘形成が完了し跳躍伝導が誘発された後も、軸索-髄鞘間の細胞間情報伝達が行われるのか否かについては、これまでほとんど解析されていませんでした。最近になりようやく、髄鞘形成後の軸索と髄鞘OLs間に活発な細胞間情報伝達機構が存在する可能性が示されるようになりましたが、その分子機序に関する研究はほとんど進展しておりません。

そこで我々は、オリゴデンドロサイトの発生から成熟、更には髄鞘化に至る分子機序を詳細に解析することにより、精神疾患や神経変性疾患の発症機序解明への基盤形成を目指しております。

【関連するこれまでの主な成果】

学術雑誌(国際誌)
  • NDE1 positively regulates oligodendrocyte morphological differentiation.
    Shimizu S, Ishino Y, Tohyama M, Miyata S.
    Sci Rep. 2018 May 16;8(1):7644.

  • DBZ, a CNS-specific DISC1 binding protein, positively regulates oligodendrocyte differentiation.
  • Shimizu S, Koyama Y, Hattori T, Tachibana T, Yoshimi T, Emoto H, Matsumoto Y, Miyata S, Katayama T, Ito A, Tohyama M.
    Glia. 2014 May;62(5):709-24.
学術雑誌(和文総説)
  • 脳特異的DISC1結合タンパク質DBZはオリゴデンドロサイトの分化を促進する
    清水尚子、小山佳久、伊藤彰、遠山正彌
    BioMedサーカス、2014、第25回.

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