RESEARCH研究

研究内容

体内時計の周期は個体によって、異なります。しかし、おのおのの個体で観察するとその周期は非常に正確です。そのぶれは周期の1%以下です。このような約一日という長い周期のリズムが、複雑な仕組みを持つ生物の内部で正確に作り出されるのは驚愕すべき出来事です。
哺乳類の体内時計の中枢は脳の視床下部の視交叉上核に存在します。個体の死に至るまで続く体内時計の正確な振動現象がどうして生まれるのかは、最近になってようやく分子のレベルでわかってきました。しかし、何故、哺乳類においては、視交叉上核と呼ばれる神経核に体内時計の中枢が存在するのか、また、視交叉上核はどの様な点でリズム形勢に有利なのかといった問いに対する答えは与えられていません。いかにして生物時計は環境のリズムに同調するのか、また、生物時計から発信される信号がいかなる経路で、行動、睡眠、ホルモンリズムといった現象につながっていくのかといった事も大きな研究の対象です。
最近、”社会的時差ぼけ”という現象が問題になってきました。体内時計が、眠れと指示を出しているのに、無理に起きて学習や、仕事を行わなければならない状況です。夜勤の方や、夜更かし朝寝坊の方が通学、通勤のためになんとか起きて活動するという状況が”社会的時差ぼけ”です。この状態が、ほとんどの病気の発症や、増悪に関係することがわかってきました。無理を続けたために、大きな病を得る方や、あるときまったく起きることができなくなって通勤、通学できなくなってしまった方が何万人といらっしゃいます。社会的時差ぼけの病態を明らかにし、それによって問題を抱えておられる方に対してどのような治療を行えばよいのか、最近の教室の大きなテーマです。