EDUCATION教育 / カリキュラム

カリキュラムの特徴

A.手術室の麻酔

2016年の当院の全手術症例数は 8860例、全身麻酔症例数は4635例でした。症例としては、非常に幅広い分野の麻酔を行っており、100歳以上の高齢者から500g未満の低出生体重児の全身麻酔を行うこともあります。特に心臓血管外科領域では年間300例以上の開心術をこなし、食道癌手術や肺切除術でも西日本で有数の症例数を誇ります。小児の全身麻酔症例も非常に多く、複雑心奇形手術をはじめ、未熟児網膜症手術、カテーテルアブレーションなども行っております。一般外科領域では食道、肝臓、肺切除術はもちろんのこと、横隔膜ヘルニアや食道閉鎖などの小児外科症例も豊富です。 手術室において麻酔科専用の超音波装置を多数所有しており、心臓外科手術時の経食道心エコー、超音波ガイド下神経ブロックや中心静脈穿刺などの技術もいち早く取り入れ、後期研修医やローテーターへの指導も行なっております。手術を行う前に麻酔科外来にてカルテや問診から患者さんの全身状態からリスク評価をし、その患者さんに合わせた麻酔方法を選択し麻酔計画をたてておきます。実際に患者さんが手術を受けるときには前室から広い廊下を通って各部屋に入り手術を受けて基本的には手術室にて目を覚まして回復室にて少し休んでから病棟に帰ることになります。手術中は常に麻酔科医が傍にいて血圧や心電図,鎮痛や麻酔の深さを常に調節し続けています。また術後集中治療を要する患者さんでは人工呼吸をしたまま速やかに集中治療室に移動することが出来ます。当院の救急救命センターとも隣接しており1本の廊下でつながっているため手術を要する場合にもすばやく手術への移行が可能になっています。

B.ICU

当院の集中治療部は現在9床のOPEN ICUとして稼働しており、年間約800例の患者が収容され、ベッド稼働率は90%以上を維持しています。その大半は心臓血管外科、脳神経外科、胸部外科などの術後症例ですが、呼吸不全、循環不全、腎不全など他病棟からの重症患者も多く受け入れています。 特定集中治療管理料1取得施設であり、4名の集中治療専門医(麻酔科専門医でもある)がいて、高度で質の高い最先端の治療を提供しています。日常の診療は、集中治療専門医による専従医1名の他、数名の専任麻酔科医が勤務しており、呼吸・循環・鎮痛・鎮静管理などに関して積極的にサポートし、各科の枠にとらわれない集学的な治療を行っています。特に、小児科、小児外科、産婦人科領域での最重症例に対する治療成績については、集中治療専門医研修施設として高い評価を得ています。

C.疼痛制御センター(ペインクリニック)

患者さん一人ひとりに適した治療を選択することで、個々の自然治癒力を高め、総合的に心と体の痛みを緩和して、QOL(quality of life:生活の質)を向上させることを目指しています。様々な痛み、シビレ、こり、麻痺などに対する神経ブロック療法、薬物療法を中心として、東洋医学的な鍼灸治療、漢方薬の投与を行っています。また、神経内科、皮膚科、整形外科、脳神経外科などの院内各科との連携による集学的医療に取り組み、治療成績の向上を図っています。 日本ペインクリニック学会認定施設の資格を収得し、毎週月・水・金曜日には、透視下神経ブロックの他、脊髄刺激装置植え込み術や硬膜外ポート植え込み術などの手術を行っています。また週5日のペインクリニック外来での診療では、外来初診患者さんが年間350名、再診患者さんは8,500名にものぼります。
当院は日本ペインクリニック学会指定研修施設であり、ペインクリニック領域において全国でも最先端の診療を行っていることから、他診療科や近隣の医療機関からのニーズも高まっており、他大学の麻酔科からの紹介患者さんも少なくありません。