EDUCATION教育 / カリキュラム

カリキュラムの特徴

免疫学教室では、1学年の医学総論の一部、2学年のUnit 5病因・病態における生体防御学の3週間、そして5学年・6学年の臨床実習における選択実習の基礎配属を担当しています。
免疫学教室が主に担当するUnit 5病因・病態では、事例を用いたテュートリアルと、講義・実習とが有機的に機能するよう、特に心を砕いています。
テュートリアルとは、与えられた事例のストーリーに沿って、少人数グループの学生さんたちが自ら情報収集して疑問点を解決し、事例の全体像を明らかにしていく能動的な学習過程です。各グループには、学生さんたちの事例解析を方向付けし、同時にグループ構成員の自己学習への取り組みを評価するテュータの教員が付きますが、テュータ自身は事例に関する情報を教えることはありません。学生さんたちは、事例に記載された事象の発生経過や臨床検査データ、或いは研究レベルの解析データを基に、病態発生のしくみを理解し、これを通じて免疫学的な用語の意味や、検査・解析法の具体的手技を理解していきます。
免疫学教室がテュートリアルに用いる事例は、多くの場合実在の症例を下敷きにしており、採り上げる疾患や病態は、毎年更新しています。従って、過去の事例をそのまま参照することは出来ませんが、一方でこれまで20年間近くにわたって採り上げてきた事例のストーリーとその解説は全てホームページ上に公開されており(https://www.med.kindai.ac.jp/immuno/tutorial.htm)、予習・復習や、対比学習に役立てられるようになっています。また、事例に関する事項は、講義でそのまま述べることはありませんが、事例のストーリー展開と講義の進行とは、出来るだけ同期するよう心掛けています。従って、講義が事例に関する自己学習の方向付けを助け、事例が講義内容への関心を引き起こすように工夫されていることになります。
講義の進行とそれぞれの回に達成されるべき教育目標は、全てシラバスに公開されています。各回の講義では、スライドを基にしたカラー印刷のハンドアウトを配付しますが、ハンドアウトでは意図的にスライドの情報の一部を隠し、学生さんたちが自ら記入を行うよう促しています。
講義スライドは、多くの自作画像を含むカラーのコンピュータ画像を多用し、免疫系による抗原認識やリンパ球活性化の機構を、分子レベルで「実感をもって」理解できるよう配慮しています。自作を含めたアニメーション画像や、免疫系分子の三次元画像も提示し、実際に画面上で細胞や分子を動かします。また、講義中には教員が教室内を活発に動き回り、学生さんたちに問いかけを行うと共に、質問を促します。
実習では、実際にヒトの血球を用いた蛍光セルソーター解析や、血清による抗体の定量を行います。実習の課題には、講義で学ぶ概念が反映されるよう工夫されており、学生さんたちには、自分たちが得た実験データを免疫学的に解釈することが求められます。
免疫学教室には、自主的に研究活動に取り組む学生さんたちも複数在籍し、教室内に机を持って、そこから講義やクリニカルクラークシップへと出掛けています。これらの学生さんたちの中には、既に自ら遺伝子改変マウス由来の細胞株を樹立したり、持続的に抗体を産生し続けるハイブリドーマ細胞を樹立したりした人もあります。