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自治体における生活習慣病重症化予防のための受療行動促進モデルによる保健指導プログラムの効果検証

 近畿大学医学部公衆衛生学教室は、大阪大学大学院医学系研究科社会医学講座公衆衛生学教室が代表機関で実施している上記研究の共同研究機関として、データ解析を実施しております。本研究は、各研究機関の倫理審査委員会の承認・機関長の研究実施許可を受けて実施します。

1. 研究の目的

 本研究は、「脳卒中・虚血性心疾患・心不全・腎不全を発症するリスクの高い未受療者に対して、医療機関への受療行動を促進する体系的な保健指導を実施することは、一般的な保健指導を実施するよりも、脳卒中・虚血性心疾患・心不全・腎不全を伴う入院・死亡や人工透析の導入に対する予防効果が大きいことを検証する」ことを目的として、自治体をクラスターとしたクラスターランダム化比較試験です。
 本研究は、下記43自治体にご協力いただき、21介入自治体と22対照自治体に分け、2014年4月1日~2016年3月31日までの間に介入自治体では受療行動促進モデルによる保健指導プログラムを用いた介入を実施し、対照自治体では標準的な特定保健指導を実施しました。さらに、本研究の解析結果に対する具体的な考察を得ることと、介入自治体間における保健指導実施率の差や実施形態のばらつき等への解釈に役立てることを目的に、21介入自治体に在籍し本研究の介入(受療行動促進モデルによる保健指導プログラム)に携わった保健指導実施者等へのヒアリングやフォーカスグループインタビューを行いました(2016年度に実施済み)。
 2025年3月現在、本研究の受療行動促進モデルによる保健指導プログラムの効果検証を行うことを目的に、本研究で既に収集済みの情報をもとにデータ解析を続けております。

2. 研究実施予定期間
  • 実施承認後 ~ 2035年3月31日
  • 介入実施期間:2014年4月1日 ~ 2016年3月31日
  • データ追跡期間:2014年4月1日 ~ 2016年3月31日
  • データ解析期間:2014年4月1日 ~ 2035年3月31日
3. 研究に用いる試料・情報の種類

国民健康保険被保険者の集団健診による特定健診受診者40~74歳男女が概ね2,000人以上の自治体を全国公募し、研究参加を表明した下記自治体を対象としました。下記自治体の特性をもとにスコア化し、スコアの類似した自治体をペアでグループ化し、各グループの一方を対照自治体、もう一方を介入自治体として無作為に割付を行いました。

青森市、安曇野市、安中市、飯田市、石岡市、出水市、糸島市、茨木市、今治市、伊万里市、いわき市、大田原市、尾道市、鹿児島市、唐津市、鹿嶋市、北上市、杵築市、紀の川市、呉市、堺市、佐渡市、静岡市、高崎市、高槻市、田辺市、宝塚市、丹波市、鳥取市、取手市、那珂川町、中津市、二戸市、廿日市市、東近江市、彦根市、笛吹市、福山市、藤枝市、牧之原市、松本市、守谷市、横手市

4. 研究対象者の選定基準・除外基準

 上記3 の研究対象地域にて、上記2 の介入期間中に開催された国民健康保険被保険者の集団健診において下記のいずれかに該当した重症化ハイリスク者40~74 歳男女のうち、高血圧症、糖尿病、脂質異常症、尿蛋白陽性の該当リスク項目に関して、健診受診時に医療機関を受療していなかった者を研究対象者としました。

  • Ⅱ度以上高血圧(収縮期血圧160mmHg 以上または拡張期血圧100mmHg 以上)
  • HbA1c (NGSP)が7.0%以上(HbA1c が欠損の場合は空腹時血糖値130mg/dL 以上、空腹時血糖が欠損の場合は随時血糖値180mg/dL 以上)
  • 男性のLDL コレステロール値が180mg/dL 以上
  • 尿蛋白2+以上
5. 利用または提供する(提供を受ける)情報の項目

 本研究では、研究を目的とした血液等の試料の収集は行っておりません。近畿大学では、2014 年4 月 1 日~2016 年3 月31 日までの間に収集された、研究対象者ならびに保健指導実施者の匿名化された下 記情報を代表機関(大阪大学)から提供を受けて解析に使用いたします。なお、本学から他機関へのデー タ提供はございません。

5-1. 研究対象者の情報
  • ①特定健診データ
  • ②レセプトデータ
  • ③国保資格取得喪失データ
  • ④(介入自治体のみ)受療行動促進モデルによる管理台帳、保健指導記録票、介入除外確認シート等
    →介入の実施状況(家庭訪問、個別面接、電話、文書送付等)、保健指導の中止とその理由、医療機関への受療・治療状況、介入除外確認に関するデータ
5-2. 介入自治体の保健指導実施者の情報
  • ①保健指導実施者の基礎データ
    →保健指導実施者の性、年齢、職種、保健師職務についた通算年数・生活習慣病関連の職務についた通算年数、本研究の介入に関する研修履歴のデータ
  • ②保健指導に関する自己評価アンケート結果
    →保健指導実施者向けに開催された介入の研修会にて実施された保健指導に関する自己評価アンケートの結果
6. 情報の取得方法

 上記5-1の研究対象者の情報については、介入自治体および対照自治体側で本研究の研究グループが開発した匿名化ソフトを用いて個人情報(氏名・生年月日等)を匿名化し、研究用IDを付与した上で研究機関側に送付されたデータを使用しています。研究機関側では、研究対象者の個人情報や研究用IDと個人情報の対照表を保有しておりません。なお、上記5-2の保険指導実施者の情報については、代表機関(大阪大学)にて保健指導実施者の個人情報が匿名化され、研究用IDを付与されました。
 近畿大学では、代表機関より匿名化された研究対象者ならびに保健指導実施者の情報の提供を受けてデータ解析を実施いたします。

7. 個人情報の保護

 上記6の記載の通り、研究機関側で研究対象者の個人情報および研究用IDと個人情報の対照表を保有しておりません。保健指導実施者の個人情報については、代表機関である大阪大学大学院医学系研究科社会医学講座公衆衛生学教室にて厳重に管理いたします。データ解析には、匿名化されたデータのみを使用いたします。本研究の分析結果を学会や論文等にて公表することがございますが、お名前などの個人情報が公開されることはございません。

8. 代表機関ならびに共同研究機関の研究責任者の所属・職名・氏名

(代表機関)
大阪大学大学院医学系研究科社会医学講座公衆衛生学教室・特任准教授・野口緑

(共同研究機関)
近畿大学医学部公衆衛生学教室・主任教授・今野弘規
国立国際医療研究センター国際医療協力局
グローバルヘルス政策研究センター・センター長・磯博康

9. 研究に関する情報公開

 もしご希望があれば、本研究の独創性の確保に支障がない範囲で研究計画書や倫理申請書類等の資料を御覧いただけます。下記11の連絡先までお申し出ください。

10. 情報の利用を望まれない方へ

 本研究に情報が使用されることについて研究対象者ならびに保健指導実施者のご本人様または代理人の方に御了承いただけない場合は、本研究の分析結果が公表される前であれば、情報を研究データから除くことが可能です。下記11の連絡先までお申し出ください。ただし、公表後は情報を除くことが叶いませんので、予めご承知おきください。

11. 問い合わせ先

本研究に関して、ご不明な点またはご不安な点、ご意見がございましたら、遠慮なく下記の連絡先にご連絡ください。

【連絡先】

大阪大学大学院医学系研究科公衆衛生学
TEL:06-6879-3911
E-mail:mkyomupbhel.med.osaka-u.ac.jp