Chulalongkorn大学大学院との合同研修会開催
2017年3月31日から4月2日までThailand, BangkokにあるChulalongkorn Universityと研究報告会を行いました.Chulalongkorn Universityは病院に併設されており,今年でちょうど創設100年の由緒ある大学でした.現在,病院の放射線治療設備としてはリニアックが6台あり,治療件数は年間3400件ほどとのことでした.将来的にはさらに3台のリニアックを追加し,また2030年までに陽子線装置を4台導入する構想もあるとのことでした.この病院だけでタイにある放射線治療装置の約1割を占めており,日本の最新の施設にも全く引けを取らない設備を有しており,日本からの参加者は皆圧倒されました.
Chulalongkorn UniversityにはMasterコースとPh.Dコースがあり,またラオスからの留学生も受け入れており,非常に多くの学生が医学物理学に関係する研究を行っていました.特に印象的だったのは,診断学分野の医学物理士がいたことです.日本ではほとんどの医学物理士が放射線治療分野に従事しており,診断学領域に従事する医学物理士はほとんどいません.われわれは放射線治療に関する研究が多いのですが,彼らの診断に関する研究内容を拝聴し,被ばく低減技術,画像の画質改善など多くの部分でコラボレーションできるのではないかと思いました.
研究報告会の後には皆さんと一緒に船に乗って移動し,川辺のレストランで懇親会を行いました.そこでもお互いのこれまでの研究内容や学会発表などの話を通じて,交友を深めることができました.これからも連携を密に取り合い,良い刺激を受けつつコラボレーションしていければと思います.
最後になりましたが,今回の研究報告会を開催していただきました門前先生始め近畿大学の皆さま,またChulalongkorn Universityの皆さまに感謝申し上げます.(K.K)
タイのチュラロンコン大学病院で開催された、近畿大学医学部医学物理教室とバンコクチュラロンコン大学の合同研究会に参加しました。この研究会で私は、医学物理教室にて開発された”タングステン機能紙”と”H-Mボード”に関する講演を行いました。
放射線遮蔽能力と紙の特徴を有するタングステン機能紙の臨床への応用では、海外の論文に報告したInterventional Radiology(IVR)や電子線GRID照射に応用できるという内容で発表を行いました。IVRでは、1枚のタングステン機能紙(0.3 mm厚)で約40%の術者への被曝を低減できることや、電子線GRID照射では、格子状に穴の開いた0.52 cm厚のタングステン機能紙が、従来の低融点鉛と同等の線量分布を整形することができることを報告しました。
一方、丈夫で放射線透過性の特徴を有するH-Mボードの放射線治療寝台への適応では、現在、放射線治療に用いられているカーボン製の寝台は、背中の皮膚線量を増加させてしまい、Grade2以上の皮膚の急性障害が起こる可能性があることが報告されていますが、その解決方法の一つとして、より放射線透過力の高く、Saggingの小さい、新たなボードを使用することが挙げられ、このH-Mボードを用いることで、皮膚の線量を10%以上低減することができ、深部線量分布を4 mm深い位置までシフトさせられることを報告しました。
タイの空港には朝の4時に到着したのですが、そこでスライドの修正が入りました。発表内容が若干変更になりましたが、発表ではなんとか英語でまとめることができました。医学物理教室で2年間頑張った成果であることを実感しました。
チュラロンコン大学における講演では、MRIにて筋肉のアクティビティを推測して、リハビリやスポーツ医学への応用を試みているものが印象に残りました。また、同大学病院はとても規模が大きく、近隣諸国の中心的な存在の施設でした。研究機関としても、近隣諸国から留学生を積極的に受け入れ、英語を当たり前のように話していました。本学でも、このような国際交流がなされることは非常に重要であり、今回のような合同研究会は、そのステップアップとして、とても有意義なことであると実感しました。(M.T)

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2017/04/10 16:25