医学物理士とその役割
近畿大学医学部の目指す医学物理士とは、放射線防護・管理をはじめ放射線治療の品質管理、保証、放射線治療計画業務など、常に臨床現場の傍で活躍、医療の安全を工学的な見地から助言できる物理士です。また、最先端の工学と医学を結びつけ、高度医療に貢献、新たな医療を切り開くためのスペシャリストを目指しております。さらに高度な放射線治療を実現させるため、臨床現場で必要とされるニーズ、シーズを発掘し、テーマを持って研究を立案・遂行できる能力も求められています。
医学物理室の役割
近畿大学病院に設置されている医学物理室には4名(教員2名、中央放射線部兼務2名)が従事しており、医療安全管理のためQA委員会、放射線品質管理委員会の開催、カンファレンスに積極的に参加して研鑽を積んでいます。様々な技術、経験を活かし、医師、看護師、診療放射線技師と共に、放射線治療におけるチーム医療の一端を担っています。放射線治療のみならず、医学における幅広い豊富な臨床的経験や、放射線生物学、放射線物理学、物理工学などの総合的な知識を有するスタッフが教育、臨床、研究にあたっています。
近畿大学病院がんセンター組織構成
(http://www.med.kindai.ac.jp/gancenter/overview.html)
医学物理室(がんセンター)
(http://www.med.kindai.ac.jp/gancenter/overview_5.html)
医学物理士の担当業務
- 治療固定具の固定精度の定量的解析
- IMRT治療計画におけるContouringおよびOptimization
- TG-142に基づいたリニアックのQA・QC
- IMRT治療計画のQA
- RALS治療計画およびQA
- 前立腺125 I永久挿入治療の治療計画、術前、術後評価
- SRT・SRS治療計画
- 呼吸移動に対する治療戦略の立案
教育
近畿大学大学院では、基礎医学系の専攻分野として医学物理学を開講しています。
カリキュラム詳細は「令和5年度 大学院医学研究科 開講科目」です 。
2008年からの「がんプロフェッショナル養成プラン」、2013年からの「がんプロフェッショナル養成基盤推進プラン」、2017年からの「多様な新ニーズに対応する「がん専門医療人材(がんプロフェッショナル)」養成プラン」とリンクさせて医学物理教育を行っています。2015年より医学物理士認定機構より教育コースとして認定されおります。
大学院生募集
工学、理学、保健学出身者など広い分野の方に臨床研修の門戸を開き、放射線治療の未来を支える次世代の医学物理士の育成を積極的に行います。
近畿大学医学部医学研究科 医学物理学専攻 大学院生募集の案内
4年コース(博士課程)出願資格
- 大学の医学科、歯学科、獣医学科、薬学科(6年制)、または防衛医科大学校を卒業した者および平成28年3月卒業見込みの者。
- 外国において学校教育における18年の課程(最終課程は医学、歯学、獣医学または薬学)を修了した者および平成28年3月修了見込みの者。
- 大学(医学、歯学、獣医学または薬学を履修する課程を除く)を卒業し、または外国において学校教育における16年の課程を修了した後、大学院博士前期課程、修士課程あるいは大学、研究所等において2年以上研究に従事した者
(平成28年3月末に2年間に達する見込の者を含む)で、本大学院において、当該研究の成果等により、大学の医学、歯学、獣医学または薬学を履修する課程を卒業した者と同等以上の学力があると認めた者。
- 本大学院において上記(1)に定める学科を卒業した者と同等以上の学力があると認めた者で、24歳に達した者および平成28年4月1日までに達する者。
- 社会人入学選考については上記1~4のいずれかに該当し、さらに下記 ア、イ、ウのいずれかを満たす者
- 1と2に該当する者にあっては、官公署その他民間医療機関、会社等に本大学院入学の時点で2年間以上在職し、本大学院入学後も社会人たる身分を有し、かつ所属長の出願許可を受けた者。
- 3に該当する者にあっては、官公署その他民間会社等に本大学院入学の時点で3年間以上在職し、本大学院入学後も社会人たる身分を有し、かつ所属長の出願許可を受けた者。
- 4に該当する者にあっては、24歳以降で、官公署その他民間会社等に本大学院入学の時点で3年間以上在職し、本大学院入学後も社会人たる身分を有し、かつ所属長の 出願許可を受けた者。
- 本学医学部にて初期臨床研修を行う者にあっては、研修1年目を修了見込みで、本大学院入学後もその身分を有し、かつ所属長の出願許可を受けた者。
詳しくは「令和6年度大学院学生 募集要項」をご確認ください。
受験希望の方は事前に下記E-mailまでご連絡ください。
研究可能なテーマ
- 機械学習を用いた放射線治療計画
- 金属含有紙の放射線治療・放射線防護への応用
- タングステン含有ゴムの放射線治療・放射線防護への応用
- 3Dプリンタの医学への応用
- フォトクロミック化合物の医学への応用
- Dual energy CTによる人体内構成元素の特定/高精度体内線量分布計算/肺機能評価とBeam arrangement
- 頭頸部領域におけるAdaptive RTに関する研究
- 前立腺癌患者におけるinter-fractional motionの検討
- 小線源治療のプランデザインと術者被ばく低減
- To devise anisotropic margin recipe of the CTV to PTV using hybrid image guided radiotherapy system
- 放射線治療における医療安全
- 脳定位放射線治療のおける治療中の動き監視(IGRT)の撮影頻度および必要なマージンに関する検討
卒業生の声を掲載
詳細はそれぞれをクリックしてご覧ください。
【令和6年度 3月卒業 伊藤 崇晃】【令和6年度 3月卒業 酒井 優佑】【令和6年度 3月卒業 柳 勇也】