近畿大学医学部 放射線医学教室 放射線腫瘍学部門

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Kindai University Faculty of Medicine Department of Radiation Oncology
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ASTRO2017 参加報告

平成29年9月24日~9月27日に開催された米国放射線腫瘍学会(ASTRO 2017)に参加してきた。放射線腫瘍学会としては世界で一番大きく、毎年様々な国から放射線治療に関する最新の研究発表がなされる学会である。毎年開催地が異なり今年はカリフォルニア州・サンディエゴのサンディエゴコンベンションセンターにて行われた。(図1、2)
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図1 会場付近の街並み
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図2 会場は海辺にありヨットハーバーが隣接していた

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メインであるプレナリーセッションでは乳癌全摘の術後照射に関する通常照射と寡分割照射の第3相試験や遠隔転移を有する非小細胞肺癌に対する局所照射の有無を比較した第3相試験などが発表されていた。当院からはポスターにて3題発表をしてきた。私は「Anatomical and Dosimetric Changes during IMRT for Oropharyngeal Cancer (OPC) detected by weekly Conebeam CT (CBCT) with deformable image registration (DIR)」という演題でポスター発表をしてきた。頭頚部癌の放射線治療においては治療期間中の体輪郭や腫瘍の縮小が起きるため、それに応じて治療範囲等を調整する必要がある。そのため、当院に2015年から導入されたTrue beamに付属しているkVCTを用いてそれら変化を測定した内容である。今後はそれらの情報を用いて実際の治療計画変更をしていくため、前向き臨床試験を計画中である。(図3)

図3 ポスター発表および機器展示
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図4 JASTROセミナー時集合写真

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頭頸部癌のセッションではTNMでもp16陽性の中咽頭癌においては予後が良いことからStagingが別に用意されたが、治療方法においても線量を下げたり、照射範囲を狭くしたりといった晩期障害を軽減するための様々な臨床試験の結果が報告されていた。また、血漿中のHPV-DNAを測定することで治療効果を治療期間前に予測したり、また治療期間中のDNAが著明に下がった際には総線量を減らしたり、採血という低侵襲的な治療計画の発表が行われていた。近年免疫療法に注目がされているが、やはり放射線治療においても様々な癌腫との併用が行われており、とくに通常照射よりは定位照射との併用が多く、照射範囲外へのアブスコーパル効果を狙った治療方法が画策されているようであった。
世界中の放射線治療関係者が集まることもあり、現時点での最新の治療法や今後の治療方針などを直接聞くことが出来、大変勉強になった。(K.I.)

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2017/10/27 14:00