EDUCATION教育 / カリキュラム

カリキュラムの特徴

[総論]

超高齢化社会の到来により、高齢者における感覚器障害と頭頸部領域での発癌は、耳鼻咽喉科学が取り扱うべき重要な医学的研究課題となっています。聴覚・平衡覚・嗅覚・味覚などの感覚器障害の病態解明と新規治療法の開発、感覚器・嚥下・音声障害に対するリハビリテーション法の確立、頭頸部腫瘍に対する外科治療法および集学的治療法の確立を目指した基礎・臨床研究を推進します。

  1. 聴覚・平衡覚・嗅覚・味覚などの感覚器の構造と生理機能を正しく理解し、それぞれの末梢受容体における感覚発生の分子機構、末梢から中枢における認知機構に至るまでの神経回路を理解した上で、さまざまな感覚器障害の病態を解剖学的・生理学的・生化学的・分子生物学的・分子遺伝学的な研究手法による解明を目指します。基礎研究の成果を臨床にフィードバックさせることで、人工感覚器の開発、遺伝子治療・再生医療の感覚器医療への導入を目指した臨床研究を推進し、同時に、聴覚・平衡覚障害に対する有効な治療法・リハビリテーション法の確立を目指した臨床研究を推進する。
  2. 頭頸部癌に対する集学的治療(手術・放射線治療・化学療法)の確立を目指した臨床研究を推進します。PET検査、NBI内視鏡検査などの新規診断法の有用性を検討すると同時に、経口的内視鏡下手術、内視鏡下頸部廓清術、ロボット手術など新規治療法の開発を目指した臨床研究を推進します。嚥下・音声障害に対する有効な治療法・リハビリテーション法の確立を目指した臨床研究を推進します。

[各論]

  1. 人工感覚器学:人工聴覚器医療の国内における中心的施設として、聴覚障害に対する人工内耳医療・人工中耳医療のより一層の発展を目指した臨床研究を推進します。人工内耳医療のEBMの確立、聴覚リハビリテーション法の確立を目指した国内・国際的多施設共同研究を推進します。難治性めまいに対する人工前庭器の開発に関連する基礎・臨床研究を推進します。
  2. 耳科・神経耳科学:外耳・中耳、内耳および聴覚・平衡覚中枢の障害により発症する難聴・めまい疾患の病態解明と新規治療法の開発を目指した基礎・臨床研究を推進します。難聴・めまい疾患の遺伝子診断法、内耳や聴神経への遺伝子治療法の開発を推進します。また、幹細胞やiPS細胞を用いた再生医療の感覚器医療への導入を目指した基礎・臨床研究を推進します。
  3. 頭頸部外科学:腫瘍内科・放射線治療科との共同研究として、頭頸部癌に対する集学的治療の確立を目指した臨床研究を推進します。分子標的治療薬・免疫チェックポイント阻害薬による頭頸部癌治療の有効性を検証します。免疫・組織学的手法を導入した生検、超音波エコー検査、NBI内視鏡検査、PET検査などの有効性を検討し、頭頸部領域の腫瘍性病変に対する新規診断法の確立を目指した臨床研究を推進します。また、より低浸襲な経口的内視鏡下手術・ロボット手術の導入を目指した臨床研究を推進します。
  4. 鼻科学:アレルギー性鼻炎・アレルギー性副鼻腔炎の病態解明と免疫アレルギー治療法の開発を目指した基礎・臨床研究を推進します。あわせて、慢性副鼻腔炎に対する内視鏡下鼻・副鼻腔手術法の確立、ナビゲーション手術の導入に関連する臨床研究を推進します。