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Kindai-LSU多発性硬化症
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心筋炎とは?

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I. 心筋炎 Myocarditis
II. 角田研究室のプロジェクト
III. 拍動する心筋細胞株HL-1 cardiomyocyte
IV. 小動物用 超音波高解像度イメージングシステム Vevo 770

I. 心筋炎 Myocarditis

心筋炎(Myocarditis)は、心臓の炎症性疾患で北米では200万人の患者さんがいます。 心筋炎は、どの年齢層にも起こりうる病気ですが、乳幼児、免疫が抑制されている人、妊婦は特に罹患率が高いことが知られています。心筋炎の予後は悪いことがしられ、未治療の場合、約半数の患者さんが、 診断後2年以内に死亡するという統計もあります。 心筋炎の原因としてはウイルス感染あるいは免疫性(自己免疫性 autoimmune))の反応によるものがあります。ウイルスの中ではピコルナウイルスによるものがヒトの心筋炎では最もよく知られています。心筋炎は3つの病期に分けることができます (phase I,II、III)。 第一期 (phase I)では、ウイルスは心臓に感染し増殖することによって、心筋細胞に障害が生じます。第二期 (phase II)では、心筋組織の崩壊が心筋抗原の流出につながり自己免疫を誘導(Epitope Spreading)したり、 ウイルスと心筋細胞との分子相同性(Molecular mimicry)によって、ウイルスに対する免疫反応が心筋をも攻撃するといった、現象が生じ免疫性の心筋障害が生じます。第一期と二期における障害の程度が大きいと、慢性期の第3期(phase III)には心筋のリモデリングがおこり、 拡張性心筋症 dilated cardiomyopathyへと進展することが知られています。

II. 角田研究室のプロジェクト

ウイルス性心筋炎の正確な分子生物学的機序はいまだに不明ですが、約半数の臨床的にウイルス性心筋炎と診断された北米の症例はピコルナウイルス感染症と関連付けられています。 タイラーマウス脳脊髄炎ウイルス(Theiler's murine encephalomyelitis virus、 TMEV) はピコルナウイルス科カルデオウイルス属に所属し、マウスの心臓にヒトの心筋炎類似の炎症をおこすことがしられています。 角田研究室では、タイラーウイルス感染症をモデルシステムとして利用し、時間経過をおって、その免疫学的、ウイルス学的、病理学的動態を解析すると同時に臨床的にも経過観察を超音波(心エコー)や血中トロポニンの測定をすることにより、 これらの因子の関連を解析しています。 免疫細胞の中では、当研究室ではヘルパーT細胞 {T helper (Th) cells}、制御性T細胞{regulatory T (Treg) cells}ナチュラル・キラーT細胞 {natural killer T (NKT)}を研究しております。 これらの細胞群は心筋炎を含む微生物感染症で重要な役割を果たしていることが示唆されています。タイラーウイルスの中枢神経での感染においては、我々および他のグループによって、これらの細胞群は中枢神経の炎症をコントロールしていることが明らかにされてきました。 ところが、ウイルス性心筋炎における役割は解明されていません。我々は、これらの細胞群がウイルス性心筋炎においても感染をコントロールしているのではないかという仮説のもと、タイラーウイルス誘導性心筋炎モデルを使って研究をすすめております。 方法としては、トランスジェニックマウス、ノックアウトマウス、免疫細胞の養子免疫、免疫細胞の抗体による除去などの方法を使って、そのウイルス感染に及ぼす動態をしらべます。

更に、マウスにおいて発現する約3万個の全てのmRNAの発現の経過をマイクロアレイによって測定し、結果の解析をコンピュータサイエンテストの
Marjan Trutschl 博士と Urska Cvek博士, コンピュータサイエンス講座, ルイジアナ州立大学-シュリーブポート (LSU-S). との共同研究でシステム生物学(Systems biology)の方法を用いて行っております。この研究はウイルス性あるいは自己免疫性心筋炎の分子生物学的機序の解明と心筋炎の新しいバイオマーカー (biomarker)の発見に繋がるものです。 研究の遂行の暁には、ウイルス増殖、免疫反応、病期(病期のステージ)、心臓の機能と障害および臨床的病理学的関連がより明らかになることが期待されます。 心筋炎の治療は、将来的には、個々人によって適したテイラーメイドの治療 (personalized interventions)が、異なる病因(ウイルスあるいは自己免疫)、病期の相違(急性期か慢性期か)、個々人の免疫反応の体質の違い、 を考慮してなされることが理想と考えられますので、我々の研究は、その理想の実現に向かうプロジェクトといえます。

III. 拍動する心筋細胞株HL-1 cardiomyocyte


私の研究室では、ウイルス性、自己免疫性の疾患を研究しています。多発性硬化症の他には、心筋炎(心臓の炎症性疾患)も研究しております。心筋炎の原因は、不明なことも多く、ウイルス感染や自己免疫(自らの免疫細胞が心臓を攻撃)によって 起こるとされています。この研究のため、角田研究室は、ルイジアナ州立大学シュリーブポート校のJ.スティーブ・アレクサンダー生理学教室教授とルイジアナ州立大学ニューオリンズ校のウィリアム C.クレイコム教授と共同研究を行なっています。クレイコム教授が開発した心筋細胞株はフラスコ内で、心臓のように拍動する様子が観察できます。我々はマイクロアレイを使って病変時に遺伝子発現がどのように変化するかを解析中であり、心筋炎研究の新しいモデルシステムとして期待したいます。

私たちの心筋炎研究はルイジアナ州立大学心臓血管病サイエンスセンターから、 当研究室の尾村誠一博士と佐藤文孝博士が、それぞれ取得したマルコルム・フェイスト心臓血管病研究フェローシップ・グラントにより運営されています。尾村博士のプロジェクトは ウイルス性心筋炎における分子メカニズムのシステム生物学的研究(Systems Biology Approach for Molecular Mechanisms in Viral Myocarditis)で、マイクロアレイで得られた データをバイオインフォマティクスの手法を用いて解析を進めています。佐藤先生のプロジェクトはカルディオウイルス誘導性心筋炎におけるナチュラルキラーT(NKT)細胞の免疫制御の研究 (Regulatory Role of Natural Killer T-cells in Cardiovirus-induced Myocarditis)です。このNKT細胞の研究は、我々の研究室が、ここ数年続けているRIKENの谷口克博士との共同研究の一環でもあります。

IV. 小動物用 超音波高解像度イメージングシステム Vevo 770

当研究室では、小動物用の超音波高解像度イメージングシステムである
Vevo 770を用いて、最小30ミクロンの高分解能により、マウス等小動物における心血管疾患(心筋炎、心筋症)の早期発症段階から進行段階、治療効果を非観血的・経時的に精細観察をしております。

超音波による心血管イメージング 動画
左図: 左室短軸像(LV-SAX) 左室が円形に描出され、その中に2つの丸い乳頭筋が見える。 右図: 左室長軸像(LV-LAX) 心尖部が左に、僧帽弁と大動脈弁が右に描出される。



肺動脈弁と肺動脈。 肺動脈弁の動きが描出されている。



心エコー 静止画像

左図: 左室M-mode。 Mモードでは心室(特に左室)の壁の動きを描出でき、左室内径短縮率(FS)や左室駆出率(EF)が測定できる。この画像ではFSは0.50、EFは0.82である。 右図: 大動脈血流速波形。 パルスドプラーモード(PWモード)で大動脈の血流の速さを計測できる。



左図: 大動脈弓。 大動脈弓(AA)とその分枝が描出されている。肺動脈(PA)を巻き込む様に見える。 右図: 肺動脈血流速波形。 パルスドプラーモード(PWモード)で肺動脈の血流の速さを計測できる。肺動脈弁の逆流が認められる場合もある。


僧帽弁血流速波形 パルスドプラーモード(PWモード)で僧帽弁を通過する血流の速さを計測できる。E波とA波と呼ばれる2つのピークがあるが、心拍が速いネズミではE波とA波が重なってしまうこともある。


お問い合わせ:

住所:
〒589-8511近畿大学医学部微生物学講座
大阪府大阪狭山市大野東377-2
Eメール: itsunoda@hotmail.com or itsunoda@med.kindai.ac.jp
電話: 072-366-0221
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